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» 2013年09月06日 10時00分 UPDATE

製造現場で役立つ「画像処理技術」入門(3):画像処理の流れ

製造現場における画像処理技術とは何か? その特徴や導入時のポイントなどをきちんと理解し、生産性向上に役立てていきましょう。連載第3回のテーマは「画像処理の流れ」です。画像処理に関わる代表的な要素を紹介し、実際の流れを解説します。

[コグネックス,MONOist]
製造現場で役立つ「画像処理技術」入門

 本連載では、製造現場で用いられる画像処理技術にフォーカスし、その基礎・概要から、トレンド、導入事例に至るまでを詳しく紹介していきます。

 製造現場における画像処理技術とは何か? 本連載を通じ、その特徴やメリット、導入時のポイントなどをきちんと理解し、生産性向上に役立てていきましょう。連載第3回のテーマは「画像処理の流れ」です。


画像処理に関わる代表的な要素

 画像処理に欠かせない要素として、「照明」「レンズ」「カメラ」などが挙げられます。まずは、それら代表的な要素について紹介し、その後、画像処理の流れについて説明します。

照明

 対象物を“見る”ためには、照明を当てる必要があります。また、その対象物の何を見たいかによって、照明を工夫しなければなりません。例えば、対象物の輪郭を見たいのであれば背後から当てる透過照明が適していますし、対象物のキズを検出したいのであれば斜め急角度で当てる暗視野照明がよいでしょう。さらに、照明の色を適切に選ぶことも特定の特徴を抽出するのに役立ちます。

コグネックス社の「照明アドバイザ」の画面 図1 コグネックス社の「照明アドバイザ」の画面(画像提供:コグネックス)

 図1は、さまざまな照明方法をシミュレーションして、その効果を確認できるコグネックス社の「照明アドバイザ」というアプリケーションの画面です。このようなアプリケーションを活用し、目的にマッチした照明を選択するのも1つの手段です。

レンズ

 どれくらいの倍率で対象物を撮影したいのか、カメラと対象物との距離がどれくらいなのかによって、使用するレンズを選択します(図2)。

レンズ 図2 レンズ(画像提供:コグネックス)

 レンズはその歪み(ひずみ)特性や明るさ、解像度によって価格が大きく変わってきます。対象物のキズの有無検出であれば、あまり歪み収差にはこだわらなくても大丈夫ですが、寸法計測であれば、ある程度考慮した方がよいでしょう。

 また、レンズの選択以外でも、画像処理ソフトウェアで歪みの補正をかけることもできますし、レンズの前に光学フィルターを置いて特定の波長の光を透過させ、観察したい特徴のコントラストを上げることも可能です。

カメラ

 カメラは、光を電気信号に変える重要なユニットです(図3)。

カメラ 図3 カメラ(画像提供:コグネックス)

 画素数や撮影スピード、インタフェースの種類によりさまざまな機種が販売されています。対象物の細かな特徴を捉えたい場合は画素数の多いカメラを用いますし、高速な処理が要求される場合には撮影スピードが速いカメラを選択します。インタフェースについては、アナログやさまざまなデジタルの規格があり、選択に迷うところです。それぞれのメリット/デメリットを理解した上で選択する必要があります。

 ちなみに、ほとんどの場合は白黒カメラで十分ですが、色の検査を行う場合にはカラーカメラが適しています。

画像処理はどのように行われるのか

 照明、レンズ、カメラを通して、画像情報がコンピュータに入力され、その画像に対して画像処理が施されます。

 多くの場合、最初のステップとしてフィルター処理を行って、注目したい特徴を浮き上がらせます。フィルター処理には非常に多くの種類があります。大ざっぱに分類すると、ノイズを除去するもの、対象物のエッジを強調するもの、明るさやコントラストを変えるもの、画像を変形させるものなどがあります。これらは、具体的な演算手法の違いによってさらに細分化されます。1つのフィルターでうまく特徴を抽出できるケースもありますが、ほとんどが複数のフィルターを組み合わせることになります。フィルター処理については、画像処理を解説する書籍などでも多くのページを割いており、重要な要素技術といえます。

 フィルター処理によって注目したい特徴が抽出された後、目的に合わせて画像処理アルゴリズムを適用します。例えば、対象物の位置を計測したいのであれば、正規化相関マッチングや幾何学形状マッチングアルゴリズムを用います。幾何学形状マッチングでは、例えば、コグネックス社のPatMaxアルゴリズムなどがあります。これらは、あらかじめ「モデル」と呼ばれる対象物の画像をソフトウェアに記憶させ、そのモデルと一致するものを画像の中から探査します。対象物が複数あったり、それらが重なっていたり、似たような物体が見えていたりなどのさまざまな条件下でも、高速かつ正確に探査することが求められます。

 図4は、PatMaxを用いて、袋に入った部品を探査している様子です。袋の反射の影響を受けずに、きちんと部品を見つけています。

PatMaxで部品を探査 図4 PatMaxアルゴリズムで部品を探査(画像提供:コグネックス)

 キズの有無検査であれば、ブロブ解析と呼ばれる塊を抽出するアルゴリズムを用いて、キズの面積や位置などを計測します。前処理のフィルターでキズをきれいに抽出できるかどうかが、検出精度のカギとなります。

 バーコードの読み取りであれば、コードの位置を見つけた後、バーとスペースを抽出し、デコードします。2次元コードの読み取りも同様です。金属に直接刻印されたコードは読み取りにくい場合がありますが、照明や前処理のフィルターを駆使することにより、安定した読み取りを実現できます。

 このように、画像処理は照明、レンズ、カメラなどの要素で構成されており、優れた画像処理システムを実現するためには、これら要素のバランスを調整することが非常に重要です。



 今回は、画像処理の流れについて解説しました。次回は「画像処理製品の導入」をテーマに、具体的にどのような製品があるのかを紹介します。ご期待ください! (次回に続く)


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