鉄の土俵でガチンコ勝負! 自立型は69歳が初制覇、ラジコン型はベスト3を高校生が独占動画で見る「全日本ロボット相撲全国大会」(1/2 ページ)

相撲の聖地、両国国技館で開催された「第24回 全日本ロボット相撲全国大会」の模様を多数の動画を交えながらリポート。鋼鉄の土俵の上で“ロボット力士”が激しくぶつかり合う様子は、ホンモノの相撲以上の迫力がある!

» 2012年12月25日 11時50分 公開
[大塚実,MONOist]
全日本ロボット相撲大会

 「全日本ロボット相撲大会」の全国大会(全日本の部)が2012年12月16日、両国国技館において開催された。

 同大会は、1989年より富士ソフトが主催しているロボット競技会で、今年で24回目の開催(初年度はプレ大会)となる。国内9カ所の地区大会および世界4カ国の国際大会を勝ち抜いた93台もの“ロボット力士”が集まり、鉄の土俵上で激戦を繰り広げた。


両国国技館 「相撲」と言えば、会場はやはり両国国技館。枡席から観戦することができる

まるで走るチリトリ!? 超高速な壮絶バトル

 ロボット相撲のルールは非常にシンプル。「相撲」と呼ばれることからも分かるように、試合はロボット2台による対戦形式で行われ、相手を土俵の外に押し出すことで勝負が決まる。試合時間は3分間、この時間内に2本先取した方が試合の勝者となる。

 相撲と違い、ロボットが転倒しただけでは負けにならないが、ひっくり返った状態ではもう動くことができないので万事休す。相手ロボットの下に潜り込み、相手を地面から浮かすことができれば有利になるため、前方に「ブレード」の付いたチリトリのような形をしたロボットが多く、激しい衝突により、吹き飛ばされるロボットの姿も見られた。

動画1 試合の“スロー”映像。どちらもチリトリ型だが、衝突で片方がはじき飛ばされている!

動画2 こちらは別の試合のスロー映像。横を取られたロボットが豪快に放り出された。

動画3 これは珍しいパターン。相手を浮かせたロボットが、そのまま下を通って自ら土俵の外へ。

 大会規定により、ロボットの大きさは、幅と奥行きがそれぞれ20cm以内という制約があるが、高さについては自由。3kg以内という重量制限もあるため、実際にはそれほど大きくできないものの、試合開始後の“変形”は認められているため、アームを上方に畳んでおいて、スタート後にそれを左右に展開するロボットもあった。

審判 ロボットには鋭利なブレードも付いていて危険なため、審判(行司)もこのような重装備に
押し合い 押し合いになり、ロボットから白煙が上がることも珍しくない。なかなか過酷だ

 土俵サイズは直径1.5mほどで、素材は鋼板。面白いのは磁石の使用が認められていることで、底面に強力な「ネオジム磁石」を装着することにより、衝突時に浮き上がらないようにしているロボットが多いようだ。

 大会には、人間がプロポを使って操作する「ラジコン型」と、ロボットが全て自動で動く「自立型」という2つの部門がある。どちらもロボットの規定は同じだが、自立型では、相手を検知するためのセンサーや、土俵からはみ出ないよう白線を感知するセンサーが必要。ラジコン型でも、センサーを搭載して人間の操作を補助することは可能だ。

動画4 「ラジコン型」の試合。手動とは思えないほど目まぐるしくポジションを入れ替えている。

 ロボットのタイプは大きく、“スピード重視型”と“パワー重視型”に分かれる。スピード型の戦いは、ブレードのない相手ロボットの側面や背面に回り込み、その弱点を突くのが基本。一方、パワー型の戦いは、とにかく相手を前方に捕らえて、パワーにものをいわせて押し出すことを狙う。相手に合わせて戦略を変えるのも、試合の勝敗を左右する大きな要素である。

動画5 スピード型同士の試合は見応えがあるが、速すぎて肉眼ではよく分からないことも……。

動画6 同じ試合(動画5)をスローで。相手を浮かせ、瞬時に向きを変えて一気に押し出していた。

動画7 こちらはパワー型同士という珍しい試合。こう着状態になり、取り直しになることもある。

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