連載
» 2013年10月09日 10時50分 UPDATE

甚さんの「コミュニケプレゼン」大特訓(1):設計者の皆さん、DRで「結局何が言いたいの」と言われませんか? (1/3)

営業職ではなくても、コミュニケーションとプレゼンテーションのスキルが大事! そのスキルを磨くことは、設計者にとっての“修行”ともいえる。

[國井良昌/國井技術士設計事務所(Active Design Office),MONOist]

当連載の登場人物

甚

根川 甚八(ねがわ じんぱち)

根川製作所 代表取締役社長。団塊世代の大田区系オヤジ技術屋。通称、甚さん

良

国木田良太(くにきだ りょうた)

ADO製作所 PC事業部 設計2課 勤務。甚さんいわく「イマドキな若者」。機構設計者。通称、良君


エリカ

沢田恵梨香(さわだ えりか)

ADO製作所 PC事業部 設計2課に勤務する派遣社員。良君のい〜加減な設計を製図でしっかりフォローする優秀な設計アシスタント。製図専門学校卒。通称、エリカちゃん


*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。


エリカ

今回は一体、何がテーマなのかしら? 楽しみです!


甚

おぉ、そうかい! エリカちゃんにそう言われると、オレサマも張りきっちまうぜぃ!


エリカ

私は、派遣の技術者なので、いろいろな企業を見てきました。いろいろといっても今は3社目ですけど。甚さんからもいろいろお話しを聞いて、さまざま企業の実態を知りました。とても感謝しています。


良

僕は新卒で入社してずっと、今の会社の正社員だから、他社の状況など全く知りませんでした。甚さんに、隣国企業の「年俸制+業務指名制」を教わって、ショックを受けました。


甚

おぉ、そうかい! そのショックとやらをまとめてみろ!


良

合点承知! こちらでどうでしょう?


良君がショックを受けた「甚さんキーワード」

  • 手抜きの設計フロー:工業国の中で設計書を書けないのは日本人設計者だけ。
  • 技術者の6W2H:「5W1H」に、さらに「Whom」と「How much」が加わる。この2つは日本人が苦手で、忘れがちなことでもある。
  • 技術者の4科目:技術者の四科目とはQCDPaである。しかし日本企業ではQしか推進、管理されていない。
  • 5N企業:「競合機分析やらない」「強度、安全率、累積公差計算しない」「特許出さない」「コスト見積もりしない」「設計審査やらない」
  • 企業選択良い会社と悪い会社の見分け方(甚さん流):就職難だからこそ、きっちりと見極めたい。筆者流の良い会社と悪い会社の見分け方(偏見もあるかも)。
  • 安全率:企業規模によらず、どこの企業でも必ず設計審査されるのが安全率である。
  • 隣国企業の年俸制と業務指名制:技術者は職人、設計者は職人。職人なら年俸制と業務指名制であるべきだ。競争なきは職人ではない。
  • 料理人と設計者の職人としての相違:料理人と設計者はともに職人のはず。しかし、設計者には修行がない。なぜ?
  • 派遣技術者の資質能力:「3次元CADを3機種ぐらい操作できる」「基本程度CAEが扱える」「設計書が書ける」「設計審査を受検できる」「プレゼンテーションができる」


良

うーん、今となってはなつかしいネタもたくさんだなぁ。


エリカ

私にとっては、一番最後の「派遣技術者の資質能力」がインパクトが大きいかも。


甚

うむ。実は、今回のテーマだがよぉ、その中にある「プレゼンテーション」だ。それをオメェらにパワーアップしてもらいてぇんだなぁ。


良

えー、それって設計者の僕にも役に立つんですかぁ〜? 営業とかしないですし。


甚

バァーロー! これは、むしろオメェのためのテーマだぜぃ!


甚

「ほし、みっつですぅ!」「ジャ〜ン!」……とかいう「チューボーですよ!」っつー料理番組があるだろ?


エリカ

甚さん! 私、母と一緒に毎週見ていますよ。


 「チューボーですよ!」の「未来の巨匠」コーナーでは、街の有名料理店で修行する新人の頑張り具合を紹介していますね。どの店の新人も、日々、厳しい下働きをして修行しています。

 新人は、食器を洗い、道具を洗い、閉店後はキッチンをまるで鏡のようにピカピカになるまで磨きます。そして、彼が店を出るのは午前さま。翌朝は誰よりも早く出勤し、昨日と同じように何百個というジャガイモや玉ねぎの皮を剥き、パスタ用の小麦粉を全力で練ります。ほとんど手作業で、機械は使いません。そうやって、白い皿に自分の料理を盛る日を目指し、精進しています。

 「白い皿に料理を盛る」こと。設計者にとって、この行為が製図なのです。皿への盛り付け方は、料理人の最終工程です。つまり、製図は設計者の最終工程なのです。

 「初めての設計」や「設計者の心得」、つまり「新人設計者にとっての“修行”」とは、「加工法の知識」「部品の設計法」「構想設計」「製図法」などを学ぶことではありません。

良

甚さん! それでは一体、新人技術者にとっての重要な修行とは何でしょうか?


エリカ

ぜひ、知りたいです!


甚

そうかぁ、そりゃ感心なこっちゃ。それは、だなぁ……。


 それでは、あなたがベテラン設計者になったとき、さらに目指す設計者の「頂点」は何だと思いますか? それは、設計関連の技術ですか、もしくは、さらに深入りした技術ですか? 豊富な技術ノウハウやテクニックですか? ――全て違います。

yk_jinbanban12_1.jpg 図1 技術者の修行とその頂点(「ついてきなぁ!設計心得の見える化『養成ギブス』」日刊工業新聞社刊より)

 設計スキルの頂点とは、設計者を取り巻く人々とのコミュニケーション力およびプレゼンテーション力のスキル、略して「コミュニケプレゼンスキル」です。

 新人設計者の心得として、初めに習得すべき能力がコミュニケプレゼンスキルであり、設計者として熟した最後の頂点もコミュニケプレゼンスキルなのです。

良

技術者にとっての修行とは、コミュニケプレゼンスキルなのですね。僕のやっているCAEの仕事も、専門知識や技量はもちろん必要ですけど、それよりも求められている力量って、コミュニケプレゼンのスキル(技量)なんじゃないかなと思いますよ。


甚

おぉ、ずいぶんと察しがいいじゃねぇかい。昔と違って、CAEしかできねぇ技術者は、もう、いらねぇんだよ! 早くそれに気がついたオメェは立派だ。


エリカ

よっ! 国木田さん、技術者の鏡だねっ! その根源がコミュニケプレゼンスキルだったのね。甚さん、私にも詳しく教えてください。


甚

そんじゃ、気分の良いところで、今回のテーマに突入だぁ!


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