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» 2013年09月19日 10時15分 UPDATE

無償3次元CADツール:RSが無償3次元CADに参入――CAD技術者もそうでない人も構想設計をより手軽に

アールエスコンポーネンツは、無償3次元CAD分野に参入する。ダイレクトモデリングが行える無償3次元CAD「DesignSpark Mechanical」を米SpaceClaimと共同開発し、提供を開始した。

[三島一孝,MONOist]
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 工業用電子部品の通信販売を行うアールエスコンポーネンツ(RS)は2013年9月18日、3次元設計が行える無償3次元(3D)CADツール「DesignSpark Mechanical」の提供を発表した。

 同社では、エンジニア向けコミュニティサイト「DESIGN SPARK(デザインスパーク)」を2010年に開設しており、全世界で25万人(日本では約7000人)の登録ユーザーを抱える。無償3次元CADツール「DesignSpark Mechanical」は、新たに同サイト内で提供するという。

3次元データをインテリジェンスに

アールエスコンポーネンツ(英国)のヘッド オブ テクニカル・マーケティングであるマーク・キャンドル(Mark Cundle)氏 アールエスコンポーネンツ(英国)のヘッド オブ テクニカル・マーケティングであるマーク・キャンドル氏

 3次元CAD分野に参入し、無償提供する理由について、RS(英国)のヘッド オブ テクニカル・マーケティングであるマーク・キャンドル(Mark Cundle)氏は主に3つのポイントがあるという。

 「ビジネスモデルとしては1つ目は潜在顧客層の開拓につながる点、2つ目は既存顧客の満足度を高められる点、3つ目は自社のインテリジェンスに活用できる点だ」とキャンドル氏は説明する。特に3つ目の自社内でのデータ活用については「すぐに目に見える成果だ」と強調する。

 RSは、部品やFA機器、計測機器などを通信販売するサービスを提供している。グローバルで100万人以上のエンジニアがサービスに登録しており、1日あたり4.4万件の出荷を、世界17カ所の物流拠点から行っている。

 これらに対し「新たに提供するCADツールでどういうモデルをダウンロードしているか、など3次元データに関する情報を集めて分析することで、既存のビジネスの判断精度の向上などにもつなげられる。例えば、ある地域およびある分野で特定の部品データのダウンロードが増えれば『関連する物流拠点で在庫を増やす』というような判断を行うことができる」とキャンドル氏は話している。

 無償3次元CADツールは、既に幾つかのCADベンダーがリリースしているが「従来の無償3次元CADツールは、有償版へのアップグレードを想定したものがほとんどだ。完全に無償で完結した機能を提供できる点に独自性がある」とキャンドル氏は強調する(関連記事:あの無償3DCADのその後 ――もっとCAD初心者寄りに)。

クレイモデル作成の置き換えを狙う

 無償提供するDesignSpark Mechanicalは、米CADベンダーであるSpaceClaimとの共同開発で実現したという。SpaceClaimは「SpaceClaim Engineer」などの有償のCADツールを提供しているが、SpaceClaim Engineerを基にRSの顧客が必要な機能を増やしたり、それほど活用されない機能を減らすなどをして、作り上げたという。例えば、エレメカ協調設計を実現しやすくするIDFファイル対応は、新たに盛り込んだ機能だという。

 DesignSpark Mechanicalはダイレクトモデリング方式を採用しており、自由に直感的なデータ作成が行えることが特長だ。またユーザーインタフェースもシンプルで、「プル」「移動」「フィル」「組み合わせ」の4つの主要ボタンで実践的な3次元設計が可能だという。またパーツのアセンブリが可能で、アセンブリ構造の作成・分解が行える。

DesignSpark Mechanical DesignSpark Mechanicalは4つの主要ボタンによる操作で直感的に自由な設計が行える(クリックで拡大)
DesignSpark Mechanical2 DesignSpark Mechanicalはアセンブリも可能で、アセンブリ構造の作成・分解などが行える(クリックで拡大)

 RSが提供する3万8000点の3次元モデルをオンラインからインポートすることが可能な他、PCB設計ツールで作成した設計図をIDFフォーマットでインポートできる。また設計データをSTLフォーマットでエクスポートできるため、3Dプリンタで簡単に試作品の製作が行える。

 直感的であるためCAD技術者でなくても扱うことが可能で簡単にアイデアやイメージをデータ化することができる一方、実際に製造すると実現不可能な形状でも設計できてしまうため、量産設計には向かない。キャンドル氏は「自動車でいえばクレイモデルのような、構想設計段階での活用を想定している。より自由にアイデアを形にできるようになる」と話している。実際に作成したデータを量産レベルに持っていくには、フィーチャーベースのCADツールへのデータ移行が必要となり「従来の3次元CADツールとは住み分けができる」(キャンドル氏)としている。

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