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» 2013年07月26日 11時00分 UPDATE

MONOistミーティングレポート(2):メイカーズと町工場が組み「製品を作って売る」ということ (1/3)

個人や小規模な組織から、面白い製品を生み出してビジネスをするには? 2つ目のディスカッションでは、Arduinoを利用した製品を作る夫婦企業・鳥人間の久川真吾氏、SIからデジタルアートまで幅広い面白サービスを提供するチームラボの高須正和氏、独立時計師とコラボ製品にも取り組む町工場・由紀精密、メイカーズをデジタルツールで支援するオートデスクの塩澤豊氏が登場する。「一人家電メーカー」ビーサイズ 八木啓太氏の3Dプリンタ体験も。

[加藤まどみ,MONOist]

 2013年6月1日に開催されたイベント「MAKERSたちのビジネスをつなぐ、3Dツールと町工場」では、既に活躍中のメイカーズや独立デザイナー、町工場、小ロット製品出力サービス提供企業などが集合。会場は満席で、注目度の高さが感じられた。

>>1本目のディスカッションの内容

一人家電メーカーがストラタシスの3Dプリンタを使ってみた

 今回、スポンサーセッションは2本。1本目のディスカッションでも登場したプロトラブズ 社長 トーマス・パン氏。自社のオンライン試作・小ロット生産サービスについて、従来の射出成形サービスと比べながら分かりやすく説明。小ロット射出成形のコスト試算例や、ユーザーのコメント・事例も紹介した。

yk_mono_makeres2_01.jpg プロトラブズ 社長 トーマス・パン氏
yk_mono_makeres2_02.jpg ビーサイズ八木啓太氏もプロトラブズユーザー

 もう1つは、3Dプリンタベンダー ストラタシスの代理店アルテックの岩本晃輔氏と一人家電メーカー ビーサイズ 代表/デザインエンジニア 八木啓太氏によるセッション「一人家電メーカーがストラタシスの3Dプリンタを使ってみた」。八木氏が実際に設計中の製品を「Objet24」で試作した。その出来栄えについては「薄肉部や角もしっかり造形できていた」。筐体のサイズは「119X119X12mm」。造形時間は2時間47分で、材料費は7700円だった。

yk_mono_makeres2_03.jpg 左はビーサイズ 代表/デザインエンジニア 八木啓太氏、右はアルテック 岩本晃輔 氏
yk_mono_makeres2_04.jpg 八木氏の試作モデルについて

 「今は、3Dプリンタや無償CADなどさまざまなツールがあり、Web上にもいろいろと情報があるので、家電メーカーがスタートしやすくなっている」(八木氏)。

 また事前アンケートに書かれた質問に対しても回答していった。「3Dプリンタを使って、センサーや電子回路を筐体と同時に製造することは、技術的にどこまで可能か」という質問に関しては、「現状の3Dプリンタ単体では対応できない。既にある基板調達や製作のサービスと組み合わせれば実現できる」と岩本氏は答えていた。

ソフト寄りのメイカーズにはオープンハードがおすすめ

 2本目のディスカッションではベンチャー企業および町工場、ソフトウェアベンダーの4人が登壇。チームラボ カタリストDivの高須正和氏がモデレータとなり、鳥人間 代表取締役 久川真吾氏、由紀精密 開発部 生産技術開発室主査の上野雅弘氏、オートデスク 技術営業本部 シニアマネージャー 塩澤豊氏が「アイデアを具現化しよう」と題して、ディスカッションした。

 このディスカッションでは、アイデアを生み出して製品化、販売するまでの過程をリアルに紹介。それぞれのやりがいや苦労を語るとともに、コネクションの作り方やオープンソースの重要性などへ話は広がった。

yk_mono_makeres2_05.jpg 鳥人間 代表取締役 久川真吾氏

 久川氏が代表取締役を務める鳥人間は、Webやスマートフォンなどのアプリを開発する夫婦2人の企業だ。普段は“ソフト寄り”の技術が専門であるものの、学生時代には人力飛行機も開発していたこともあり、「形のあるものを扱うことも大好き」だという。2009年からは毎年モノづくりのイベント「Maker Faire Tokyo」(現在の名称)にソフトとハードを連携させたガジェットを出品するとともに、2012年からはハードの設計や生産・販売も行っている。

 ソフトのスキルは高いもののハードに慣れない人に勧めるモノづくりの取り組み方が、オープンソースのマイコン基板の「Arduino」を使うことだという。久川氏は2年前に、まず「国際宇宙ステーションが上空のどのあたりを飛んでいるか」をレーザー光線で指し示す箱型のモジュール「飛行石」を制作した。これはレーザモジュールをサーボモーター2個で動かす、ハード面では比較的単純な機構だ。

 次の作品ではフリーの配線CADを入手して自動配線し、基板を設計。この設計データを中国のWebサービスにアップロードして基板の発注も行った。

 次はGoogleが発売したオープンソースハードウェアでAndroid端末と接続して連携デバイスを自作できるArduino互換のアダプター基板「ADK」(Android Open Accessory Development Kit)を自作。配線は自動ではない。ADKは「Harpy」シリーズとして販売もしている。実際にハードを販売すると、製作も発送も自分なので、ニーズや品質保証について勉強するよい機会になったという。

yk_mono_makeres2_05_2.jpg ADK「Harpy」の楽しいハック

 現在はDNA増幅装置を製作している。これはDNA解析の際には欠かせないものだ。仕組みは試薬の中で「温度をn回上げ下げすると、2のn乗に目的のDNAが増えていく」というもの。だが1台100万円台といった値段になるため、教育用途などで気軽には使えない。そこでオープンソースで既に米国で個人が設計したデータを活用することにした。そのデータを元に改良製品を製作したという。原価は600ドル(約6万円)だった。2013年8月にはマレーシアの教育機関でこの製品が使われる予定だそうだ。「最初は遊んでいた状態だったのが、2年ほどで『Androidタブレットくらいなら作れる』というレベルまで来ている。オープンソースハードウェアに取り組みながら自分をレベルアップさせるのは非常にお勧め」とのことだ。

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