VTRヘッドシリンダベースの“いまいちな設計”を発見しよう甚さんの「バンバン板金設計でキャリアアップ」(14)(2/3 ページ)

» 2013年07月29日 11時00分 公開
[國井良昌/國井技術士設計事務所(Active Design Office),MONOist]

今回の課題は、“VTRの心臓部”

 甚さんが言う、難しい課題とは、今や、ほとんど見掛けなくなったVTRデッキです。その詳細図が図1です。大事な機能を担う、“VTRの心臓部”ともいえるヘッドシリンダベースは、樹脂フレームのA部、B部、C部の3点で固定されています。

図1 VTRデッキを分解:「ついてきなぁ! 加工部品設計で3次元CADのプロになる!」(日刊工業新聞社刊)より
甚

この先、ヘッドシリンダベースに関して、詳しく解説するぜぃ! 覚悟はできているんだろうな。


エリカ

はい!


良

モチのロンです! そして、これがVTRの心臓部か!


図2 VTRヘッドシリンダベースの詳細写真:「ついてきなぁ! 加工部品設計で3次元CADのプロになる」(日刊工業新聞社刊)より
良

まるで、ロボットのように複雑ですね。もしかしたら、ロボットの前身かもしれませんね。


甚

関心してねぇで、図2を解説してみろ!


良

分かりました。え〜と……


 “VTRの心臓部”のヘッドシリンダベースは、樹脂フレームのA部、B部、C部の3点で固定されています。ただし、A部とB部には、樹脂フレームから位置出しのピンが設けれ、そこに、板金製のヘッドシリンダベースの位置決め長穴がはまります。C部だけが、ねじ穴の固定のみです。

図3 VTRヘッドシリンダベースの3次元CAD(筆者設計)
良

うーむ。C部の形状は、ちょっと残念ですねぇ。


甚

C部の形状が残念とは、よく気が付いたじゃねぇかい? あん?


良

えへへ。あと、どうして、曲げを入れたんでしょうね。しかも、2回曲げですよ。


甚

そんじゃ、理想形状はどうだ。エリカちゃん、答えてみろ!


エリカ

図4のこれでどうですか? C部は2回曲げの必要があったかもしれないけど、ヘッドシリンダはVTRの心臓部というなら、板金材料の平面度をそのまま生かした方が無難だと思いますけど。


図4 VTRヘッドシリンダベースの理想形状(筆者設計)

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