ウェアラブルコンピュータの本格普及は2016年から市場調査/予測

矢野経済研究所は、スマートフォンと連携するサービス・機器に関する調査を実施。スマートグラスおよびスマートウオッチに代表されるウェアラブル端末の市場規模の推移・予測を発表した。

» 2013年08月02日 14時02分 公開
[八木沢篤,MONOist]
ウェアラブル端末

 矢野経済研究所は2013年8月2日、スマートフォンと連携するサービス・機器に関する調査を実施し、「スマートグラス」および「スマートウオッチ」に代表されるウェアラブル端末の市場規模の推移・予測を発表した。

 調査期間は2013年2〜6月。携帯電話機/スマートフォン端末メーカー、コンピュータ機器メーカー、国内半導体メーカー、関連業界団体などを対象に、直接面談や電話/電子メールによるヒアリングなどを実施。矢野経済研究所は「2013年版 スマートフォン連携サービス・機器市場展望」としてこれをまとめ、同年7月24日に発刊した(税込19万9500円)。

 本調査におけるスマートグラスの定義については、“頭部に装着する眼鏡型のディスプレイ端末で、バッテリー、無線機能を搭載し、スマートフォンと連携してさまざまな情報を表示できる他、音声入力による操作が行えるもの”としている。スマートウオッチの定義については、“スマートフォンと連携可能な時計型の端末で、時間に加え、メール着信や天気など各種情報の表示、内蔵されたセンサーによるバイタルデータ(体温、血圧など)の検知・収集が行えるもの”としている。


スマホ連携機器はさらに増大。ウェアラブル端末への関心高まる

 まず、市場背景と概況について、近年、スマートフォンと機器間の接続手段が、従来のUSBケーブルによる有線接続から、Bluetooth、Wi-Fi、NFC(Near Field Communication)に代表されるワイヤレス接続に変化した点を挙げる。ワイヤレス接続機能を標準搭載するスマートフォンの普及に伴い、AV機器、デジタルカメラ、カーナビゲーションシステムなどにとどまらず、今後は、スマートテレビや白物家電、ホビープロダクト、ウェアラブル端末との連携が増えるだろうと予測。中でも、スマートウオッチ、スマートグラスなどのウェアラブル端末への興味・関心は高く、ウェアラブル端末で収集したバイタルデータの活用に伴うセルフケア/ヘルスケアサービス事業などへの期待も高まっているとのこと。

スマートフォン連携の概念図 図1 スマートフォン連携の概念図

スマートグラスが花開くのは2015年以降か!?

 Googleが「Google Glass」の開発を表明して以降、ポストスマートフォンおよびスマートフォン連携デバイスの主軸として注目を集めている。現在、一部の開発者向けに提供を開始したが、ビジネスモデルの構築や装着時の安全性確保のための法整備の必要性といった課題は残る。そのため、コンシューマ向け/ビジネス業務向けともに、普及には時間がかかるものと予測される。

 ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を含む、2012年のスマートグラスの世界出荷台数は15万台。2013年は45万台を見込むが、市場規模は依然として小さい。2014年の第4四半期以降になると、スマートグラス市場に参入する企業が増え始め、2015年になると700万台、翌2016年には1000万台にまで急成長すると予想する。

スマートグラス(HMD)世界市場規模推移 図2 スマートグラス(HMD)世界市場規模推移【グラフ】
2010年 2011年 2012年 2013年(予測) 2014年(予測) 2015年(予測) 2016年(予測)
スマートグラス(HMD)世界市場規模(単位:千台) 50 70 150 450 1600 7000 10000
前年比 140.0% 214.3% 300.0% 355.6% 437.5% 142.9%
表1 スマートグラス(HMD)世界市場規模推移【表】

スマートウオッチが既存の腕時計に置き換わる日も近い!?

 一方のスマートウオッチは、スマートグラスよりも先行して市場投入されているため、現時点におけるウェアラブル端末の本命といえる。スマートウオッチの多くは、バイタルデータを検知するセンサーが内蔵されており、ワイヤレス通信でスマートフォンに取り込み、それをクラウド上にアップロードして、セルフケアに役立てたり、ヘルスケアサービスの提供を受けたりといった利用が進んでいる。引き続き、個人の健康志向の高まりや在宅医療での活用が見込めるため、参入事業者が増加するだろうと予測。その一方で、ディスプレイサイズやバッテリー持続時間などの機能面での課題や既存の腕時計との競合なども考えられるため、スマートフォン連携、機能、デザイン以外の“新たな価値観”を消費者に訴求する必要があるとする。

 2012年のスマートウオッチの世界出荷台数は95万台。2013年は急成長し、1000万台を見込む。大手IT機器メーカーの市場参入が見込まれる2014年は3500万台に、2016年には1億台に達すると予測する。

スマートグラス(HMD)世界市場規模推移 図3 スマートウオッチ世界市場規模推移【グラフ】
2010年 2011年 2012年 2013年(予測) 2014年(予測) 2015年(予測) 2016年(予測)
スマートウオッチ世界市場規模(単位:千台) 50 350 950 10000 35000 70000 100000
前年比 271.4% 1052.6% 350.0% 200.0% 142.9%
表2 スマートウオッチ世界市場規模推移【表】

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