ヤマハ、生産実績情報の“見える化”システムを採用――「セル別経営」へ製造IT導入事例

ヤマハは、生産実績情報をリアルタイムに“見える化”するために、ウイングアークの情報活用ダッシュボード「MotionBoard」を採用した。

» 2013年09月12日 14時00分 公開
[三島一孝,MONOist]

 ヤマハは、「生産性」「品質」「非生産時間」の3つの視点による生産実績情報をリアルタイムに“見える化”するための仕組みにウイングアーク1stの情報活用ダッシュボード「MotionBoard」を採用した。

 今回新システムの採用を決めたのは、電子楽器を生産する楽器・音響生産本部 エレクトロニクス生産統括部 豊岡生産部(以下、豊岡生産部)。豊岡生産部では、TPS(トヨタ生産方式)を採用し、生産現場の直接作業改善活動を推進してきたが、「間接労務費の増加」などの課題から直接作業だけの改善活動に限界を感じていたという(関連記事:オムロン逆転の発想、「カイゼン」と「省エネ」は同じことだった)。

 そこで、間接作業の負担を軽減するため、適切なタイミングでの生産実績情報の把握を目指し、新たなITツールとして、「MotionBoard」の導入を決定した。

 まず「生産能率」「不良率」「非生産時間」という3つの生産指標の統一を図り、入力業務の簡易化と標準化を推進。“紙とえんぴつ”から“タブレット”に移行するための「POPシステム(Point Of Production System、生産時点情報管理システム)」を構築し、「MotionBoard」と組み合わせることで、生産実績の報告を日次ベースで行うことを可能とした。

 また、「POPシステム」により報告の基となる入力に要する工数を大幅に削減し「MotionBoard」を利用して報告を行うことで、報告書を作成する工数をゼロにした。これらにより、生産実績情報の「リアルタイムの見える化」を実現し、生産現場自らの手で、業務改善サイクルを「早く」回す仕組みを実現したという。

「セル別経営」実現へ

 今後はさらに踏み込み、材料費、労務費、その他の経費など、それら全てをセル単位に金額ベースで示すことで、自分たちのセルが赤字なのか黒字なのかを把握し、生産現場に損益意識を浸透させた「セル別経営」の実現を目指すとしている。

 ヤマハ 楽器・音響生産本部 生産企画部 IT推進グループ 主任の宮田智史氏は新システム導入により「Excelでの月次報告書を作ることに要していた月間約50時間の間接工数がゼロとなった。週次の報告会議ではMotionBoardに表示される日次ベースの生産実績ダッシュボードを報告書代わりに使っている」とコメントしている。

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