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» 2013年10月07日 14時30分 UPDATE

製造ITニュース:「新製品何作る?」をコンピュータに聞く時代――IBM事業戦略説明会

日本IBMは事業説明会を開催し、世界のCクラス役員がより「テクノロジー」を重視する時代であることを強調。同社の事業方針を説明した他、最新技術の事例を紹介した。

[三島一孝,MONOist]
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 日本IBMは2013年10月7日、事業戦略説明会を開催し、同社の事業方針や強化領域などについて説明するとともに、最新技術を生かしたグローバル事例などを紹介した。

 日本IBM 代表取締役のマーティン・イェッター(Martin Jetter)氏は、事業方針の説明に際し、組織、コンテンツ、人財についての3つの変革について紹介。「組織面では4つの支店体制を整備した他、新たな製品ポートフォリオを構築した。またモバイル研修が行える体制を構築し、この仕組みは成功事例としてグローバルIBMでも導入されようとしている。これらの変革のテーマとしたのは顧客と近い距離にあることだ」と目的を強調した。

「デジタル融合」を生かしきれない日本企業

日本IBM 代表取締役のマーティン・イェッター(Martin Jetter)氏 日本IBM 代表取締役のマーティン・イェッター(Martin Jetter)氏

 同社では、毎年グローバル企業の主要経営陣(Cクラス役員、CxO)に対しインタビュー調査を行っているが、2013年の調査「※)個客価値の共創(The Customer-activated Enterprise)」によると、CEOにとって「テクノロジー」が企業変革を加速する最も大きな要素とした回答がトップを占めたという。この結果は2年連続。さらに他のCxOにとっても3位以内を占めるなど、新たなテクノロジーに対してどう取り組むかということを大きな課題として挙げている。

 また、日本以外の企業と日本企業の比較を行った際に「顧客の影響力は大きさ」や「顧客理解度」は日本企業はグローバル平均よりも高く、顧客を重視する姿勢や関係性の深さを示す結果となった一方で「デジタルと実世界を統合した戦略がある」とした回答はグローバル平均よりも10%以上低い結果となった。

※)世界70カ国20業種の4000人以上のCEO、CMO(最高マーケティング責任者)、CFO(最高財務責任者)、CIO(最高情報責任者)など経営層との対面インタビューを元にした調査

テクノロジー重視デジタル融合 Cクラス役員はテクノロジーを重視する姿勢を示す(左)一方で「デジタルと実世界の統合」について戦略を持って取り組む日本企業は少ない(右)(クリックで拡大)

 イェッター氏は「日本においても顧客は『デジタルと実世界を統合する世界』を求めている現状は変わらず、日本企業もそのことを理解しているのに、現実が伴っていないという状況が明らかになっている。グローバルで最先端技術を展開するIBMには、そのギャップを埋める点で貢献できると考えている」と強調している。

4つの段階におけるビッグデータソリューション

 同社では、クラウド、ビッグデータ&アナリティクス、垂直統合型の「PureSystems」、商取引の最適化を図るスマーターコマース、ハイエンド製品群、などを重点領域とすることをあらためて強調。特にビッグデータ&アナリティクスについては、4つの分析段階に分けて、より上位となるサービスまで統合的に提案できる強みを訴えた。

 同社のビッグデータ&アナリティクス関連ソリューションでは、データ分析により「実際に何が起こっているのか」という現在の状況を把握する「Descriptive」、「今後何が起こるのか」という未来を予測する「Predictive」、さらにそれらに対し「どうすれば最大の成果が得られるのか」という成果予測を付加した「Prescriptive」、「最善の判断は何か」という、統合的な判断を下せる「Cognitive」の4段階のソリューションを提供している。

 米国IBMのミドルウェア・ソフトウェア担当シニア・バイスプレジデントであるロバート・ルブラン(Robert LeBlanc)氏は「グローバル化の流れの中、データに基づいた意思決定は日本企業にとっても欠かせないものになっている。IBMでは既存のデータ分析から経営の意思決定までも自動化できるようなソリューションを用意し、段階に応じて提供できる」と話している。

IBMのビッグデータ&アナリティクスのポートフォリオ IBMのビッグデータ&アナリティクスのポートフォリオ(クリックで拡大)

医療分野で活躍するワトソン、製造業への転用にも期待

 その最上位のソリューションとして位置付けられる「Cognitive」を支えるのが、2011年に米国の人気クイズ番組でクイズ王者を破った「Watson(ワトソン)」だ。ワトソンは人工知能に支えられた質問応答システムだが、IBMでは同技術の商業利用を推進。特に医療業界での導入が米国で進んでいるという。

 例えば、米国のメモリアル・スローン・ケタリングがんセンター、米国の医療保険会社ウェルポイントが、ワトソンの技術に基づいて開発された、認識コンピューティング技術を導入し実証実験を行っている。最適な解を導き出す思考メカニズム「Watson Paths」により、さまざまな症例を解析し、症状から導き出される仮設立案とその検証結果を表示できる。

 「症例を入力すると、構造化データや非構造化データなどを分析し病気を特定。その仮説などを文献を関連付けた形で表示することができる。医者が患者の病気を特定するプロセスの助けになると共に、文献により確信を持つことができる」(IBM担当社員)としている。

 同分野は、まだまだ未開拓な部分だが「判断のプロセスを助けるという意味ではあらゆる分野で活用が可能だと考えている。自動車など製造業の設計・製造分野ではさまざまな形で利用できるだろう」(IBM担当社員)としている。現在はデータの入力や仮説の精度などで課題が残るとしているが、今後さらに改善を進めていくという。

ワトソンの医療分野活用 ワトソンの医療分野での活用の様子。症状から病名を仮説する。文献などを同時に表示することが可能だ。製造業でもニーズから仕様を決定するなどのプロセス簡略化が可能に!?

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