通信接続する車載情報機器の開発期間短縮へ、フリースケールとアルプスが協業車載情報機器

Freescale Semiconductor(フリースケール)とアルプス電気は、車載情報機器向けプラットフォームの共同開発で協業する。両社の協業により、さまざまな通信接続機能を持つ高機能の車載情報機器を短期間で開発できるようになるという。

» 2012年10月23日 14時56分 公開
[朴尚洙,MONOist]
 フリースケールとアルプス電気が協業

 Freescale Semiconductor(以下、フリースケール)とアルプス電気は、東京都内で開催中のユーザー向けイベント「Freescale Technology Forum Japan 2012」(2012年10月22〜23日)において、車載情報機器向けプラットフォームの共同開発で協業すると発表した。

 協業の狙いは、「さまざまなデバイスと通信接続することが当たり前になっている車載情報機器市場でのグローバル展開をさらに拡大するため」(フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン社長のデイビッド M.ユーゼ氏)である。アルプス電気の取締役で技術本部長を務める天岸義忠氏も、「当社の車載通信接続モジュールの売上高は海外比率の方が高い。フリースケールとの協業により、海外売上高をさらに伸ばせるだろう」と述べている。

フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンのデイビッド M.ユーゼ氏(左)とアルプス電気の天岸義忠氏 フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンのデイビッド M.ユーゼ氏(左)とアルプス電気の天岸義忠氏

 今回の協業では、フリースケールの車載情報機器向けアプリケーションプロセッサ「i.MX 6シリーズ」の評価ボード「SABRE」向けに、アルプス電気がBluetooth/無線LANコンボモジュールやGPS(全地球測位システム)モジュールなどの通信接続モジュールを供給する。フリースケールは、アルプス電気の通信接続モジュールを、i.MX 6シリーズのリファレンスデザイン(参照設計)として認定する。

フリースケールの協業の狙いアルプス電気が提供する通信モジュール 左の図は、フリースケールの協業の狙いを示している。「i.MX 6シリーズ」とアルプス電気の通信接続モジュールをリファレンスデザインとして提供することで、開発期間の短縮や、通信接続モジュールを車両内で利用するための認証取得作業の省略が可能になる。右の図は、アルプス電気が展開している車載通信接続モジュールである。(クリックで拡大) 出典:フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン、アルプス電気

 これにより、「世界トップ10社のうち6社が車載情報機器に採用するフリースケールのアプリケーションプロセッサ」(ユーゼ氏)と、「世界シェア50%に達する車載Bluetoothモジュールをはじめ車載用途での実績が豊富なアルプス電気の通信接続モジュール」(天岸氏)を使って、さまざまな通信接続機能を持つ高機能の車載情報機器を短期間で開発できるようになるという。

 現在、SABREで利用可能なアルプス電気の通信接続モジュールとしては、Bluetooth/無線LANコンボモジュールの他、米国のHD Radioや欧州のDAB(Digital Audio Broadcast)、通常のAM/FMといったラジオチューナーモジュールなどがある。2013年4月には、GLONASS、Galileo、Compassなどに対応するGPSモジュールのサンプル供給を始める予定だ。2G/3G/LTEに対応する携帯電話通信モジュールも2013年末の投入を予定している。

「SABRE」と、SABREで利用可能なアルプス電気の通信接続モジュール 「SABRE」と、SABREで利用可能なアルプス電気の通信接続モジュール(クリックで拡大) 出典:アルプス電気

 フリースケールは、2012年11月から、SABREのリファレンスデザインに関する情報提供を始める。このリファレンスデザインの中には、アルプス電気の通信接続モジュールも含まれることになる。

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