新興国で売れる白物家電は?市場調査(2/3 ページ)

» 2013年03月12日 13時30分 公開
[畑陽一郎,MONOist]

成長分野と非成長分野が分かれる中国

 中国(人口13億5000万人、生産年齢人口73.6%)は全体として成長するが、4つのカテゴリのうち、2カテゴリで成長率が下がると予測した。下がるのは、調理関係と空調・給湯である。

 インドネシア(人口2億4500万人、生産年齢人口66.5%)は人口増加率が1%以上と高いこと、中間層が厚くなっていること、家電普及率が低いことなど、好ましい条件が重なっている。このため、衣住関連や調理関係の市場が伸びていくことが期待できるという。インドネシア市場は販売市場だけでなく、東南アジア向けの生産市場としても魅力的である。

 インド(人口12億6000万人、生産年齢人口64.9%)は、人口規模が巨大であり、家電普及率が上昇中であるため、2013年以降も大幅な成長が期待できるという。衣住関係が堅調であり、今後は理美容関連の需要が伸びていくと予測した。ただし、日本メーカーよりも、韓国系メーカーや現地財閥系メーカーが先行している。

 ブラジル(人口1億9800万人、生産年齢人口67.0%)は人口が多く、中間層の広がりが魅力的だという。ただし、消費の減速やインフレの不安定要因がある。

 トルコ(人口7500万人、生産年齢人口67.1%)は欧州を覆う経済危機の影響下にはない。中間層の拡大がそのまま市場の拡大に結び付いているという。

 ロシア(人口1億4300万人、生産年齢人口71.8%)は、力強い成長は望めないものの、パーソナルケア関連を中心に安定した成長が続くと予測した。欧州系メーカーと韓国系メーカーが実績を拡大中であるという。

冷蔵庫は東南アジアで好調

 次に33品目のうち、冷蔵庫とルームエアコン、血圧計の動向を同社の調査結果から紹介する。

 冷蔵庫市場は堅調に推移する。2012年の成長率は対前年度比1.2%増。プラス要因は東南アジアである。生産、販売とも好調であり、中でもインドネシアの生産量が伸びている*1)。トルコは欧州市場の冷え込みの影響をあまり受けておらず、生産量の伸びが期待できるという。

 マイナス要因は中国だ。政府による販売優遇策の終了と消費の低迷が重なった他、輸出も減速している。このため、生産量が大きく落ち込んだ。両要因を足し合わせた結果、プラス要因が強く働いたことになる。2013年以降は欧州市場が停滞する中、新興国では冷蔵庫の低い普及率を背景に、需要拡大が期待でき、2017年の世界生産量は2011年比15.3%の1億5060万台と予測した(図3)。

*1) シャープは2012年6月にインドネシアのカラワン県カラワン工業団地に冷蔵庫と洗濯機の新工場の建設を開始した。冷蔵庫の生産台数は月産14万台。

図3 冷蔵庫の生産台数予測 世界市場の予測値を示した。出典:富士経済

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