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» 2012年10月18日 13時20分 UPDATE

「ビジネスS&OP」とは何か(2):経験と勘、これまでと同じでは何も変わらない (1/3)

結局、“Excel職人”に任せきり? 資料を出しても判断は経験と勘? 収益を生むモノの作り方、コントロールの仕方にステップアップするにはどう考えるべき?

[酒井ひろみ/インフォアジャパン,MONOist]

 前回は、近年欧米およびアジアの新興企業で注目されている「ビジネスS&OP」という概念を紹介しました。それを受け、本稿では、「利益ベースのサプライチェーン運営」「収益最適となる需給バランス計画」をキーとする「ビジネスS&OP」を行う上で重要なプロセスとツールについて紹介します。

 第1回では、最近のグローバルにおけるサプライチェーンマネジメントに関する経営層の意識の変化、そして、従来型のS&OPプロセスの発展型である「ビジネスS&OP」についてご紹介しました。キーポイントは、「利益ベースのサプライチェーン運営」「収益最適となる需給バランス計画」でした。連載第2回となる今回は、この「ビジネスS&OP」を実現するために必要な業務プロセスの在り方、情報システムやツールの活用について説明していきます。

 ビジネスS&OPの説明に入る前に、まずは、従来の需給計画や「オペレーショナルS&OP」におけるプロセスやツール活用についても簡単に紹介したいと思います。

第1段階:需給計画

 前回は、従来型のS&OPプロセスを「オペレーショナルS&OP」と表現するとご紹介しました。この「オペレーショナルS&OP」は、図1のレベル2に相当します。ここに至る前のレベル1においては、営業・マーケティング部門で販売計画や過去の売上実績などから需要計画をたて、一方の生産計画部門では供給計画をたてます。それぞれ現場のマネージャーレベルでレビューされ、それぞれ日々の業務プロセスを進めていきます。

mhfpro_bizsop02fig01.gif 図1 S&OPプロセスフローと情報システム活用レベル

 最も初歩の段階では、需要側と供給側がそれぞれ計画を立案し、部門間(担当者間)連携で製販の調整を取っていました。会社が小規模で、互いの顔が見える環境下で仕事をしていた時代は、それで事が足りていたのです。

 しかし、会社の規模拡大に伴い、製販調整会議や生販在(PSI)計画といった会議体で需要側・供給側のお互いの計画を突き合わせ、いつ、どれくらいの商品が生産・販売されていくかを統合的に計画・予測するようになりました。

数量ベースで需給を調整する段階:単一の計画がないケースも

 ただし、このレベルで重視されているのは販売「数量」であり生産「数量」です。欠品を起こさないこと、要求納期に間に合わせることが最大の関心事であり、また、過剰在庫を持たない、売りどきを逃さないよう良いタイミングで生産するなど、いずれにせよ数量ベースで需給がうまく合うかどうかがポイントになっています。ツールの活用度の観点では、担当者が主に表計算ソフトや専用ツールを利用しながら週次から月次ベースで計画・調整している段階です。

 なお、製販調整会議のような、需要計画と供給計画を統合するプロセスがない場合、あるいはそのような会議体があるにもかかわらず、実は「単一の需給計画(および施策)」に集約・統合がなされておらず、各部門でバラバラに作成された複数バージョンの計画が点在していたり、各工場の計画と需給全体計画との整合がとれておらず、どれが最新で正しいのか、経営者や管理者が把握できていないという問題が、よく見受けられます。

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