連載
» 2014年01月17日 10時00分 UPDATE

甚さんの「コミュニケプレゼン」大特訓(4):6W2H抜きで生まれたハンパな? キッチンマット (1/2)

今回はキッチンマットを分析だ! キッチンをよく使う女性ならどういうマットが欲しいか、エリカちゃんと一緒に6W2Hで考えよう。

[國井良昌/國井技術士設計事務所(Active Design Office),MONOist]

当連載の登場人物

甚

根川 甚八(ねがわ じんぱち)

根川製作所 代表取締役社長。団塊世代の大田区系オヤジ技術屋。通称、甚さん

良

国木田良太(くにきだ りょうた)

ADO製作所 PC事業部 設計2課 勤務。甚さんいわく「イマドキな若者」。機構設計者。通称、良君


エリカ

沢田恵梨香(さわだ えりか)

ADO製作所 PC事業部 設計2課に勤務する派遣社員。良君のい〜加減な設計を製図でしっかりフォローする優秀な設計アシスタント。製図専門学校卒。通称、エリカちゃん


*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。


甚

オメェらよぉ、まさか「頑張れ日本!」を忘れてねぇだろうな! 今年こそ、アベノミクスに全産業が応えるべき年だ。それが震災復興にもつながるんだ! ところでよぉ、「3本の矢」の話を知ってっかい?あん?


良

歴史の授業で習いましたよ。戦国時代の武将・毛利元就の言葉です。1本の矢は、素手でも容易に折れますが、3本まとめてでは折れにくいことから、一族の結束を3人の子である隆元、元春、隆景に授けた教訓です!


甚

確かに3本の矢の“元祖”は、そうだがよう……。


エリカ

「3本の矢」とは、安倍晋三首相の経済政策 アベノミクスの成長戦略第2弾の基本方針。「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」のことですね!


良

ほうほう、そっちの3本の矢のことでしたか〜。もちろん知っていましたとも〜! 院卒ですから〜!


甚

本当かぁ? ま、いいか。そんじゃ、今年の抱負を言ってみろ!


良

僕は、「コミュニケプレゼン大特訓」を生かして、CAEと技術者間のコミュニケーションの円滑化を目指します。


エリカ

私は、年内に違う会社へ移りますよ。今回の「コミュニケプレゼン大特訓」は、面接時に生かします!


ラポールと6W2Hと荒ぶるエリカと

良

エリカちゃ〜ん、本当に辞めちゃうの?


エリカ

あんな低レベルの会社、もうこりごりです。……そうそう、甚さん! 前回、テレビ番組の『大改造!! 劇的ビフォーアフター』も、ラポールなくして成り立たないというお話がありましたね。


甚

おぉ、やっぱし、エリカちゃんはそこに来たか! さすがだぜぃ! さらに、ラポールだけじゃなくて、6W2Hもなんだ。


エリカ

えっと、まずラポールとは、「説得から入るのではなく、共有から入ること」でしたね。


良

僕もよく覚えています。確か、ミシュランガイドの……。


 前回も説明しましたが、近年、新米の料理人のうちから鍛えているのが「接客法」です。真の料理人なら「お客さまの表情を見て作れ! 表情が見えない厨房に隠れているな!」という時代、つまり、「お客さまとの共有を図るラポールが重要視される」時代となったのです。

エリカ

この延長線上に、「ミシュランガイド」に載る店、そして、そこまで導いた料理人の技量が評価されるわ。お客さまとのコミュニケーションが取れなければ、いつまでたっても「我流」「オレ流」の自己満足的な料理を出し続けてしまうわ。うちの会社の管理職にも見習ってほしいものだわっ! フンッ!


良

今回もまた、“エリカさま”降臨。


甚

お客さんの要望と時代の変化、味覚の変化をリサーチできなきゃよぉ、真の料理人じゃねぇ! もちろん、設計者も同じだろがぁ。「我流」「オレ流」の自己満足的な設計を横行させちゃいけねぇよぅ、あん?


良

そう、同じですね〜。


甚

とにかく、そこに気が付けばそれでいい! で、ラポールは理解できたとしても、「どうやってラポールを取るか」が問題なんだ。その道具になるのが、前回登場した6W2Hというわけよぅっ!


エリカ

なるほど!


お客さまの声を無視して作られたガラケー

エリカ

もう1つ聞きたいことがあるんですよ! 実は、前回のガラケー(ガラパゴスケータイ)の話なんですけど……。甚さん、こんなことを言っていたじゃないですか。


6W2Hを理解できねぇやつが、ガラケーを作っちまったんよ!

(甚さん)

良

結構、過激な発言でしたねぇ。


甚

オメェに言われたくねぇよ!


エリカ

あのー……、ガラケーのどこがいけないんですか?


甚

いけないワケじゃねぇんだがよぉ……。オイラは、どうもお客さんの声を無視して作られていたようにしか見えねぇんだ。


 日本製の携帯電話端末は、高機能と高信頼性を誇った、大変優れた機器でした。しかし、ふと気が付けば、世界の異端児になっていました。「世界で通用しない携帯電話端末」という意味で、「ガラパゴス携帯電話」、略して「ガラケー」と呼ばれるようになっていたのです。

 その主原因は、6W2Hで市場ニーズを分析することなく、日本のお客さまが欲しがりそうな機能をとにかく何でも1つの機器に詰め込んでしまったこと。つまり「何でもあり!」の携帯電話端末になってしまったからです。カメラ、ゲーム、財布、地図、歩数計、あげくの果ては放射線測定機能まで付加しました。

 今、スマートフォンに進化しても、同じことをしています(ガラスマ:ガラパゴス・スマートフォン)。

良

なるほど、甚さん! それって、僕の社内論文に引用していいですか?


甚

あぁ、いいとも。そんじゃ今からよぉ、そいつと似たような例を見せるぜぃ。これで説明すれば、簡単に理解できるかもしれねぇなぁ。


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