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» 2013年06月04日 09時30分 UPDATE

ICTで農業を救えるか!?:M2Mとクラウドのコンビネーションで実現する――地球に優しい“攻めの農業” (1/4)

明治大学、ルートレック・ネットワークス、セカンドファクトリー、日本マイクロソフトは、明治大学黒川農場が研究を進める「養液土耕栽培」をICTで実現する、養液土耕システム「ZeRo.agri」に関する報告会を開催。温室内に設置された各種センサーからの情報をクラウド(Windows Azure)上に集め、それを分析・解析し、その結果を基に、培養液(水と肥料を混合したもの)を必要なタイミングで、必要な量だけを自動供給するシステムを報道陣に披露した。

[八木沢篤,MONOist]
明治大学黒川農場

 新宿駅から特急電車で約30分――。丘陵地を切り開き、整備されたきれいな街並みが目の前に広がる。京王相模原線の若葉台駅だ。

 若葉台駅は、東京都と神奈川県のほぼ境界に位置する。実際に地図で確認してみると、駅の北側が東京都稲城市若葉台で、南側が神奈川県川崎市麻生区黒川となっている。ちなみに駅名は若葉台となっているが、駅自体は神奈川県川崎市麻生区黒川に属する。


京王相模原線 若葉台駅 京王相模原線の若葉台駅

 都心からほど近い若葉台駅からバスで約10分のところに「明治大学黒川農場(以下、黒川農場)」がある。きれいに整備された駅前から一変し、周辺はとてものどかな雰囲気である。

 農場の正門をくぐり、緩やかな坂道を上ると、環境配慮と自然共生の観点から“木造ハイブリッド構造”を採用した、真新しい本館が見えてくる。明治大学創設130周年記念事業の一環として、2012年4月に開場したばかりの体験型実習教育・研究活動が可能な未来型アグリエコファーム(サテライトキャンパス)である。総面積は約12ha(ヘクタール)。本館、アカデミー棟の他、有機圃場(ほじょう)や実習圃場、自然生態園、温室、豚舎などがある。

明治大学黒川農場の本館本館の先に温室エリアが広がる (左)明治大学黒川農場のシンボル的な建物である本館/(右)本館をくぐり抜けた先に温室エリアが広がる

 黒川農場は、自然エネルギー活用と資源循環型生産方式を実践する「1.未来型エコシステム(環境共生)」、生物多様性の保持・環境教育の場として活用する「2.里山共生システム(自然共生)」、産学官連携に取り組む「3.地域連携システム(地域共生)」の3つのコンセプトを掲げ、農学部のみならず他学部や地域社会との交流、国際協力までを視野に入れた、さまざまな活動を行っている。

 今回、ここ黒川農場で、産学連携によるICT(Information and Communication Technology)を活用した環境保全型農業「養液土耕栽培」に関する報告会が行われた(開催日:2013年5月28日)。本稿ではその模様を詳しく紹介する。

ICT利活用による「攻めの農業」を目指す

 今回の取り組みは、黒川農場が研究を進める養液土耕栽培をICTの力で実現し、新たな農業スタイル・新たな農業ビジネスの在り方を提案するものである。温室内に設置された各種センサー情報をクラウド上に集め、それを分析・解析し、その結果を基に、培養液(水と肥料を混合したもの)を必要なタイミングで必要な量だけ自動的に供給するシステムだ(詳細は後述)。

明治大学黒川農場内の温室エリア 明治大学黒川農場内の温室エリア。この一角で実証実験が行われている

 報告会には、明治大学 農学部 教授・黒川農場 農場長の玉置雅彦氏、明治大学 農学部 特任教授 小沢聖氏の他、M2M(Machine to Machine)プラットフォームの開発を手掛けたルートレック・ネットワークス 代表取締役社長 佐々木伸一氏、タブレット端末側のアプリケーションを開発したセカンドファクトリー プロダクト&サービス事業本部 井原亮二氏、そして、日本マイクロソフト 業務執行役員 最高技術責任者 加治佐俊一氏が登壇した。

システムの概要 システムの概要。各種センサー情報はクラウド(Windows Azure)上に収集され、分析・解析される。温室内の計測データの閲覧や栽培管理指標の設定などは「Windows 8」搭載タブレット端末で行う
連携の狙い 「連携の狙い」について
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