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» 2012年09月18日 19時07分 UPDATE

製造技術:加熱時間を従来比36分の1に短縮可能なホットプレス用鋼板、JFEスチールが開発

JFEスチールが新たに開発したホットプレス用高張力鋼板「JAG」は、ホットプレス後の焼き入れで発生するスケール(さび)の除去プロセスを省略できる酸化防止被覆を採用した。鋼板そのものも高温加熱保持プロセスが不要になる工夫を加えており、通電加熱を使えば加熱時間を従来比36分の1まで短縮できる。

[朴尚洙,MONOist]
JFEスチールの「JAG」の加工例

 JFEスチールは2012年9月13日、自動車の骨格部品(フレーム)向けに、ホットプレス(熱間加工)用酸化防止被覆高張力鋼板「JAG(JFE Advanced Guard)」を開発したと発表した。高温で処理するホットプレスの後でも、通常の表面処理鋼板と同等の耐酸化性/耐食性を得られるような酸化防止被覆を開発するとともに、ホットプレスの処理時間を最短で従来比36分の1まで短縮できる高張力鋼板を採用した。同社の自動車用高張力鋼板は、これまで冷間加工用が中心だったが、JAGの投入により熱間加工市場にも参入する。既に一部の顧客による実車への採用が検討されているという。

 自動車のボディやフレームには、一般的な鋼板よりも強度が高い高張力鋼板が広く利用されている。最近では、鋼板の強度をさらに高めるために、高温で加熱してプレス加工した後に焼き入れ(急冷)を行うホットプレス技術の適用が広がっている。ホットプレスは加工性に優れるだけでなく、加工した高張力鋼板の引っ張り強度を1500MPa以上にすることもできる。

 その一方で、ホットプレスでは、焼き入れに用いる水の影響で、鋼板の表面に大量のスケール(さび)が発生してしまう。そこで、このスケールを除去するために、ショットブラストなどの工程も追加する必要があった。また、スケールの発生を防止するために、一般的な酸化防止被覆を形成した鋼板をホットプレスしても、表面被覆の融点がホットプレスの処理温度よりも低いために変化してしまい、耐酸化性や耐食性を維持できないという課題があった。

 JAGは、酸化防止被覆の成分と被覆の厚みを最適化することで、ホットプレスを行っても酸化防止被覆の耐酸化性と耐食性が通常の表面処理鋼板と同等になるようにした。これにより、スケールを除去する工程を省略できる。

 さらに、鋼板の組成に工夫を加えたことで、従来のホットプレス用高張力鋼板で必要だった高温加熱保持プロセスも不要になった。一般的なホットプレス用高張力鋼板の加工時間は、2〜3分の高温加熱保持プロセスを含めて、焼き入れまでに5〜6分かかっていた。JAGは、高温加熱保持プロセスが不要なので、加工時間は3分前後に短縮できる。

 加えて、10秒程度で加熱を完了する通電加熱にも対応した。通電加熱を使えば、最大6分かかっていたホットプレスの加熱時間を、従来比で36分の1になるわけだ。

sp_120918jfesteel_01.jpgsp_120918jfesteel_02.jpg 左の写真は、「JAG」の加工例。右の図は、JAGと従来鋼板をホットプレスした場合の加熱パターンの模式図である。(クリックで拡大) 出典:JFEスチール

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