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» 2013年10月15日 12時45分 UPDATE

新技術:パナソニック、交差点を見渡せる広い視野で車や歩行者を個別検知できるレーダー技術開発

パナソニックは、視界不良な環境下でも、広い視野角で歩行者や自転車を0.1秒で高速検知するミリ波レーダー技術を開発したと発表した。片側3車線の交差点を全面にカバーする広視野角で、40m先の自動車や歩行者、自転車などを20cmの距離精度で検出できるという。

[EE Times Japan]
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 パナソニックは2013年10月15日、夜間や濃霧など視界不良な環境下でも、広い視野角で歩行者や自転車を0.1秒で高速検知するミリ波レーダー技術を開発したと発表した。片側3車線の交差点を全面にカバーする広視野角とともに、40m先の自動車や歩行者、自転車などを20cmの距離精度で検出できる精度を実現したという。開発した技術は、2013年10月15〜18日に東京ビッグサイトで開催されている「第20回ITS世界会議 東京2013」で展示する。

 ミリ波帯のレーダーシステムは、夜間など視界が確保しにくい状況でも、移動物体を検知できる特徴を持つが、視野角を保ったまま測位精度を高めるためには、より高いダイナミックレンジが必要だった。交差点の全面監視が行えるような広い検知エリアを持つシステムは「実現されていない」(パナソニック)という。

片側3車線の交差点をカバー

 今回、開発した技術は、自動車だけでなく、20cm離れた歩行者や自転車を0.1秒以下で分離・検知できる技術で、複数のミリ波レーダーを同時に動作させて広視野角化にも対応できるもの。パナソニックは、2つの新規要素技術を開発し、20cmという距離精度と、道幅20m(片側3車線相当)の道路が直角に交差するような交差点をカバーできる広視野角化を達成した。

tt131015Pana01.jpg ミリ波レーダーの高精度、広視野角化のイメージ 出典:パナソニック

 開発した新規要素技術の1つが、自動車からの大きな反射ノイズの影響を抑圧することで、歩行者の高感度検出を維持し、高速な物体測位を実現する多次元電子走査技術だ。

 具体的には、相補符号という自己相関特性に優れたデジタル符号の一種を用いた符号化パルス変調方式を、1GHz超の広帯域を使用できる79GHzレーダーに適用し、マイクロ波帯と比較してドップラー周波数のシフト量が大きくなるミリ波の物理特性を最大活用できるようにした。これにより、広帯域化により従来比2.5倍の性能となる距離の分解能20cm以下を達成すると同時に、ドップラー周波数シフトに基づいて測定される速度の分解能1km/h以下を実現したという。さらに、40m先の歩行者検知に必要となる高感度化と車両からの反射ノイズを−40dB以下とする高ダイナミックレンジな反射強度の測定技術に加えて、距離、角度、速度をそれぞれ独立して、高分解能に測定する電子走査技術を開発、適用した。その結果、4次元空間の高分解能なレーダー走査が可能になり、車両などの極近傍にいる歩行者や自転車に対して、より安定した分離検出ができるようになったとする。

 もう1つの新規要素技術は、同一周波数の複数レーダー構成でも、お互いに干渉することなく分離性能を高めることで、高分解能と広視野角の両立を実現する直交化相補符号変調技術。

 ペア符号である相補符号を用いた符号変調のレーダー方式は、強い反射波によるノイズレベル上昇の要因となるレンジサイドローブ*)を、原理的にゼロにできるという特徴を持つ。その一方で、複数のレーダーを同時動作させた場合には、アンテナビーム方向が互いに近接する角度領域でも車両などの強反射波が相互干渉の要因となっていた。そこで、相補符号の系列に対して重畳するように直交符号化した符号多重ビームの形成技術を使用し、複数のパルスレーダー間で生じる相互干渉を40dB以上抑圧することに成功した。これにより、複数のミリ波レーダーを角度領域でセクタ化して同時に動作させることが可能になり、「120度以上の視野角と0.1秒以下のデータ更新周期を実現した」とする。

*)レンジサイドローブ:符号の自己相関特性によって生じる時間領域のメインローブとサイドローブのうち、サイドローブの特性を示す。レーダーでは光速から時間を距離に換算できるため距離領域のサイドローブと見なされる。

tt131015Pana02.jpg 開発した技術と従来技術の比較イメージ。左が従来技術のイメージで、車とバイク、道標と歩行者を一体のものとして検出した。右が開発した技術のイメージ。車とバイク、道標と歩行者を分離して検出できるという 出典:パナソニック

事故を未然に防ぐ検知センサーなどへ応用

 パナソニックでは、開発した技術を「79GHzレーターに適用し、交差点内の事故を未然に防ぐ検知センサーなどに応用することで、安全支援システムの進化と普及を加速する」としている。

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