シーメンスPLM、デジタル製造ソフト新版――Kinect対応など現実と仮想を組み合わせたシミュレーションを強化PLMニュース

シーメンスPLMソフトウェアは、デジタル製造ソフト「Tecnomatix」の新バージョンを発表した。新バージョンでは、現実と仮想を組み合わせたシミュレーションを可能とするなど、生産関連情報を一元化し、データの収集や変換などの手間を軽減させた。

» 2013年07月19日 20時00分 公開
[三島一孝,MONOist]

 シーメンスPLMソフトウェアは2013年7月19日、デジタル製造ソフト「Tecnomatix」の新バージョンとなる「バージョン11」の説明会を開催した。

 Tecnomatixは、3次元(3D)CADモデルを基に、製造工程を検証するソフトウェア。ライン立ち上げ前に検証が行える他、組み付け方法の検証を行いながら製造工程を進められるため、量産品の素早い市場投入に貢献できるとしている(関連記事:生産準備工程の同時立ち上げを促進するTecnomatix 10)。




「Teamcenter」での一元管理機能を強化

 新バージョンでは、同社のPLMソフト「Teamcenter」との連携を強化したことが特徴だ。Teamcenterでは製品情報の他、「Teamcenter Manufacturing」として製造情報を管理する機能を備えている。工程や作業者などの製造情報をBOP(Bill of Process)として管理してきた。従来はこれらのBOPを利用し、そのままシミュレーションを行うことはできなかったが、新バージョンではこれらの情報を基にデータ変換などを行うことなく、シミュレーションし、その情報を再びTeamcenterに保存できるという。

Tecnomatixが効果を発揮する生産工程(左)とTecnomatixを構成する機能(右)(クリックで拡大)

 また、シミュレーション機能を強化したことも特徴だ。より柔軟な設定変更が可能なロボットシミュレーション機能を備えた他、リアルとバーチャルを組み合わせたシミュレーション機能などを用意している。本物の制御装置と仮想上でのデジタル製造機械を組み合わせて1つの製造システムとし、それを稼働させて制御機器が正常に動作するのか、などをシミュレーションできるという。

 新工場に生産システムを導入する際には工場の建屋が建設完了した後に生産設備などを納入し、さまざまなテストを行い、生産システムとして構築していく。しかし、この機能を活用すれば、工場建屋が完成する前からシミュレーションできるため「生産の短期立ち上げなどが可能となる」とシーメンスインダストリーソフトウェア ビジネスコンサルティング部 五島直氏は話している。

「Kinect」に新たに対応

 またマイクロソフトのモーションセンサー「Kinect」に新たに対応。デジタルマニュファクチャリングにおいて、人間の動きを定義するのは非常に手間が掛かり、負担となっていたが、Kinectによりカメラの前で動くだけでその動きが取り込めるので、手間を大幅に簡略化できるという。

リアルの設備(赤丸)とバーチャルマニュファクチャリングを組み合わせたシミュレーション(左)、Kinect対応により簡単に人間の動きを定義可能(右)
シーメンスPLMソフトウェア アジア太平洋地域 デジタルマニュファクチャリング担当 マーケティングマネジャーのジョン・ルーイ氏 シーメンスPLMソフトウェア アジア太平洋地域 デジタルマニュファクチャリング担当 マーケティングマネジャーのジョン・ルーイ氏

 シーメンスPLMソフトウェア アジア太平洋地域 デジタルマニュファクチャリング担当 マーケティングマネジャーのジョン・ルーイ氏は「グローバル化が進む中、製造現場の複雑さは増す一方だ。シミュレーションをうまく活用することで、物理的な試作を減らすことで生産コストやオペレーションコストを下げることができる。また新バージョンではPLMとMESの統合を進め、仮想的に計画していた部分と物理的な部分のギャップを埋めることができる」と話している。

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