現場の管理監督者必見! 品質管理に必要な注意事項とは?実践! IE:現場視点の品質管理(18)(3/4 ページ)

» 2014年01月21日 10時00分 公開

(7)必要な品質情報をタイムリーに出していく判断力を持つこと

 生産現場には、社内外で発生した障害情報や不良統計データなど、多数の品質情報が集まってくるものです。しかし、作業中に発生した最もホットな品質情報は、現場の管理監督者でなければ出せないものが多くあります。

 例えば、品質には2つのバラツキがあります。一定の品質を目標として材料規格や作業標準書などの標準化を行って製造しても、出来上がった品物の品質には大なり小なりのバラツキを持っています。1つ目は“全く偶然によるバラツキ”、2つ目は“異常によるバラツキ”です。

 前者のバラツキは、許されるバラツキで「管理されたばらつき」といいます。後者のバラツキは、異常の発生が原因によるもので、直ちに原因を究明して手を打たなければならないバラツキで「管理されていないばらつき」といいます。

 この場合、現場の管理監督者としては迅速な対応が必要になります。例えば、原因が作業標準書通りに作業が行われていないときには、作業標準通り作業を行うように対処しなければなりません。また、作業標準の不備が原因である場合は上司に報告し、対策を立案して作業標準書を改定するよう働きかけ、再発防止に取り組まなければなりません。

 このように、バラツキの状況を判定して管理を行い、再発防止に重点を置くことによって、異常によるバラツキは次第に取り除かれていきます。工程は徐々に改善されて管理された状態になっていき、品質は一定の分布をしている状態を維持することができます。管理監督者は、異常と安定の区別と、作業の小さな異常でも直感的に捉えることのできる検出能力(感覚の鋭さ)が要求されます。

(8)異常に対する再発防止策を適切に行う

 製造過程の中で、異常が発見されたらその原因がどこにあるのか何らかの追究をすることになります。この場合、多くの関係者の意見を聞いて情報収集に努めなければなりません。自分の悪いことは棚にあげて(または隠して)他人に責任を押しつける人も見掛けますが、こういう態度は慎まなければなりません。

 異常に対して再発防止策を立案する場合、全てのことについて管理監督者が処置を取れるとは限りません。上司やスタッフがやらなければならないこともありますし、他の部門での異常発生によって、自分の担当する職場や製品に異常が発生することもあり得るのは当然です。しかしその場合、自分では処置が取れないからと諦めるのではなく、それぞれの担当部門に(または上司に)実態を報告し、積極的にその解決に協力するということも重要なことです。現場の異常管理における管理監督者の処置ついてまとめると次のような手順になります。

  • 作業の良しあしを判断する基準(データ)を決める
  • 異常の原因を取り除くということから考えて「現場で処置すべきこと」と「現場で処置できないもの」に分ける
  • 「現場で処置すべきこと」については、直ちに指示や標準通りに行うように直し、今後同じ原因で異常が起らないように処置を行う
  • 「現場で処置できないもの」については、それぞれの担当部門または上司に報告して処置を依頼し、これらの解決に積極的に協力する
  • 処置の結果をチェックして「異常の原因が除かれているかどうか」「正しく作業が行われるようになっているか」「その後に異常が発生していないか」あるいは「その兆候はないか」などを調べる。処置をやりっぱなしではダメで、その後のチェックやアクションが重要です。

(9)関係者(部下、スタッフ、上司)を適切に活用する

 管理監督者が自分自身でやれることには限界があります。例えば、問題解決のために多くのデータを集めて、統計的に処理して対策に適用していくことは大変なことです。管理監督者が担当する日常業務の余力では十分な時間を確保していくことが難しいかも知れません。

 また、統計的な考え方や各種の解析手法を活用していくには、ある程度の訓練も必要ですので、これらは、科学的思考に基づいて実施や提案をしていける専門部門のスタッフが担当した方が効果的です。これらのスタッフ部門は、いろいろなデータから得られた効果的な情報を実施部門である現場に提供し、実施部門は、その適用の結果をスタッフ部門にフィードバックするという業務の流れを確立しておくとよりスムーズな品質管理活動を行っていくことができます。

 このように関係者とうまく協力していけるかどうかは、品質管理の成功に大きく影響します。実施部門の管理監督者とスタッフが協力して効果的な品質管理を実施していくことが大切です。そのためには、全ての業務について品質管理の考え方を応用し実践していく態度と努力が重要な意味を持つことになります。

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