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» 2012年11月14日 13時00分 UPDATE

車を愛すコンサルタントの学生フォーミュラレポ2012(1):必死に頑張るフォーミュラ学生! もっと頑張れ国産メーカー (1/3)

お待たせ! 「明るく楽しいモノづくり」を提唱するコンサルタント関伸一氏の学生フォーミュラ観戦記! その内容も、まさしく「明るく楽しく」お届け。さて今回登場する4校は、どこでしょう?

[関伸一/関ものづくり研究所,@IT MONOist]

 2012年9月3〜7日に、「第10回全日本学生フォーミュラ大会」が静岡県袋井市の小笠山総合運動公園(通称エコパ)で開催され、観戦に行ってきました(昨年のリポートはこちら)。今回は「オートバイレーサー社長」ことシンクフォー山下祐氏とMONOistの記者さんと3人での取材となりました。

 テクニカルな面は既に山下氏が記事を書かれています。なので私は2011年に引き続き学生さんのインタビューを中心に、私の偏屈な!? 車への思いなどを交えて「明るく楽しい記事」にしますので、今後の記事にどうかご期待ください。

*スペックなどは学生フォーミュラチームの公式サイトからの引用が含まれます。本戦時とは異なる可能性があります。

今回の取材は、道連れが多い

 観戦したのは2012年9月6日、審査の華(はな)、エンデュランスがメインで実施される日です。昨年(2011年)よりは陽射しが弱く、コンディションとしては良かったのではないでしょうか。

 報道関係者としての受付時に、ボランティアによる大会の説明を受けてはどうかと勧められたので、そのご厚意を受けることにしました。説明員はスズキに勤務されている高野秀幸さん。元学生フォーミュラ部員だそうです。高野さんに案内されてエンデュランスコースを約半周しながら、学生たちの走りを観戦しました。

 コースはエコパの駐車場にパイロンを置き、スラロームや旋回、短いながらもストレートと多くの要素が組み合わされたいわゆる「ジムカーナ」的レイアウト。このコースを途中一回のドライバー交代を経て20周(22km)走行、そのタイムと燃費で優劣を競います。実は私も大学生時代にモーターサイクルでジムカーナを頑張っていたのですが、コースを覚えるのが大変なのです。いくらパイロンの色で右と左がわかるとは言うものの、それをいちいち見ながら走っていたのでは運転に集中できない。ましてや学生フォーミュラのドライバーの視点は低く、数多くのパイロンが重なって見えてしまうはずだから、その難しさは相当なものでしょう。

 何チームかの走りを観ましたが、排気音で車のコンディションが分かります。低速でバラついたり、アフターファイアの多い車はやはりタイムに響きます。ミッションはマニュアル(クラッチ操作は発進時のみ、後はクラッチレス)とCVTの両方が使われていますが、マニュアルでの駆動力のダイレクトさを取るか、CVTで運転の容易さとシフトタイム削減を取るか……。

 「どちらが有利なのだろう?」――なんて考えていると、午前の部が終了。さて、ピットへの取材に出掛けるとしますか! 高野さんも引き続きお付き合いくださいました。

yk_jsae_seki1_00.jpg 左からシンクフォー 山下氏、筆者、ガイド役の高野さん

静岡理工科大学

 まず訪れたのがホームチームともいえる静岡県袋井市の静岡理工科大学「Sist Formula Project」です。

yk_jsae_seki1_01.jpg 静岡理工科大学の車両

 スズキ「LT-R450」(四輪バギー車)のエンジンをベースに富士重工業のスーパーチャージャー(スバル「VIVIO」用)を装着、その駆動力はキックシャフトから取り出しています。昨年まではチェーンで駆動伝達していましたが、クランクケースにクラックが入るというトラブルのため、コッグドベルト駆動に変更、耐久性を向上させています。

 サスペンションにはMRダンパー(MR流体、つまり磁性微粒子を分散させたオイルと、電磁石の組み合わせで流動抵抗を制御し、減衰力を可変させるセミアクティブダンパー)を使用、値段の高いサスペンションを使うことなく、電気制御で性能向上を図っています。

 びっくりしたのがリアホイールです。「RAYS」の6本スポークアルミホイールの3本のスポークを削り取っちゃってる。軽量化効果は1本につき200g。バネ下だから効果が大きいのでしょうか。強度解析はCAEで行っていることはいうまでもありません。

 実は私、このチームのプレゼンテーションのお手伝いをしました。きっかけはこのチームの女性マネジャーさんが私の講義を選択してくれて(2011年の8月まで非常勤講師として「サプライチェーン・マネジメント」の講義を持っていました)、金銭的支援を申し出たら「お金ではなくて、関先生のプレゼンテーション能力が欲しい」ということになり、たった1回ですが、2時間半ほどプレゼンテーションの指導をさせていただいたのです。

yk_jsae_seki1_01_2.jpg 静岡理工科大学のプレゼンボード

 以下は、活動の様子を日々メールで報告してくれていた電装班の貝原大海(まさみ)さん(以下、K)との会話です。

関(以下S) 君が貝原君かぁ! 名前が「まさみ」なので女性みたいだね。

K かわいい名前だねってよく言われます(笑)

S で、今年(2012年)の調子はどうなの?

K 昨日のオートクロスで4位に入りました。また、プレゼンテーションでも6位になりました!

S え?ホント! 俺も少しは貢献できたのかなぁ?

K いやぁ、先生のアドバイス大きかったですよ。本当にありがとうございました!

S うれしいこと言うねぇ。で、エンデュランスはこれから?

K もう終わりました。完走しました。

S おめでとう! 最終的な結果はまだ出てないよね(取材日時点)。

K ええ、でも今までの成績が良いので、安全マージンを取って少し抑え気味に走りました。

S こりゃぁ、順位ジャンプアップだな! 一桁行くよ、一桁!(と、はしゃぎ回っている中年男。笑)

K そうだといいのですが……(一方、冷静な大学生)。

 同校の最終結果は総合8位。昨年の42位からジャンプアップです。2013年に出場するときは、見事にシングルゼッケンですね。抑え気味に走ったというエンデュランスも8位、しかも倒したパイロンがゼロという素晴らしい走りでした(エンデュランスには46チームが出走、完走31チーム、内パイロンタッチゼロは4チームしかありませんでした)。

 いやぁ、本当に見事な成績です。プレゼンテーション担当の宮野さん、頑張ったね〜! おめでとうございます!

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