累計販売台数500万台の内訳に見る、トヨタ製ハイブリッド車の知られざる歴史最初に発売したのは「プリウス」じゃない!?(2/2 ページ)

» 2013年04月19日 07時00分 公開
[朴尚洙,MONOist]
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販売が本格化したのは「THS II」から

 トヨタ自動車のハイブリッドシステムは、1997年3月に技術発表した「THS(Toyota Hybrid System)」から歴史が始まる。このTHSを搭載して同年12月に発売したのが初代プリウスである。

 しかし、同社のハイブリッド車の販売が本格化したのは、THSを進化させた「THS II」を搭載する2代目プリウスが発売された2003年9月からになる。2005年3月には、同じくTHS IIを搭載するSUVの「ハリアー ハイブリッド」(北米ではレクサスRX400hとして販売)を投入している。2006年3月発売の「レクサスGS450h」には、2段変速式リダクション機構を追加して新開発したFR車向けのTHS IIが搭載された。このFR車向けのTHS IIはその後、2007年5月発売の「レクサスLS600h/600hL」、2008年2月発売の「クラウン ハイブリッド」にも採用されている。

 2009年5月発売の3代目プリウスでは、変速機構のないリダクション機構を搭載する「リダクション機構付きTHS II」を採用した。このリダクション機構付きTHS IIが、その後のハイブリッド車の多車種展開の基礎になった。2009年7月に「レクサスHS250h」、2009年10月に「SAI」、2010年6月に「オーリス ハイブリッド」、2011年1月に「レクサスCT200h」、2011年5月に「プリウスα」、2011年9月にフルモデルチェンジした「カムリ ハイブリッド」と「アルファード/ヴェルファイア」のハイブリッドモデル、そして2012年12月にアクアが発売されている。

初代「プリウス」から展開を広げてきたトヨタ自動車のハイブリッド車 初代「プリウス」から展開を広げてきたトヨタ自動車のハイブリッド車(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車

トヨタ初のハイブリッド車は「プリウス」ではない!?

 このように、トヨタ自動車のハイブリッドシステムといえば、THS、THS II、リダクション機構付きTHS IIのイメージが強いが、他にも開発しているものがいくつかある。

ハイブリッドマイクロバス「コースターハイブリッドEV」 ハイブリッドマイクロバス「コースターハイブリッドEV」(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車

 まず、トヨタ初のハイブリッド車として歴史に名を残しているのが、ハイブリッドマイクロバスのコースターハイブリッドEVである。初代プリウスより4カ月早い1997年8月に発売された。排気量1.5l(リットル)のエンジンは発電専用で、最高出力70kWのモーターだけで走行するシリーズハイブリッド方式を採用している。今でいえば、General Motorsの「シボレー・ボルト」のような、レンジエクステンダー搭載型のプラグインハイブリッド車と捉えることもできる。ただし、二次電池は鉛バッテリーを用いており、各電池セルの充電状態のばらつきを抑えるために、1週間につき1回程度、専用の充電器を使って均等充電を行う必要があった。2004年に生産を終了している。

「THS-C」を搭載する「エスティマ ハイブリッド」 「THS-C」を搭載する「エスティマ ハイブリッド」(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車

 次に、THSがTHS IIに進化する前の派生型ハイブリッドシステムが2つある。1つは、無段変速機(CVT)と組み合わせた「THS-C」である。室内空間を広く取らなければならないミニバン向けに開発したもので、エンジンと連携して前輪を駆動するモーターを1個、四輪駆動のために後輪を駆動するモーターを1個搭載する。発電機と走行用というように、用途を分けて2個のモーターを搭載するTHSとは構成が異なる。2001年6月発売の「エスティマ ハイブリッド」と2003年7月発売の「アルファード ハイブリッド」に採用された。エスティマ ハイブリッドは2006年6月のフルモデルチェンジ時にTHS IIに切り替えており、THS-Cを搭載するアルファード ハイブリッドは2008年に生産を終了している(その後、リダクション機構付きTHS IIを搭載した新型が2011年9月に発売された)。

「THS-M」を搭載する「クラウンロイヤル マイクロハイブリッド」 「THS-M」を搭載する「クラウンロイヤル マイクロハイブリッド」(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車

 もう1つは、「クラウン マイルドハイブリッド」向けに開発された「THS-M」である。THS-Mは、アイドルストップと減速時のエネルギー回生を効率よく行うことを主眼に開発された。二次電池は、当時注目された42Vの車載電源システムに対応する鉛バッテリーを使用している。現在、数多くの車種に搭載されているアイドルストップシステムの機能は、THS-Mに集約されていたといってもいい。クラウン マイルドハイブリッドは、2008年に生産を終了している。

 また、小型トラックの「ダイナ ハイブリッド」と「トヨエース ハイブリッド」、配送車「クイックデリバリー200」のハイブリッドモデルは、日野自動車からOEM供給されている車種である。

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