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» 2012年11月06日 21時15分 UPDATE

シーメンスPLMソフトウェアの新製品発表:「NX 8.5」は人の顔の形に沿ったメガネの形も作れる!?

シーメンスPLMソフトウェアのCAD/CAM/CAE完全統合システム「NX 8.5」は約2000の新機能を追加。フリーフォームモデリングにユニークな機能が加わり、2次元曲線や3次元形状で任意の箇所を拘束して、基本的な形状を自由に変形可能だ。人の顔を3次元スキャンしたデータも利用できる。

[小林由美,MONOist]

 シーメンスPLMソフトウェアは2012年11月6日、同社のCAD/CAM/CAE完全統合システム「NX 8.5」の日本向け記者発表会を開催し、その機能の一部について明らかにした。同製品は米国で既に出荷開始しているが、日本での出荷は2013年春ごろになる見通しだ。次期バージョン「NX 9.0」は2013年後期のリリースを予定している。

 NX 8.5は、350以上のユーザー要求に基づき、モデリングや金型設計、解析、CAM連携など、さまざまな分野にわたる約2000の新機能を追加した。また同社のPLMツール「Teamcenter」との連携やUIも強化し、CAD側からデータベースにアクセスしやすくしたということだ。

yk_siemensplm_nx85_pb.jpg 今回、製品説明に当たった米シーメンスPLMソフトウェア NX製品ライン担当 シニア・マーケティングディレクタ ポール・ブラウン(Paul Brown)氏。同氏は、元機械メーカーのメカ設計者。

 CADやCAE関連の機能強化の一部について、以下に紹介する。

3次元モデリング

 「和集合(2つのフィーチャを重ねて1つの形状を作る)」では、削除/保持の範囲の選択が可能になった。「オープンプロファイル」機能では、例えば、筐体の内側に設けるリブであれば、外側の形状に添わせるか、貫通させるかなどユーザーが任意で選択できる。

yk_siemensplm_nx85_rib.jpg 筐体の内側にリブを設定する
yk_siemensplm_nx85_rib2.jpg 筐体の表面に突き出さないようにする

 シーメンスPLMソフトウェア独自のモデリング技術「シンクロナステクノロジ(ST)」(フィーチャ履歴を持たないモデリング)は、今回で5番目のリリース。NX 8.5から、このST5を搭載している。他のCADで作成されたインポートデータを利用する際のデータ修正がより容易になったということだ。

 以下のように不必要なフェースブレンド(結合した面)を部分的に次々と選択して削除でき、インポートデータのクリーンアップが容易に行える。

yk_siemensplm_nx85_blend1.jpg このフェースブレンドを消す
yk_siemensplm_nx85_blend2.jpg 次々と消す
yk_siemensplm_nx85_blend3.jpg なくなった

 フィーチャ履歴のない3次元モデルのフェースブレンドにラベル付けして、STで修正する際にユーザーが任意で形状を制御でき、形状の“化け”などをあらかじめ回避できる。

フリーフォーム

 NX 8.5は、フリーフォームモデリングを強化。以下の図でその一例を示す。基本形状のメガネフレームを2次元曲線のプロファイルに沿って変形させている。

yk_siemensplm_nx85_glass.jpg 2次元曲線での制御

 上図のような2次元プロファイル以外に、3次元形状も利用できる。

yk_siemensplm_nx85_glass2.jpg 3次元曲面の制御

 もっと複雑なデータも利用可能だ。例えば人の顔の3次元スキャンデータをNXにインポートして活用することも可能だ。上図では、単純な2次元プロファイルや3次元サーフェスを使った例だが、3次元スキャンデータを活用すれば、人の顔にぴったり合ったメガネフレームを作るといったことも容易に行えそうだ。

製図機能

 NX 8.5の製図機能では数万点レベルのアセンブリの2次元図面表示速度が向上した。同社のテストによれば、8000点ほどのアセンブリの2次元図面表示において、前バージョンNX 8では約6時間かかっていたところ、NX 8.5では5分程度まで短縮できたという。

yk_siemensplm_nx85_draw.jpg 2次元図面表示デモ(部品点数は400点ほど)

 3次元注記(PMI)記入については、UIをシンプルにし、コマンド名変更や表示位置改善を施した。

解析・シミュレーション(CAE)

 NX 8.5のCAEにおける新機能「FE Model in Context」は、アセンブリの中の一部分の作業をする際も、全体のアセンブリを可視化しておくことができる。例えば、アセンブリ全体に切ったメッシュを可視化しておきながら、その一部分だけを形状修正することが可能だ。

 もう1つの新機能「形状最適化」(NX Shape Optimization)は、例えば解析結果で応力が集中した箇所について、応力を緩和する形状(形状の接点位置)を自動的に提案し、元の形状と重ね合わせて表示できる。接点をずらしてできた検証後の形状は、STL形式で設計側に戻せる。

yk_siemensplm_nx85_opt1.jpg 形状最適化

 「NX Thermal」「NX Flow」による熱伝導解析においては、熱の滞留箇所などを散らせる最適な気流速度を自動調整し、モデルを更新した後に解析する。ユーザーが目的とする結果が得られるまでこのプロセスを自動で繰り返し実行する。

yk_siemensplm_nx85_opt2.jpg 熱伝導解析の最適化

 以下の例は、モーション解析と疲労解析(耐久性評価)の複合領域解析だ。バイクが走行している際に変形するサスペンションや、サスペンションを固定するステーに掛かる応力が確認できる。その結果を基に、先ほど説明した「形状最適化解析」を併せ、製品の寿命を延ばす(耐久性を上げる)ための形状検討も可能だ。

yk_siemensplm_nx85_md.jpg 複合領域解析のデモ

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