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» 2013年11月29日 19時40分 UPDATE

3次元CADが作る未来の世界:3次元データを活用したモノづくりで環境問題解決と開発途上国支援 (1/2)

オートデスクのクリーンテックパートナープログラムおよびテクノロジーインパクトの参加企業・団体による、ユニークな小型風車開発、開発途上国の少年への義足提供など、環境問題解決や発展途上国支援の事例を紹介する。

[小林由美,MONOist]

 CADベンダー オートデスクの「クリーンテックパートナープログラム」は環境保護に関連する技術開発を進める企業を支援する取り組みだ。2009年から欧米で先行して開始した後、2011年2月から日本でも開始した。現在、グローバルで3000社、アジアで300社、日本国内で100社以上の企業を支援しているとのことだ。

 同プログラムでは、同社の審査を通過した環境保全技術(クリーンテック)に取り組む企業に対し、3次元CADなど設計・デザイン関連のソフトウェア2000万円相当(5ライセンスまで)を1万500円で提供する。提供製品の対象は、「AutoCAD Inventor Professional Suite」「Autodesk Showcase Professional」「Autodesk Vault Professional」「Autodesk Navisworks Manage」「Autodesk Revit Architecture」「Autodesk Alias Design」の6製品。

yk_autodesk_cleantech2013_01.jpg 米オートデスク 慈善事業およびサステナビリティ担当シニアディレクター Lynelle Cameron氏

 「環境問題に対応する企業の皆さんは、最高のイノベーターであり最高の起業家であると認識している。また、そういった皆さんに使っていただいて、その経験をフィードバックしていただくことで、製品を改善し、よい良い製品を提供したいと考えている」と米オートデスク 慈善事業およびサステナビリティ担当シニアディレクター Lynelle Cameron氏は言う。

 オートデスクは、2013年9月から、「Autodesk Technology Impact」(テクノロジーインパクト)というNPO法人を対象としたソフトウェア提供の活動も開始している。同社が定める資格を満たしたNPO法人に、1ライセンス当たり30ドルで、最大2ライセンスまで提供するという。こちらは当面、米国・カナダがメインとのことだが、それ以外の国の団体も個別で申し込みがあれば検討するという。提供製品は、「Autodesk Building Design Suite Premium」「Autodesk Product Design Suite Premium」「Autodesk Infrastructure Design Suite Premium」「Autodesk Entertainment Creation Suite Ultimate」。

クリーンテックパートナー企業による事例

 まずクリーンテックパートナーに参加する日本企業2社を紹介する。

 ウィンドレンズは、九州大学が開発した小型風力発電機「レンズ風車」を製品化・販売する企業だ。この風車は「風レンズ」というダクト機構で、風速を高めながら風を集めることで、従来の風力発電機と比べ3倍の発電が可能だという。

yk_autodesk_cleantech2013_03.jpg レンズ風車の3次元データ

 同社は、2次元CADを使っていたが、設計の意図が製作側にうまく伝わらないなど、不便を感じていた。また同社が扱うような空力機械は複雑な流体現象を扱うため、解析が必須である。プログラムに参加し3次元CADやCAE、ビジュアライゼーションツールなどの製品を提供してもらうことで、営業時のコミュニケーションの改善や、開発期間・コストの半減も見込めているという。

 もう1つ、エコファクトリーは、オフィス向け/一般住宅の輻射式の冷暖房システム「エコウィン」を開発・販売する企業だ。エコウィンは、冷水や温水が管を通る際に放射される遠赤外線により気温をコントロールするハイブリッドサーモシステムを採用している。

yk_autodesk_cleantech2013_04.jpg エコウィンの3次元CAD作業

 従来の冷暖房と比較して約3割の省エネ効果(同社)を実現できる。また無風なため、アレルギー源となるほこりなどを巻き上げることがない。同社も従来、2次元CADで設計をしてきたが、表現やデータ管理に限界を感じていたという。3次元CADとビジュアライゼーションツールを導入したことで、製作側や顧客に意思伝達がしやすくなったとのこと。

米国の事例

 米国のクリーンテックパートナープログラム参加社に、Bioliteがある。同社はアウトドア用モバイルストーブ「CampStove」を開発・販売している。

yk_autodesk_cleantech2013_05.jpg CampStove

 燃料には小さな木片を使用し、火から電気を発生させて、さらにその電力でファンを回して燃焼の効率を上げる仕組みになっている。余った電力は、USBコネクタ経由で携帯電話端末やスマートフォン端末などモバイル機器の充電に利用できる。この売り上げは、開発途上国向けの屋外調理用ストーブ「HomeStove」を安価に展開するための資金に使われる。

yk_autodesk_cleantech2013_06.jpg HomeStove

 従来の調理用ストーブは黒煙を排出し、それが屋内にこもってしまう。その害により死亡する人が年間200万人にのぼるという。HomeStoveはCampStoveと同じ仕組みで、煙の発生を従来比で95%に抑えることが可能だ。同社はプログラムから提供されたシミュレーションツールを使い、製品の性能解析を行い、試作削減を図り、時間やコストをセーブしたという。

yk_autodesk_cleantech2013_02.jpg クリーンテックパートナーの参加企業を紹介する、米オートデスク サスティナビリティ&クリーンテック、アジアパシフィック・ヘッド Joachim Jake Layes氏

 米オートデスク サスティナビリティー&クリーンテック、アジアパシフィック・ヘッド Joachim Jake Layes氏は、「クリーンテックパートナープログラムは、アジア太平洋地域においては、グローバル展開する企業やセグメントで浸透している。エコファクトリーは、シンガポールのトレードミッション(

貿易使節団:海外進出したい企業が集まり、海外で商談会を開く)が来日した際に、シンガポールの参加企業と交流している」と述べた。

 「海外の参加企業と交流し、アイデアやソフトの使い方などの情報交換する機会が得られることもプログラム参加の利点」(Cameron氏)。

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