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» 2013年07月23日 09時30分 UPDATE

製造ITニュース:シーメンスが描くモノづくりの青写真は、現実と仮想、ソフトとハードをシームレスに結ぶ世界

シーメンスPLMソフトウェアは年次ユーザーイベント「Siemens PLM Connection Japan 2013」を開催し、製品ポートフォリオや戦略などについて説明した。

[三島一孝,MONOist]
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 シーメンスPLMソフトウェアは2013年7月19日、東京都内で年次ユーザーイベント「Siemens PLM Connection Japan 2013」を開催。基調講演には米シーメンスPLMソフトウェア業界戦略担当シニアバイスプレジデントのスティーブ・バシャダ氏や、シーメンスPLMソフトウェア日本法人代表取締役社長の島田太郎氏などが登壇し、モノづくり環境の変化と同社の戦略について説明した(関連記事:GoogleのようなPLMを提供する)。




PLMは成果物管理レベルでしか使われていない

シーメンスPLMソフトウェア 日本法人 代表取締役社長の島田太郎氏 シーメンスPLMソフトウェア 日本法人 代表取締役社長の島田太郎氏

 シーメンスPLMソフトウェア 日本法人 代表取締役社長の島田太郎氏は、日本経済のさまざまな指標を示しながら国内製造業の問題点について示しつつ、より高度なPLMの必要性を訴えた。

 島田氏は「日本は景気回復の兆しが見え始めているが、製造業にとっては厳しい状況が続く。貿易赤字は大きく設備投資は海外に向けたものが増えている」と話す。

 さらに「日本の製造業を競争力で見た場合技術力は依然として強い。GDPあたりの研究開発費の比率はドイツよりも高く、特許申請数や研究者数もGDPに対する比率を見れば他国に比べて高い水準にある。しかし多くの研究開発費を費やし技術力もあるのに競争力のある製品が生み出せていない。これは経営力に問題があるからだ」と指摘した。

競争力3国比較 主要国の製造業競争力比較(左)と、日本、米国、ドイツの統計比較(右)

 一方、モノづくりの観点で見た場合、「輸出を中心としたグローバル化」から「海外設計も含めたグローバル化」への移行が進み始めている他、システムエンジニアリング手法の活用などが進み、より高度な活用へと変化を遂げている。その中で製造業には自社の中にあるイノベーションの芽を素早く捕まえて製品化することが重要になってきている。

 しかし「われわれが提供しているPLMそのものが今まではそうしたニーズに応えられてきたのかというと疑問が残る。現状では成果物管理レベルでとどまっており、企業の中で意味のある情報が見えるPLM(Product Lifecycle Management)だったとはいえない。これらを見える形にしていく」と島田氏は話す。

 この製品ライフサイクルにまつわる全ての意思決定が3次元モデルを核にした1つのフレームワーク上で行えるシステムを「HD-PLM(High Definition Product Lifecycle Management)」とし「本当に製造業として役に立つものを提供していきたい」(島田氏)としている(関連記事:PLMのシナリオに即したインタフェースを〜HD-PLMが実現するのは“超PLM的UX”)。また振動騒音、疲労などメカトロニクスシミュレーション分野の企業で2013年1月に買収が成立したベルギーのLMS Internationalとのサービスの連携などについても紹介した。

モノづくりをシームレスに結ぶ

米シーメンスPLMソフトウェア業界戦略担当シニアバイスプレジデントのスティーブ・バシャダ氏 米シーメンスPLMソフトウェア業界戦略担当シニアバイスプレジデントのスティーブ・バシャダ氏

 一方、米シーメンスPLMソフトウェア業界戦略担当シニアバイスプレジデントのスティーブ・バシャダ氏は、製造業を取り巻く環境の変化について「モノづくりの変革」「製品イノベーション」「グローバル化」「時間とコストの圧縮」の4つのポイントがあると指摘する。

 バシャダ氏は「モノづくりのデジタル化が進み製品の製造方法を変革し、マスカスタマイゼーションを実現できるようになりつつある。また製品イノベーションを求める動きやグローバル化の動きはなお一層高まっている。さらにこれらの状況があるにもかかわらず製品のライフサイクルは短命化の傾向にある。例えば過去10年間における自動車の平均ライフサイクルは最高で19%短くなった。一方で、モデルのバリエーションは最高で113%増加した。従来の方法では製造業はニーズに応えられなくなってきている」と述べる。

ソフトから生産オートメーションまで持つシーメンス

 この流れの中、同社ではエンジニアリングプロセス全体を完全統合するオープン環境の構築を推進。それをHD-PLMとして提案していると強調した。では次世代のモノづくり環境とはどういうものになるのだろうか。

 バシャダ氏は「製品と製造のライフサイクルの統合」だと語る。PLMなどを含む製品軸の製品ライフサイクルの管理がバーチャルな設計と製造により効率化を実現していく一方で、これらとリアルな生産オートメーションをシームレスに組み合わせることで、モノづくりを取り巻く全ての要素を一元的に管理する。これにより「生産性の限界を超えることができる」(バシャダ氏)としている。

 シーメンスグループは、これらのモノづくりに関連する全ての要素を自社内に抱える(またはM&Aにより加えている)ことが強みだ。バシャダ氏は「シーメンスそのものが製造業である他、PLMなどモノづくりにおけるバーチャルな設計、製造ツール、生産オートメーションなどリアルの生産機械を全て自社グループ内で完結できるのはシーメンス以外にはない。将来的にこれらをシームレスに結ぶモノづくり環境を構築していく」と話している。

シーメンスが描くモノづくりのポートフォリオ シーメンスが描くモノづくりのポートフォリオ

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