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» 2014年01月24日 10時00分 UPDATE

MONOistミーティング冬レポート(2):「お金がない」「技術がない」「製造・販売できない」「アイデアがない」は諦めるべきか? (2/2)

[杉本恭子,MONOist]
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課題3:製造・販売してくれるところがない

 資金もできた、技術もなんとかなるとすると、次なる課題はどこで量産して、どう販売するかという課題だ。


石渡氏

私の場合は、クラウドファンディングで資金を集めるためにプロモーションムービーを作りました。まずこれはすごく大事です。同時に、「全部自分でできる必要はない」というのも、その通りだと思います。いまラピロを予約購入してくれている人の半分はアメリカ人なので、英語のやりとりも必要だからやっていますが、詳細なビジネスのメールは代行をお願いしています。製造などで協力していただいている方々も、いろいろなご縁で出会った方々です。だから「まず、一歩進むこと」がすごく大事ですね。プロジェクトをやっていると、関わりたいという人たちも出てきます。

 ただ、それにはよいアウトプットを続けなければなりません。そのモチベーションが必要なのであって、販路などが最初からある必要はないと思います。もう1つ、技術の話とも関連しますが、オープンソースで技術を公開している人には、その人の思いがあるので、「タダで使ってもうけてやろう!」という考えだと、うまくいかないと思います。本家の人をすごく不愉快にさせるし、そのコミュニティーを敵にまわすことにもなりますから。


八木氏

いいアウトプットを出していけば、共感する人や興味を持つ人が、見つかってきます。そういうところに自分が参加していくことで、つながりを作っていく可能性は広がります。でも思いや人間関係も大事ですね。


課題4:アイデアがない

 では、そもそもアイデアがないのなら、諦めるしかないのか。

八木氏

アイデアの創出法とか、既にあるものからインスパイアされて新しいものを創造するという可能性は大きいのではないかと思います。


塩澤氏

私は、世の中には全てがほぼ出そろっていて、いま世の中で起こっていることのほとんどは、基礎的なものを組み合わせて新しいものを創出することなのではないかと思っています。逆に全く新しいものは、他人が理解できません。今まであったものをうまく組み合わせて、そこにストーリーを発生させて、それに共感する人が高いお金を払うということなのではないでしょうか。


山崎氏

出尽くした感は確かにありますね。アイデアの有無は、想定するビジネス規模とも関連があると思います。大手のメーカーの方々も決してアイデアがないわけではないんです。でも実現できないのは、何万人も働いているから、何万台も売らないとペイしないという理由があって、「これもダメ」「あれもダメ」と、丸まっていくのだと思います。でも今は、その製品を通してどんな経験を得られるかという、主観的な価値観で判断されます。世界中の8割の人に喜ばれるのは難しくても、「自分が欲しい」と思うものに、1000人でも共感してくれればいいという規模でできるのが、メイカーズなのではないでしょうか。


石渡氏

アイデアがあっても、日本では、会社勤めをしていると副業ができないなどの制約がある場合が多いですよね。いろいろな制約は、企業に属していても、属していなくてもそれぞれにありますが、属していない人間の方がやりやすいということはあると思います。


 最後にモデレータの八木氏は、「アイデアを具現化するための4つの課題に対して、それぞれの立場や経験から、いろいろな意見を聞くことができた。そのひとつひとつがヒントになると思うので、皆さんがアイデアを具現化するときの参考にして、諦めるのか、頑張るのかを判断する材料にしていただければと思う」と締めくくった。

 MAKERSムーブメントの盛り上がりもあるなかで、実現に対する苦言も聞くことができた。アイデアとは、そもそも「ゼロ」からは生まれないし、アイデアを具現化するための手段を探し、実行していくこと――それもまた、アイデアなのではないだろうか。

筆者紹介

杉本恭子(すぎもと きょうこ)

東京都大田区出身。

短大で幼児教育を学んだ後、人形劇団付属の養成所に入所。「表現する」「伝える」「構成する」ことを学ぶ。その後、コンピュータソフトウェアのプログラマ、テクニカルサポートを経て、外資系企業のマーケティング部に在籍。退職後、フリーランスとして、中小企業のマーケティング支援や業務プロセス改善支援に従事。現在、マーケティングや支援活動の経験を生かして、インタビュー、ライティング、企画などを中心に活動。


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