いまさら聞けない SDメモリーカード入門メモリーカード 技術解説(2/3 ページ)

» 2012年10月23日 10時00分 公開

SDメモリーカードとSDホストコントローラ

 ここまでは、主にSDメモリーカード自身の説明でしたが、ここからは仕組みについて掘り下げていきます。

 SDメモリーカードを使用するには、それを制御するためのSDホストコントローラが必要となります。では、SDホストコントローラは一体何をするものなのでしょうか。

 SDスロット搭載機器には、基板上に制御用のCPUが搭載されています。このCPUが制御プログラムに応じて、SDホストコントローラにどのような動作を行わせるか指示を出します。SDホストコントローラはその指示に合わせ、SDメモリーカードに制御信号やデータを送信します(図1)。

SDスロット搭載機器のイメージ図 図1 SDスロット搭載機器のイメージ図

 つまり、SDホストコントローラは、CPUとSDメモリーカードの間でデータや制御信号をやりとりするための橋渡し役を担っています。

 図2に、実際のSDホストコントローラの動作状態を示します。

SDホストコントローラの動作状態 図2 SDホストコントローラの動作状況 【画像クリックで拡大表示】

 前述の通り、SDメモリーカードには各種規格に対応した製品バリエーションが存在します。これと同様に、SDホストコントローラも規格の対応状況に違いがあります。最新の規格全てに対応したもの、一部の規格のみに対応したものなど、さまざまなコントローラが存在します。

 では、もしも古いSDスロット搭載機器に最新仕様のSDメモリーカードを挿入したらどうなるでしょうか? 以降で詳しく紹介したいと思います。

 まず、記憶容量の面から見てみましょう(図3)。

記憶容量の面 図3 古いSDスロット搭載機器に最新のSDメモリーカードを挿入したら(1)

 記憶容量(SD/SDHC/SDXC)の面では、SDメモリーカードを装置の対応規格に合わせて再フォーマットすれば使えるようにはなります。しかし、図3の例では64Gバイト以上の容量を持つSDXCカードにもかかわらず、2Gバイトまでしか使えなくなってしまいます。

 続いて、転送速度(Default Speed/High Speed/UHS-I)の面ではどうでしょうか(図4)。

転送速度の面 図4 古いSDスロット搭載機器に最新のSDメモリーカードを挿入したら(2)

 記憶容量はどちらのホストコントローラもSDXCに対応しているので、カードの記憶容量を全て使うことができます。しかし、図4(上)のように、High Speedまでしか対応していないホストコントローラの場合、転送速度は最大でも25Mバイト/秒にしかなりません。

 SDホストコントローラは、SD規格に対して上位互換性がありますから、最新の規格に対応したSDホストコントローラ搭載機器であれば全てのSDメモリーカードの実力(データ転送速度量や記憶容量)を最大限に発揮することができます(一部例外あり)。つまり、仮に、古い規格のSDメモリーカードを挿入した場合でも、そのSDメモリーカードを有効に使えるということです。

 最新のSDメモリーカードを使っても、装置側が古い規格にしか対応していない場合、SDメモリーカードの実力を十分に発揮できません。使用する際は、SDメモリーカード、ホストコントローラ対応規格をきちんと把握しておきましょう。

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