テラヘルツ波で透過イメージングを行う非破壊検査装置、パイオニアが開発実装ニュース

パイオニアは、「第6回非破壊評価総合展」に、テラヘルツ波(100GHz〜10THzの周波数を持つ電磁波)を用いて物体内部の透過イメージングを行える小型軽量のテラヘルツスキャナーを2種類、参考出展すると発表した。

» 2013年10月24日 13時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
「テラヘルツハンディスキャナー」のイメージ

 パイオニアは2013年10月23日、「第6回非破壊評価総合展」(2013年10月30日〜11月1日、東京ビッグサイト)に、テラヘルツ波(100GHz〜10THzの周波数を持つ電磁波)を用いて物体内部の透過イメージングを行える小型軽量のテラヘルツスキャナーを参考出展すると発表した。

 テラヘルツ波は、光と電波両方の特性を兼ね備えており、布、紙、木材、樹脂、陶磁器を透過し、金属や水は透過しない特性を持つ。このため、物体内部の透過像の取得や分子相互作用の検出が可能であり、セキュリティや分光分析の分野への応用が期待されている。

 パイオニアが開発したテラヘルツスキャナーは2種類ある。同社が独自開発した780nm励起高効率テラヘルツ発振素子を使ってテラヘルツ波をパルス発振する「テラヘルツハンディスキャナー」と、ロームと共同開発した共鳴トンネルダイオードモジュール(関連記事:X線じゃなくても透けて見える、パイオニアとロームがテラヘルツ撮像に成功)を用いる「テラヘルツマウス型スキャナー」である。

 手持ちタイプのテラヘルツハンディスキャナーは、立体計測が可能なテラヘルツパルスエコー方式の採用と、ヘッド先端部に内蔵した変位センサーにより、測定対象物に押し当てて表面をなぞるだけで、積層された物体の断面形状を観察できる。塗装/薄膜の厚み計測、壁や構造物の欠陥/欠損診断、コーティングの剥離診断などの用途を想定している。

「テラヘルツハンディスキャナー」のイメージ 「テラヘルツハンディスキャナー」のイメージ 出展:アドバンテスト

 一方、テラヘルツマウス型スキャナーは、小型軽量の卓上型装置である。テラヘルツ波をCW(連続波)発振する電子デバイスの採用と、ヘッド部に内蔵された位置センサーにより、測定対象物に押し当てて表面をなぞるだけで、励起光源なしに測定物内部の金属物質などを透過イメージングすることが可能だ。封筒や包みの内部検査、金属物/プラスチックの異物検査などの用途を想定している。

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