人の接近や金属異物を検知して安全確保、パイオニアのEV用非接触充電システムCEATEC 2012

パイオニアが開発中の電気自動車(EV)用非接触充電システムは、人間の接近や金属異物を検知して、使用時の安全性を確保する機能を搭載している。

» 2012年10月04日 07時00分 公開
[朴尚洙,MONOist]
パイオニアのEV用非接触充電システム

 パイオニアは、「CEATEC JAPAN 2012」(2012年10月2〜6日、幕張メッセ)において、電気自動車(EV)/プラグインハイブリッド車(PHEV)用非接触充電システムの最新開発成果を公開した。

 同社は、2010年のCEATEC JAPANから、EV/PHEV用非接触充電システムを毎年展示している。2011年の展示では、EV/PHEVに電力を送る送電モジュールに、DC-DCコンバータやインバータなどの電力変換回路などを一体化して、広さが限られている駐車スペースに非接触充電システムを設置しやすくするといった改良を行っている(関連記事)。

 今回の開発成果は、非接触充電システムを使用する際の安全性確保に役立つ異物検知機能である。検知する対象は2つ。1つ目は、送電モジュールの周囲に近付く人間である。これは、EVなどに高出力で非接触充電を行う場合、漏えいする電磁波によって人体に何らかの影響を与える可能性があるからだ。「国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が定める人体防護基準に合わせて、送電モジュールから一定範囲内に人間が入ると、それを検知して送電モジュールの動作を停止するようにした」(パイオニア)という。

左の写真は、異物が存在しない状態である。送電モジュール上に、送電可能なことを示す緑色のランプが点灯している。右の写真は、人間が近付いた状態。緑色のランプが消えて、動作を停止している。(クリックで拡大)

 2つ目は金属製の異物だ。送電モジュールのコイル部に、空き缶などの金属が存在する状態で非接触充電を行おうとすると、高出力の電磁波によって金属は加熱されてしまう。そのまま充電を続けると、送電モジュールの故障だけでなく、火災などの原因にもなりかねない。そこで、送電モジュールのコイル部に金属製の異物が存在する場合、非接触充電を行わずに警告を出すようにした。「金属製の異物を検知する機能は、送電モジュールのコイルがある部分に金属が存在しない限り動作しない。人間とは異なり、金属が送電モジュールの周辺にあっても、非接触充電の影響を受けないからだ」(同社)。

金属製の空き缶を送電モジュールの上に置いた状態 金属製の空き缶を送電モジュールの上に置くと、警告を示す赤色のランプが点灯する。送電モジュールの奥に見える制御パネルでも、異物ランプが点灯している。(クリックで拡大)

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