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» 2014年01月21日 17時00分 UPDATE

「セレナ」「ステップワゴン」と比較:新型「ノア/ヴォクシー」が低床プラットフォームから得た2つのメリット (1/3)

トヨタ自動車は、5ナンバーサイズのミニバン「ノア」と「ヴォクシー」をフルモデルチェンジした。新開発の低床プラットフォームの採用により室内空間を大幅に拡大するとともに、ハイブリッドモデルについては「アルファード/ヴェルファイア」では実現できなかった1列目シートから2列目/3列目シートへのウォークスルーが可能になった。

[朴尚洙,MONOist]
新型「ノア」の外観

 トヨタ自動車は2014年1月20日、5ナンバーサイズのミニバン「ノア」と「ヴォクシー」をフルモデルチェンジし国内販売を開始した。新開発の低床プラットフォームを採用することで、従来モデルよりも全高を25mm低減しながら、室内高さを60mm広げるなど、室内空間を拡大したことを特徴とする。また、商用が中心の最も安価なグレードを除き、アイドルストップシステムを標準装備するなどしてFF車のガソリンエンジンモデルのJC08モード燃費を16.0km/l(リットル)まで高めた。さらに、ノア/ヴォクシーとしては初となるハイブリッドモデルのJC08モード燃費は23.8km/lを達成している。税込み価格は、ガソリンエンジンモデルのFF車が218万〜260万円、4WD車が238万〜280万円、ハイブリッドモデルが285万〜297万円。月間販売目標台数は、トヨタカローラ店で販売するノアが3400台、ネッツ店で販売するヴォクシーが4600台である。

sp_140121toyota_01.jpgsp_140121toyota_02.jpg 「ノア」(左)と「ヴォクシー」の外観。両車の大きな違いはフロントフェイスにあり、ノアは「ミニバンの王道をいく“堂々感”」、ヴォクシーは「“毒気”のあるカッコよさ」を表現しているという(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車

電池パックはフロントシート下部に平置き

 新型ノア/ヴォクシーは、今回のフルモデルチェンジによって、JC08モード燃費を従来モデルの13.6km/l(FF車)から向上させている。ガソリンエンジンモデルの場合、エンジン排気量は2.0lで変わらないものの、バルブマチックの進化や、同社の無段変速機(CVT)として変速比幅が最大となる新開発の「Super CVT-i」を採用。アイドルストップシステムを搭載しない最も安価なグレード(ノアは「Xグレード“V Package”」、ヴォクシーは「Xグレード“C Package”」)のJC08モードは14.6km/lとなった。この他のアイドルストップシステムを搭載するグレードであればJC08モード燃費は16.0km/lとなる。

 またアイドルストップシステム搭載グレードは、エアコンを冷房で動作させている間に冷気を貯める「蓄冷エバポレーター」を内蔵している。これは、ズズキの「ECO-COOL」と同じで、アイドルストップする停車中でも冷気を車室内に送れるようにするシステムだ。

「蓄冷エバポレーター」の動作イメージ 「蓄冷エバポレーター」の動作イメージ(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車

 そしてハイブリッドモデルは、「プリウス」と同じ排気量1.8lのアトキンソンサイクルガソリンエンジンとハイブリッドシステム「リダクション機構付きTHS II」を搭載することによりJC08モード燃費を23.8km/lまで向上した。室内空間の広さが重視されるミニバンの場合、容積をとるハイブリッドシステムの設置位置が課題になる。新型ノア/ヴォクシーでは、エンジンと、インバータなどのパワーコントロールユニット、ハイブリッドトランスアクスルなどをエンジンルーム内に、ニッケル水素電池を用いる電池パックをフロントシートの下部に収めた。

新型「ノア/ヴォクシー」のハイブリッドシステムの設置位置とセンターコンソール部の高さ 新型「ノア/ヴォクシー」のハイブリッドシステムの設置位置とセンターコンソール部の高さ(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車

