テクマトリックスがISO26262対応ツールを発売、価格は75万円からISO26262

テクマトリックスが販売するツール「Parasoft Concerto」は、ISO 26262をはじめとする機能安全規格に準拠したソフトウェアを開発するのに必要なトレーサビリティを確保するための機能を有している。価格は、10人規模のソフトウェア開発プロジェクトで利用できるパッケージで75万円からとなっている。

» 2013年01月08日 15時57分 公開
[朴尚洙,MONOist]
テクマトリックスが販売するソフトウェア開発管理ツール「Parasoft Concerto」

 テクマトリックスは、米国のツールベンダーであるParasoftのソフトウェア開発管理ツール「Parasoft Concerto(以下、Concerto)」の日本語版を発売した。Concertoは、開発したソフトウェアの機能安全規格への準拠を証明するのに必要なトレーサビリティについて、ソフトウェア開発ライフサイクル全般を通して確保するための機能を有している。日本市場では、自動車向けのISO 26262、一般産業機器向けのIEC 61508、医療機器向けのIEC 62304といった機能安全規格に加えて、米国食品医薬品局(FDA)が定める医療機器のソフトウェア安全規格への準拠が必要になる顧客を中心に展開する方針である。1年間の保守サービス費用を含む販売価格は、10人規模のソフトウェア開発プロジェクトで利用できるパッケージで75万円から。2年目以降の年間保守サービス費用は15万1000円からとなっている。

 Concertoは、機能安全規格に準拠したソフトウェア開発に必要とされる要件管理ツール(IBMの「DOORS」、Dassault Systemesの「Reqtify」など)や構成・変更管理ツール(IBMの「Rational ClearCase」、AccuRevの「AccuRev」など)に加えて、オープンソースの「Eclipse」やMicrosoftの「Visual Studio」といった統合開発環境(IDE)やテスト関連ツールとも連携して、トレーサビリティを確保する機能を持つ。

 テクマトリックスの取締役 上席執行役員でシステム エンジニアリング事業部の事業部長を務める中島裕生氏は、「Concertoは、既存の要件管理ツールや構成・変更管理ツールを置き換えるのではなく、それらと連携して情報を一元管理するという役割を担う」と説明する。

「Concerto」の機能 「Concerto」の機能(クリックで拡大) 出典:テクマトリックス

 Concertoの機能は、ソフトウェア開発プロジェクトの計画、実施、レビューという3つの段階に対応している。

 まず、ソフトウェア開発プロジェクトの計画段階では、「ポリシー定義」、「要求定義」、「タスク登録」、「ワークフロー定義」を行える。ポリシー定義では、プロジェクトを進める上でのスケジュールや予算に関するポリシーを設定し、そのポリシーに沿った開発ができているかを監視できる。要求定義では、規格の要求事項や開発要件、それらにひもづくさまざまな情報を管理する。要件管理ツールやMicrosoftの「Excel」で管理しているデータをインポートすることが可能だ。

「ポリシー定義」のイメージ 「ポリシー定義」のイメージ。設定したポリシーにどれだけ合致したソフトウェア開発を進められているかを3段階で評価できる。(クリックで拡大) 出典:テクマトリックス

 タスク登録では、要求定義で設定した要求や要件を、具体的な作業となるタスクに落とし込み、このタスクを担当者に割り当てることができる。タスクの詳細や割り当て先に関する情報は、Concertoだけでなく担当者が使用しているIDE上でも確認できる。

「タスク登録」のイメージ 「タスク登録」のイメージ(クリックで拡大) 出典:テクマトリックス

 そして、ワークフロー定義では、定められたワークフローに従った、タスクのレビューや承認を保証する機能を提供している。特に、FDAが求める医療機器のソフトウェア安全規格のPart11への対応で必要な電子署名機能の搭載が特徴となっている。テクマトリックスによれば、「電子署名機能の搭載により、米国の大手医療機器メーカーにも採用してもらえている」という。

「ワークフロー定義」のイメージ 「ワークフロー定義」のイメージ(クリックで拡大) 出典:テクマトリックス

 次に、ソフトウェア開発プロジェクトの実施段階では、「スケジュール管理」、「進捗管理」、「変更管理」、「テスト」などの進捗状況を管理する機能がある。スケジュール管理では、プロジェクトが期日通りに進行しているかなどを監視する。進捗管理では各担当者に割り当てられたタスクの達成度を確認できる。変更管理では、定義したワークフローに基づいて要求/要件の変更プロセスを管理することが可能だ。

 テストでは、Parsoftの自動テストツール「C++test」などと連携して、テストケースやテスト結果をタスクと関連付けることができる。

 最後に、ソフトウェア開発プロジェクトのレビュー段階では、プロジェクトの計画から実施に至るまでの間に収集されたさまざまな情報をグラフィカルに表示するリポートの生成を行える。機能安全規格に必要となる、トレーサビリティリポートも生成できる。

トレーサビリティリポートの生成イメージ トレーサビリティリポートの生成イメージ。要件、テストケース、テスト結果などを対応させたマトリックスとして出力する。(クリックで拡大) 出典:テクマトリックス

 Concertoはブラウザベースのツールである。このため、クライアントPCにインストールする必要がない。対応OSは、Windows 2000、Windows 2003、Windows XP、Windows Vista、Windows 7、Linux(CentOSを含むRed Hat系)、Solarisとなっている。

 中島氏は、「Concertoの日本市場での採用は、米国市場で実績のある医療機器分野から始まる可能性が高い。しかし、ISO 26262への準拠が待ったなしの状況にある自動車分野の需要も期待できる。要件管理ツールや構成/変更管理ツールなど、さまざまなツールと連携する機能を持つConcertoは、そういった単体ツールを既に導入している企業の開発環境に導入しやすい。また、10人規模のソフトウェア開発プロジェクトで利用できるパッケージで75万円からという価格も魅力的ではないかと考えている」と述べている。

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