今度のETロボコンは“2部門制”に! レッドカーペットで自らを表現せよコトづくり人材の育成へ

今年で12回目の開催となる「ETロボコン2013」の概要が発表された。今大会では、初級者がより参加しやすく、中・上級者がさらにスキルアップできるよう大胆な競技部門の見直しが行われた。

» 2013年02月14日 15時08分 公開
[八木沢篤,MONOist]
ETロボコン2013

 ETロボコン実行委員会は2013年2月13日、「ETロボコン2013(正式名称:ETソフトウェアデザインロボットコンテスト 2013)」の開催に向けた記者説明会を開催した。

 本稿では、今後のETロボコンの方向性と2013年大会で大きく変更になった点を中心に紹介する(なお、詳細や最新情報については、事務局の公式サイトを参照してほしい)。

これからの時代に必要なスキルは何か?

 長い年月がたつと、当初の思いや方向性と現実とのギャップに悩まされることがある。今年(2013年)、12回目を迎えるETロボコンも広く認知され、規模を拡大していくにつれてその思いを募らせていた。

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 設計力・実装力・問題解決力を有するソフトウェア技術者の育成を目指し、コンテスト活動を通じ、モデリングの普及を推し進めてきたETロボコン。しかし、10年目を過ぎたあたりから「スタート時の思いと現状とのギャップ。そして、日本の組み込み分野における人材育成を進めてきたという自負と業界が抱える現在の課題とのギャップについて悩んできた」と、ETロボコン 本部運営委員長の小林靖英氏は語る。

 多くの要素技術・先端技術を保有しているにも関わらず、かつてのように日本から新しいものが生まれなくなってきた。それはなぜか? そして、国際競争の激化や経済の先行き不安、現場の受託体質化などが進む日本のモノづくり現場で、一体何が欠けてしまっているのか?

 こうした現状・課題を受け、「次の10年に向けたETロボコン活動では、これまで追求してきた『どうやって作るか』を継続しながら、さらに『何を作る(創る)のか』『どうやって売るのか』まで考えられる・実践できる技術者の育成を目指す」(小林氏)という。つまり、性能や品質を追い求めるだけではなく、あらゆるモノやサービスを組み合わせて新たな価値や市場を創造する、いわゆる「コトづくり」ができる人材育成こそが、現状を脱却し、これからの日本のモノづくり・組み込み業界を活性化させるために必要というわけだ。

 具体的には、「アーキテクチャや製品、サービスを企画・作り出せる『5年後に活躍し始めるエンジニア』と、ビジネスを作り出せる『15年後に活躍するエンジニア』の育成を目指す」(小林氏)とし、ETロボコン2013で競技部門の見直しを行うことを明らかにした。

次の10年に向かって 次の10年に向かって

次の10年を見据え、新たなETロボコンへ

 見直しの狙いは2つある。1つは前述した「コトづくり」人材の育成。もう1つは、かねてより問題視されていた「若手・初級者の参加促進(全体数の底上げ)」だ。従来のETロボコンは特に部門設定はなく、走行競技と設計モデル審査の結果により評価されてきた。しかし、回を重ねるごとに常連チーム(企業)やベテラン勢が強くなり、初級者が参加しづらいという状況を生み出し、さらに、本来“設計図”であるべきモデルが、コンテスト向けに“見せる・魅せる”モデルへと変化していってしまった。

 そこで、ETロボコン2013では、前回(ETロボコン2012)の競技・審査を踏襲しながらも、初級者向けとなるよう難易度を見直した「デベロッパ部門」と、システムを企画・立案し、実際に動かせるモノが作れるエンジニアの育成を目的とした「アーキテクト部門」の2部門制で取り行うという。

2部門制でのコンテスト 2部門制でのコンテストとして生まれ変わる
デベロッパ部門アーキテクト部門 (左)デベロッパ部門/(右)アーキテクト部門の概要

 各部門の競技規約については、まだ検討中とのことで詳細は明らかにされていないが(2013年4月中旬に公開予定)、事実上の“新設”となるアーキテクト部門では、「ベーシックステージ走行後(クリア後)、『ロボコンレッドカーペット』と呼ばれるエリア(本来ボーナスステージのあるエリア)上で、あらかじめ事務局が提示したテーマを実現する機能(システム)を制限時間内に披露しなければならない」(ETロボコン 本部技術委員の太田寛氏)という。

 テーマは、4月中に事務局から発表されるそうだが、一体どんなテーマが出題されるのか? まだ検討中としながらも、太田氏は「マイクロソフトがワールドワイドで展開する学生向けITコンテスト『Imagine Cup』のようなイメージ。具体的に何を作れという指示ではなく、ある問題・課題(お題)を提示する。それを自らの技術力やアイデアでどのように解決(実現)するかをロボコンレッドカーペット上でプレゼンしてもらう予定だ」と語ってくれた。

まとめ 競技部門の概要
前後 2013年版の走行体「LEGO MINDSTORMS NXT」(予定)

ロボット/ロボット開発 コーナー

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