 同社は高級ミニバン「アルファード/ヴェルファイア」にハイブリッドモデルを導入する際に、フロントシートのセンターコンソール部に電池パックを縦型に配置していた。このため、フロントシートから2列目/3列目シートに移動することはできなかった。一方、新型ノア/ヴォクシーは、低床プラットフォームの採用により、フロントシート下部のスペースが広がったこともあり、フロントシート下部に電池パックを横にして平たく配置した。このため、フロントシートのセンターコンソール部の高さは200mmと、2列目/3列目シートへの移動が可能な程度に収められた。

スライドドア部の乗り込み口の高さは100mm以上低減して360mmに

 新型ノア/ヴォクシーにおける最大の改良ポイントは室内空間の拡大である。特に、ハイブリッドシステムの電池パックの効率配置でも役立った低床プラットフォームが重要な役割を果たしている。

新型「ノア/ヴォクシー」の寸法図 新型「ノア/ヴォクシー」の寸法図(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車

 まず外形寸法は全長4695×全幅1695×全高1825mmとなっている。全長は従来モデルよりも100mm増え、5ナンバーの限界まで広げた。その一方で全高は1825mmと25mm減少しており、車両を低重心化して走行の安定性を高める効果を生んでいる。しかし、全高を減らしてしまうと、ミニバンで重視される室内空間の広さに影響が出てしまう。この問題を解決したのが、新開発の低床プラットフォームである。

 この低床プラットフォームでは、燃料タンク、フロア、スライドレール、ワイヤーハーネス、フロアマットといった各部品を極限まで縮めることで実現した。例えば燃料タンクは、非常に薄く長い形状ものを新たに採用したという。

 低床プラットフォームの採用により、室内高さは従来モデルよりも60mm広くなり1400mmとなった。また、スライドドア部の乗り込み口の高さは360mmまで低くなった。従来モデルでは、乗り込み口の高さが465mmあったため、高さ360mmの部分にステップを設けるなどしていたが、そのステップと同じ高さになったので乗降性は大幅に高まっている。また、荷室開口部の床高さも従来モデルの560mmから500mmまで下がっており、荷物の積み降ろしもよりスムーズに行えるようになった。

「ノア/ヴォクシー」のスライドドア部の乗り込み口の高さ 「ノア/ヴォクシー」のスライドドア部の乗り込み口の高さ。左側が新型で、右側が従来モデルである 出典:トヨタ自動車

3列目シートの薄型化がもたらす効果

 ノア/ヴォクシーでは、2007年6月発売の従来モデルから、レバーでロックを解除するだけで自動的に跳ね上がる「ワンタッチスペースアップサードシート」を3列目シートに採用している。新型ノア/ヴォクシーは、このワンタッチスペースアップサードシートを薄型化し、リヤクォーターガラスの凹部にすっきりと格納できるようにした。これによって、3列目シートを格納した際の荷室幅は、従来モデルよりも200mm拡大し1100mmとなった。

「ノア/ヴォクシー」の「ワンタッチスペースアップサードシート」の比較 「ノア/ヴォクシー」の「ワンタッチスペースアップサードシート」の比較。青色で示した新型は、灰色で示した従来モデルと比べて薄型になっている 出典:トヨタ自動車

 ワンタッチスペースアップサードシートの薄型化による効果はこれだけではない。新型ノア/ヴォクシーでは、2列目がキャプテンシートとなる7人乗りモデルの場合、3列目シートを格納した状態であれば、2列目のキャプテンシートを最大810mmまで後方にスライドさせられる「スーパーリラックスモード」というシートアレンジが可能になる。これは、2列目のキャプテンシートを横スライドさせて中央に寄せられるようになるとともに、ワンタッチスペースアップサードシートの薄型化により、2列目のキャプテンシートと格納した3列目シートの間で干渉が起こらなくなったためだ。

7人乗りで2列目のキャプテンシートを最大810mmまで後方にスライドした状態 7人乗りで2列目のキャプテンシートを最大810mmまで後方にスライドした状態(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車
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