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» 2012年12月05日 11時45分 UPDATE

あの小寺信良がモータージャーナリストに転身!?:比較映像から理解を深める、自動車用ESCと二輪車用ABSの効果 (1/2)

交通事故を予防する上で効果を発揮する、自動車用のESC(横滑り防止装置)と二輪車用のABS(アンチロックブレーキシステム)。その機能と効果について、映像ジャーナリストとして知られる小寺信良氏の体験リポートをお送りしよう。小寺氏が撮影した試乗中の映像にも注目だ。

[小寺信良,MONOist]
自動車用ESCと二輪車用ABSの効果

 自動車のセーフティシステムには、パッシブ型とアクティブ型の2タイプがある。パッシブ型は、主に事故発生後の被害を軽減するためのもので、シートベルト、エアバッグ、座席のアクティブヘッドレストなどがある。シートベルトは車両への装備が義務化されたこともあって、早くから普及した。

 一方のアクティブ型は、事故を予防するための装置だ。最近では、富士重工業(スバル)の「EyeSight」など、カメラで前方の状況を認識して自動でブレーキをかけるシステムが注目を集めているが、車両に搭載された最初のアクティブ型セーフティシステムは、ABS(アンチロックブレーキシステム)である。

 1978年に世界で初めてABSを市場投入したのが、ドイツの電装部品サプライヤのRobert Bosch(以下、ボッシュ)だ。TCS(トラクションコントロールシステム)は、発進や加速時のタイヤの空転を防止する装置だが、これも1986年に世界で初めてボッシュが市場投入した。

装備の義務化が進むESC

 ABSやTCSと同様に車両の加減速を制御するタイプのアクティブ型セーフティシステムで、現在普及の過程にあるのが、ESC(エレクトロニックスタビリティコントロール)である。一般的には、横滑り防止装置と呼ばれており、これも1995年にボッシュが世界で初めて市場投入したものだ。

 ただESCは、自動車メーカーによって呼び方がさまざまで、DaimlerやVolkswagen、Audiの「ESP」、トヨタグループの「VSC」、日産自動車などの「VDC」、BMWの「DSC」、ホンダの「VSA」、三菱自動車の「ASC」、ダイハツ工業がかつて使っていた「DVS」などの名称がある。最近は、各社で名称がバラバラであることが普及の妨げになっているとして、ESCに統一する動きも出てきている。

 ESCの装備義務化については、欧州や米国が先行していたが、日本でも法制化が進んでいる。普通乗用車の場合、フルモデルチェンジした新車が2012年10月以降、全ての量産車についても2014年10月以降にはESCを標準装備することが義務付けられた。軽自動車の場合は、フルモデルチェンジした新車が2014年10月以降、全ての量産車についても2018年2月以降はESCを標準装備する必要がある。

 現在日本のESC装着率は60%程度で、北米、オーストラリア、欧州諸国に次ぐ数値となっている。しかし、自動車メーカーの数から考えれば、やや普及の度合いは低調と言えるだろう。

世界のESC装着率と今後の予測 世界のESC装着率と今後の予測(クリックで拡大) 出典:ボッシュ

 ESCも、ABSやTSCと同様に、原理的にはブレーキコントロールシステムの一種である。ただし、複数のセンサーを組み合わせることで、ドライバーがどこに車両を進めたいのか、そして車両は実際にどこへ向かっているのかをセンシングしながら、4つの車輪に対してそれぞれ最適なブレーキをかけることで、車両の挙動を制御する。

ESCに必要なコンポーネントは多岐に渡る ESCに必要なコンポーネントは多岐にわたる(クリックで拡大) 出典:ボッシュ

ボッシュのテストコースで試乗体験

 筆者は、ボッシュの栃木工場(栃木県那須塩原市)を見学した際に(関連記事)、同工場の最寄りにあるテストコースの塩原試験場でESCの効果を試乗体験する機会に恵まれた。ESCの有無によって大きく変わる車両の挙動を、車両の内外から撮影したので紹介したい。

 まず、一般道路と同じ摩擦係数の道路をESCオフの状態とオンの状態に分けて、ドライバーの方に走行していただいた。以下に示す走行中の映像からお分かりいただけると思うが、通常のアスファルトで舗装された道路であっても、ESCがない場合には、危機回避のための急激なハンドル操作によって、車両が横滑りして制御不能になることが分かる。結果的に制御不能になれば、一時的に危機回避はできるかもしれないが、自分自身が二次的な事故を引き起こす可能性が高まってしまう。

 ESCの効果が最も大きく発揮されるのは、凍結した路面など、摩擦係数が極端に低い状況での走行である。こちらも、テストコースでESCオフとESCオンの状態を実際に比較させていただいた。

 ESCオフの状態では、ドライバーが意図したのとは違う方向に滑り出し、いったんブレ始めると元の姿勢に戻すことが加速度的に難しくなる。一方、ESCオンの状態では、これだけスリップしやすい路面条件においても、ドライバーの意図した方向に車両の姿勢を制御しているのが分かる。

 ただし、ESCを搭載しているからといって全く横滑りしないわけではなく、少し滑り出したらすぐにESCによって車両姿勢を修正するといった挙動になっているため、運転していても違和感が少ない。

 これからの季節は、スキーに行くときなどに雪道を自動車で走行する機会も増えると思うが、ESCを装備していれば、かなり安全性が高まるだろう。ただし機能を過信してむちゃな運転をするのでは本末転倒なので、くれぐれもドライバーの責任で安全運転に心掛けていただきたい。

 なお、ESCは常時オンになっているシステムだが、ぬかるみにはまってスリップしてしまうような場合の脱出時には、手動でオフにすることができる。

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