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» 2013年07月17日 14時50分 UPDATE

自然吸気で「ノート」超え:スズキが「デュアルジェット エンジン」を新開発、「スイフト」の燃費を2割向上

スズキは、排気量1.2l(リットル)のガソリンエンジンを新たに開発したと発表した。名称は「デュアルジェット エンジン」で、1気筒当たり2本のインジェクターを装備することで、燃焼効率の向上と各種損失の低減を実現した。同エンジンを搭載する小型車「スイフト」のJC08モード燃費は、従来比21%向上し26.4km/lを達成した。

[朴尚洙,MONOist]
スズキが新たに開発した「デュアルジェット エンジン」

 スズキは2013年7月17日、排気量1.2l(リットル)のガソリンエンジンを新たに開発したと発表した。名称は「デュアルジェット エンジン」で、小型車「スイフト」の新グレードに搭載する。1気筒当たりの2本のインジェクターを装備することで、燃焼効率の向上と各種損失の低減を実現した。スイフトの新グレード(2WD/CVT(無段変速機)のJC08モード燃費は、従来グレードの21.8km/lから約21%向上した26.4km/lを達成した。スーパーチャージャの搭載によってエンジンをダウンサイジングした日産自動車の「ノート」が記録した25.2km/lを上回っており、排気量1.2l以上のガソリンエンジン車でトップに立ったことになる。


sp_130717suzuki_01.jpgsp_130717suzuki_02.jpg 左の写真は、スズキが新たに開発した「デュアルジェット エンジン」。右の写真に示す、「スイフト」の新グレードに搭載されている(クリックで拡大) 出展:スズキ

圧縮比を11.0から12.0に高める

 デュアルジェット エンジンは、スイフトに2007年から搭載されている排気量1.2lの4気筒エンジン「K12B」をベースに開発された。圧縮比を従来の11.0から12.0に高めて燃焼効率を高めるとともに、エンジンから発生するエネルギーを外部に伝達する際のさまざまな損失を低減している。圧縮比を高めた場合に起こりやすくなるノッキングを抑制するための工夫も多数盛り込んだ。

 これらの取り組みにより、デュアルジェット エンジンは、燃費向上と力強い走りを両立したという。具体的には、最高出力が67kW(6000rpm)、最大トルクが118Nm(4400rpm)となっており、ベースとなったK12Bエンジンの最高出力67kW(6000rpm)/最大トルク118Nm(4800rpm)とほぼ同じ動力性能を維持しつつ、エンジン単体での燃費を向上している。

sp_130717suzuki_03.jpg 「デュアルインジェクションシステム」のイメージ(クリックで拡大) 出展:スズキ
sp_130717suzuki_04.jpg 「クールドEGR」のイメージ(クリックで拡大) 出展:スズキ

 デュアルジェット エンジンには5つの技術が適用されている。1つ目は、「最適な燃焼室形状の工夫」である。圧縮比を高めるために燃焼室を小型化し、ピストン上部をなだらかな凹形状にしたことで、小径化した吸気ポートで作られる吸気の強い渦を保持するとともに、燃焼室内の筒内流動が強化された。燃焼室内の火炎伝播速度が上がることで、熱効率も向上。さらに、火炎の偏りも改善したので、ノッキングも抑制できるという。

 2つ目になるのが、名称の由来となっている「デュアルインジェクションシステムの採用」である。1気筒あたり2本のインジェクターを設置するデュアルインジェクターは、燃料を霧状に微粒化して噴射する。これによって、燃料が燃えやすくなり、熱効率が向上した。また、インジェクターを燃焼室に近づけて配置することで、噴射タイミングを適正化して筒内直入率を高め、ノッキングの抑制を可能にした。

 3つ目は、「クールドEGRシステムの採用」だ。EGR(排気再循環)する際に、排出ガスの一部を冷却してから燃焼室内に再循環させて燃焼温度を下げる。これによって、高圧縮比化に伴う気筒内温度の上昇によるノッキングを抑制できる。

 4つ目の「冷却性能の向上」では、ウォータージャケットの形状の改良や、ピストンの裏側にオイルを吹き付けて冷却するピストンクーリングジェットの採用を図った。これらの部品によるエンジンの冷却性能を高めて、ノッキングの抑制につなげている。

 そして5つ目は「低フリクション化」である。エンジンの損失の1つである摩擦抵抗(フリクション)損失を低減するために、ピストンをはじめ、シリンダー、クランクシャフト、タイミングチェーン、オイルポンプなどにさまざまな改良を施して、摩擦抵抗を低減したという。

「スイフト」の新グレードには「エネチャージ」なども搭載

 スイフトの新グレードは、新開発のデュアルジェット エンジンとともに、軽自動車の「ワゴンR」などの燃費を大幅に高めるのに貢献したリチウムイオン電池と高出力オルタネータを用いるブレーキ回生システム「エネチャージ」やアイドルストップ時にも蓄冷材を通して冷風を室内に送れる「エコクール」、時速13km以下でエンジンを停止するアイドルストップシステムなども搭載している。

 低速〜中速域におけるエネチャージのオルタネータのトルクを利用した加速をはじめ、26.4km/lというJC08モード燃費を達成する上でこれらの新技術も大きく貢献した。

 そこで、スイフトの新グレード名には、デュアルジェット(Dual Jet) エンジンとエネチャージ(ENE-CHARGE)の頭文字をとって「DJE」の表記が加わる。最も安価な「XG-DJEグレード」(2WD/CVTモデル)の税込み価格は139万7550円。従来のK12Bエンジンを搭載し、エネチャージなどは非搭載で、JC08モード燃費が20.6km/lの「XGグレード」は127万9950となっている。価格差は11万6000円である。

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