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» 2013年01月16日 10時00分 UPDATE

心技隊流「未来を創るヒント」:特別な機械がなくたって、まだまだ頑張れるはず

心技隊メンバーである機械商社「鈴喜」の新年の意気込み――同社社長の鈴木佳之氏が見た好調な企業の特徴とは。

[鈴木佳之/鈴喜,MONOist]
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 私はNC自動旋盤を専門に販売している“機械屋”(機械商社)だ。いわゆる“自動盤屋さん(町工場)”に対して営業している。自動盤屋さんは自動車・弱電の大手メーカーの3次・4次の下請け外注が大半。年を追うごとに国内での自動盤加工の仕事が海外に流出していて、いままで量産加工がメインだった自動盤屋さんの仕事量は激減中。経営の存続すら危ぶまれる所も数多く見受けられる。

 昨今では、これまでの「国内製造業の空洞化」というより、日本国内で物を作らない、日本での物作りから全面的に撤退をする兆しさえ見えている。厳しい状況下、自動盤屋さんの中には、頑張る気力すらなくしてしまっている方も少なくない……。比較的楽観的な自分も、さすがに「生き残るために何かしなくては」と考えた。

 鈴喜は、2013年で設立4年目の“ひよこ会社”。「株式会社」といえども家内と2人で営む個人企業だ。まだ大きなことは出来ない……。日々の仕事をコツコツとこなし、自動盤屋さんのお役に立てることをする。これは当然のことだろう。

 そうした日々の中で、「日本の製造業全体に役に立つことがしたい」と漠然と考えていた。そんな折、埼玉中小企業家同友会の活動を通じて心技隊(ミナロの緑川賢司氏)の活動を知った。少しでも何か、日本の製造業のために役に立つことをして、それが、まわりまわって自分の元に、ひいては自分たちの子どもの世代に返ってくればいいと思って、2012年11月に心技隊に入隊した。

 激しい国際競争の中に暮らしているので、利益を優先するのは当然のことだ。しかし日本人の誇り、伝統、倫理観を持って仕事にあたることはとても大切なことではないかと思う。大手の日本企業が海外で自社のみの短期的な利益を追求し、大切な技術を海外に流出させてきた結果、停滞する日本の実情を招いてしまったと私は考える。親会社に頼って、そこから与えられた図面の加工をするだけでは、この先も生き延びていくことは厳しいだろう。

 中小製造業も諦めないで、少しだけ視点を変えて、一歩を踏み出す勇気が必要ではないだろうか。

私の見た「好調な企業の特徴」

 自分のお客さまの中には好調な企業もある。そんな方々は他社より抜きんでた独自性を持っている。使っているNC自動旋盤などは、特別な物というわけではない。仕事のやり方が、皆と少し違うだけだ。好調な企業は、自社の優位性を理解し、それを戦略的に活用して仕事を受注している。

 「諦めた」という方へ。それは、まだ早いのではないか。大げさなことをしなくてもいい。ゴール間際で頭1つ出して、1位を取れるように工夫さえすればいい。「自社の優位性や独自性は何か」、もう一度だけ、少しでもいいから、考えてみたらいかがだろうか。

 ここで、独自性を持つ好調な企業の実例を挙げておこう。

 自動盤業界では夜間の連続無人加工が難しいことから、SUS(ステンレス)304・316の加工は敬遠されがちだ。さいたま市にあるアキモト・パーツは、この加工分野に特化、卓越した技術を持っており、さらなる研鑚を重ねてきた。まずお客さまの要望に応えるため、懸命に難削材加工にトライしてきた。その結果を評価していただけるよう、利益を考えず工夫を続けてきた。自社の優位性がその分野にあると同社が気が付いたころには、業界のトップグループに入っていた。

 同社の見学はいつでも歓迎で「来るものは拒まず」。技術を惜しげなく、楽しそうに説明する秋元勝己社長の人柄もあって、同業者、機械メーカーからの相談が多数寄せられる。社長と直接面識のない方々も、誰かのうわさを聞き付け、連絡してくる。

 2012年以降も、同社は工場の拡張、新規設備を導入し、厳しい状況下でも果敢に挑み続けている。

 われわれ中小企業は今までのようにただ親会社からの仕事を待ち、問題のない製品を納めているだけでは先細りが見えている。積極的に自社の技術・独自性に磨きを掛け、生き残れるよう“舵とり修正”が必要であると私は考える。私たちの先輩方が築いてくれた日本の素晴らしさを後世に残すためにも。

 私たちには、次の世代を担う子どもたちに就労の機会を残す責任がある。現金や土地、金融資産を残す必要はないだろう。自分たちもチャンスをもらったように、次の世代にも、「夢を描ける社会」を残してあげたい。

 「当社も、停滞した状況から一歩でも抜け出せるよう、本年もチャレンジします!」。

Profile

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鈴木佳之(すずきよしゆき)

1964年生まれ。NC自動旋盤メーカー スター精密株式会社に21年間勤務。「転身支援制度」を活用し2010年前に起業。現在NC自動旋盤専門の機械商社を営む。厳しい状況下ながらもコツコツと新規顧客、取引先を開拓中。起業時の思い「自分の価値観で、自分の思うように動く」を実践中!

鈴喜のWebページ



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