2020年東京五輪の輸送インフラは電気バスに? 日野自動車が開発を加速東京モーターショー2013

日野自動車は、電気バスや電気トラック、プラグインハイブリッド(PHEV)バス、燃料電池バスなどの開発を、2020年東京オリンピック/パラリンピックにおける輸送インフラとしての採用を視野に入れながら進めている。

» 2013年11月28日 14時50分 公開
[朴尚洙,MONOist]
電気バスのコンセプトモデル「ポンチョ・ミニ」

 日野自動車は、「第43回東京モーターショー2013」(2013年11月20日〜12月1日、東京ビッグサイト)において、電気バスのコンセプトモデル「ポンチョ・ミニ」や、実証実験で運用中のプラグインハイブリッド(PHEV)バス「メルファ プラグインハイブリッド」を展示した。

 東京モーターショー2013には、日野自動車の他、いすゞ自動車、三菱ふそうトラック・バス、UDトラックスといった国内大手商用車メーカーが出展している。しかし、今回の展示で、商用車への電動化技術導入に関する展示を積極的に行っていたと言えるのは日野自動車だけだ。

日野自動車の市橋保彦氏 日野自動車の市橋保彦氏

 日野自動車は、小型トラック「デュトロ」に採用したハイブリッドシステムの技術をベースに、モーターだけで走行する電気バスや電気トラック、エンジンとモーターを搭載するPHEVバス、燃料電池の電力を使ってモーターで走行する燃料電池バスなどの開発を進めている。同社社長の市橋保彦氏は、東京モーターショー2013のプレスカンファレンスにおいて、「EVやPHEV、そして燃料電池車の技術を商用車に展開していく。そして、これらの環境対応車を、2020年東京オリンピック/パラリンピックの輸送インフラの選択肢として役立ててもらえるよう取り組みを進めたい」と意気込む。

 EVの商用車展開では、小型バス「ポンチョ」をベースに電気バスに改造した車両を国内3カ所で運用している他、新たに開発した「小型EV商用車プラットフォーム」を用いた電気トラックをヤマト運輸や西濃運輸の集配トラック向けに提供している(関連記事:集配トラックにも電気自動車、ヤマト運輸が「クール宅急便」に利用)。

 東京モーターショー2013で初披露したポンチョ・ミニは、小型EV商用車プラットフォームを用いた電気バスのコンセプトモデルだ。先述した「ポンチョ」ベースの電気バスは車両後部に搭載したエンジンに替えてモーターを搭載する後輪駆動方式の車両だが、ポンチョ・ミニはモーターなどのパワートレインを運転席の下部に配置する前輪駆動方式を採用している。このため、車両側方にあるドア以外にも、車両後部に観音開きのドアを設定している。この車両後部ドアを使えば、車いすやベビーカーの乗降も容易だ。

「ポンチョ・ミニ」(左)と「小型EV商用車プラットフォーム」(クリックで拡大)
「ポンチョ・ミニ」の車両後部ドアを使えば車いすでの乗降も容易 「ポンチョ・ミニ」の車両後部ドアを使えば車いすやベビーカーの乗降も容易(クリックで拡大)

新型の燃料電池バスを2016年に市場投入

 2013年10月に発表したPHEVバスのメルファ プラグインハイブリッドは、外部給電機能を備えており、災害時など緊急時の電力源としても利用できる。同年10〜11月には、岩手県釜石市や宮城県東松山市で実証試験を行った。

PHEVバス「メルファ プラグインハイブリッド」 PHEVバス「メルファ プラグインハイブリッド」(クリックで拡大)

 そして、燃料電池車については、2005年の「愛・地球博」などで運用された燃料電池バスの技術をベースに、「限定的ではあるものの2016年の市場投入を目途に新たな車両開発を進めている」(市橋氏)という。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.