年末年始に見たい2012年「コマ大戦」動画まとめ大人も子どもも、コマを回して遊びましょう(2/3 ページ)

» 2012年12月28日 10時00分 公開
[小林由美,MONOist]

渋谷場所(エキシビジョン)――コマ娘・杏ちゃん

 コマ大戦は製造業の状況と同じく、男性の参加者が大半を占めるイベントです。そんな中、渋谷場所(渋谷ヒカリエで開催)では浴衣を着た物静かな女性が登場。「応援の方か」と思いきや、設計した張本人であって、当日の投げ手でもありました。

 日本コンピュータ開発の鈴木杏さんの本業はITエンジニア。高専時代には機械設計の基本を学んだということで、今回はその知識が生かされた形でした。そのコマを製作したのは由紀精密でした。

コマ娘・杏ちゃん

 彼女の華やかさで来場者の方々の注目を集めただけではなく、しっかり優勝もしました。比較的軽量で、相手の攻撃を上手にいなす設計となっている杏さんのコマは、「重いコマが強い」というセオリーを覆しました。

 ヒカリエの同じフロアでは、ちょうど「BRANCHと町工場展」が開催中でした。デザイナーと町工場がコラボした製品の数々が展示されました。プロダクトデザイナー 前川曜さん率いるBRANCHと由紀精密さんの取り組みについては、MONOistの記事でも詳しく取り上げました。

渋谷場所(エキシビジョン)

2013年本選に向けた地方予選

 以降で紹介するのは、2013年2月に開催するコマ大戦の全国大会出場を決めた地方場所です。

東北予選 仙台場所――惜しかった高校生

東北予選 仙台場所

 東北予選仙台場所は、2012年8月24日に開催されました。この大会には、東日本大震災で被災した企業も参戦しました。決勝には宮城県白石工業高校が勝ちあがり、富士精密と対決となりました。結果は富士精密が勝利をおさめ、モノづくりの大先輩たる面子は無事保たれたようです(!?)。

 この大会に出場していた岩沼精工の生産設備は、東日本大震災当時、津波に飲まれてしまったそうです。設備を無償提供するなどして同社の立ち上げを支援したのが、この大会で優勝した富士精密などの近隣企業でした。岩沼精工は現在、元気に操業中です。

関東大会 八王子場所――モーターでジャイロ効果

関東大会 八王子場所

 2012年9月30日に東京工科大学八王子キャンパスで開催された関東大会 八王子場所は、総エントリーが64チームにおよび、とにかく壮大なイベントとなりました。

 2013年の“本選”に向けた地方予選の第1回として開催したこの大会は、八王子市内の団体「HFA(Hachioji Future Association)」が主催。HFAとは、「はちおうじ未来塾」(サイバーシルクロード八王子による後継者育成塾)卒業生のグループです。HFAでは、八王子市の木であるイチョウをモチーフにしたコマの企画・販売もしています。

 大会当日はちょうど関東地方に台風が直撃しつつあるタイミングでした。帰りの交通機関の状況を懸念し、閉会時間が予定より早まってしまったのは残念でした。ただ、朝から台風直撃の予報が出ていたにもかかわらず、県外から大勢の方々が訪れていました。

八王子場所に出場した「八王子市内の精密切削加工3兄弟」:別に血縁関係があるわけではないそうです

 優勝したのは、安久工機。見掛けは何のへんてつもない普通のコマですが……その内部に小型モーターが組み込まれていました。モーターを回転させることでジャイロ効果を発生させていたのです。でも「電池が1分間しか持たない」という欠点があり、短時間で決着(ケリ)を付ける必要がありました。

信越北陸予選新潟場所――信州、強し

 2012年10月26日、赤い切削戦士 ケズルンジャー(東港工機 加藤さん)の念願がかなって新潟で開催された信越北陸予選新潟場所(新潟市産業振興センターで開催)。この大会で加藤さんは、ケズルンジャーではなく、あくまで“加藤さん”として実況席にいました。

信越北陸予選新潟場所

 最終的には長野県同士、……というかSWCN同士の対決になりました。少々事情がややこしいのですが、SWCNの代表ではなく一企業として参戦したスワニーと、SWCNそのものの対決です。

 結果は、スワニーが優勝。同社橋爪さんは、相手の投げ方を見て、左回りにするか右回りにするか判断しているとのこと。間近で見ていたとしても、そうと言われなければ、なかなか気が付かないことではないかと思います。

 この大会のアーカイブがYouTubeに残っていなかったため、ここではUSTREAMのアーカイブリンクを紹介します。

 >>信越北陸予選新潟場所

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