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» 2012年12月03日 11時45分 UPDATE

いまさら聞けない 電装部品入門(3):オルタネータが生み出す電力がなければ自動車は走れない (1/3)

現代の自動車を走らせるためには電力が必要だ。この電力を生み出す電装部品がオルタネータである。今回は、オルタネータが自動車で果たしている役割や、その内部構造について解説する。

[山本照久(カーライフプロデューサー),MONOist]
いまさら聞けない 電装部品入門

 いまさらかもしれませんが、自動車が走行するためには必ず電力が必要になります。内燃機関(エンジン)から動力を得るために燃料が欠かせないのは言うまでもありませんが、それと同じレベルで電力は必要です。

 例えば、ガソリンエンジンを始動する際には、燃焼に必要な燃料噴射(フューエルポンプ駆動+燃料噴射装置駆動)と、初期ピストン運動を作り出すためのスタータモーターの電気駆動、さらに圧縮された混合気を燃焼させるための電気火花、最適な点火と燃料噴射タイミングを認識するための電気センサーなどなど、電力を必要とする用途を挙げていればキリがありませんね。

 一時的にエンジンを動かすだけであれば鉛バッテリーを代表とする外部電源を使用して必要な電力を供給することは可能です。しかし、自動車を走行させ続けるには、放電によって鉛バッテリーが消費した電力を随時充電できる機構を備える必要があります。これがまさに充電装置であるオルタネータの役割です。

オルタネータの外観 オルタネータの外観

 オルタネータは、この写真のような独特の外観をしています。鋳造アルミ製のケースで覆われており、さらに空冷促進のために最低限の強度を保った状態で穴を無数に開けてありますが、これは放熱性を高めるための構造なのです。

オルタネータの仕組み

 オルタネータはエンジンによって駆動されることで生じる回転力を電気エネルギーに変換する交流発電装置です。

 かつての自動車には、直流発電機(ダイナモ)が搭載されていたこともあります。しかし現在は、オルタネータによって発電した三相交流電力を、ダイオードを用いた回路で全波整流することにより、極めて効率の良い電力供給が行えるようになりました。全波整流による電流の流れは後ほど紹介します。

オルタネータで発電した三相交流電力を全波整流することで効率を向上できる オルタネータで発電した三相交流電力(左)を全波整流することで、右側の点線部の分だけ効率を向上できる。

 オルタネータが出力する電圧は回転数、すなわちエンジン回転数に比例して高くなります。これはエンジンが高回転になると、自動車の電装部品の基準電圧である12Vを大きく上回る電圧を出力する可能性があることを意味しています。そこで、エンジン高回転時には最適な電圧に下げる必要があります。さらに、エンジン低回転時には、電気負荷の状況次第で電装部品に出力する電圧の低下も起こります。この場合、先ほどとは逆にオルタネータが持つ性能限界まで出力電圧を上げなければなりません。

 これらのオルタネータの出力電圧制御を行うために、ボルテージレギュレータと呼ばれる制御装置が常に出力電圧を監視し、必要に応じてオルタネータの出力電圧を変化させています。これによって、刻々と変化する運転状況下においても、自動車の電装部品が正常に作動する電圧で電力が供給されているのです。

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