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» 2014年01月30日 16時00分 UPDATE

コミケ会場でも活躍の予感:NTTがICTカーで被災地の音声通話を回復、可搬型のICTアタッシュケースも同時開発

NTTは、大規模災害地などで情報通信機能を短時間で回復できる「ICTカー」を富士通などと共同開発した。Wi-Fi無線ネットワーク機能を用いて、被災地に設置されたICTカーを中心とする直径1kmのエリア内にいる相手と通常の電話番号で通話することが可能。衛星通信用の装置を接続すれば、エリア外の相手とも通話できるという。

[馬本隆綱,MONOist]
NTTの「ICTカー」

 NTT(日本電信電話)は2014年1月28日、大規模災害地などにおいて情報通信機能を短時間で回復することが可能な「ICT(Information and Communication Technology)カー」を富士通などと共同開発したと発表した。Wi-Fiの無線ネットワーク機能を用いて、被災地に設置されたICTカーの周囲半径500mのエリア内にいる相手と通常の電話番号で通話することが可能となる。東北大学、富士通、NTTコミュニケーションズとの共同研究プロジェクトの成果であり、今後は実証実験などを経て1〜2年以内の実用化を目指す。

 ICTカーはバンタイプの車両をベースに開発された。車載用小型ICTユニットを搭載し、ルーフにアンテナ類が取り付けられている。小型ICTユニットは、小型交換機(IP-PBX)やバッテリー、自立型Wi-Fiアクセスポイントなどの機能モジュールから構成されている。

 電力供給や燃料の調達が難しい被災地で運用することを想定しており、外部電源がなくても、あらかじめ搭載されたガソリンだけで5日間は動作できるようなシステム設計になっている。このため、発電機や太陽光パネルなどを備えるとともに、装置を冷却する空調システムに潜熱蓄熱材を用いた構造を採用するなどの電力消費を抑える工夫も施されている。しかも、ICTカーが現場に到着してから、1〜2時間というわずかな時間で無線アクセス網を稼働させられるという。これによって、Wi-Fiネットワーク機能を使い、被災地などで即時に電話/通信機能を回復させることが可能となる。

tm_140130ntt_01a.jpgtm_140130ntt_02a.jpg ICTカーの外観(左)と搭載された小型ICTユニット。下部には装置を冷却するための空調システムに潜熱蓄熱材が収納されている (クリックで拡大)

 利用者は、まず自身のスマートフォンからICTカーにアクセスし、専用アプリケーションをダウンロードして端末にインストールする。これによって、そのスマートフォンのWi-Fi機能を介してICTカーとつながって、内線電話機として機能が得られる。ICTカーが構築したWi-Fiエリア内に話したい相手がいれば、通信キャリアに関係なくいつも使っている電話番号で、相手と話すことが可能となる。

 ICTカーがカバーできる通信エリアは半径500mで、エリア内にいる被災者の間での安否確認や連絡、行政機関などによる被災者確認/情報伝達といった機能を利用可能にするのが大きな目的である。必要に応じてICTカーに搭載されたIP-PBXと、通信可能な光回線や衛星通信用の装置を接続すれば、ICTカーがカバーするエリア外にいる相手とも通話することが可能だ。外部からの着信については、まずIP-PBXの代表番号にダイヤルし、続いて内線番号にあたる個人の電話番号を入力すればつながる仕組みである。

tm_140130ntt_03.jpg ICTカーによる被災地でのWi-Fiエリア化 (クリックで拡大) 出典:NTT

 ICTカーは、被災者データ収集システムの機能も備えている。避難所などでタブレット端末などのカメラ機能を利用し、顔写真と免許証/学生証などに記載された個人情報を、簡単にシステムへ登録することができる。さまざまな被災者データを固有IDにひも付けして、被災者の避難場所や健康状態、支援物資の受け渡し実績などを一元管理することにより、迅速かつ適切な被災者支援活動に役立つとみている。

tm_140130ntt_04.jpg ICTカーが提供する主な機能 (クリックで拡大) 出典:NTT

 ICTカーに搭載する小型ICTユニットの機能を絞り込むことにより、さらに可搬性を高めた「アタッシュケース型ICT BOX」も同時に開発した。キャリーケースにはIP-PBX機能を備えた手のひらサイズのPCやバッテリー、Wi-Fiアクセスポイント、貸し出し用携帯端末などの必要機材を収納できる。このキャリーケースを被災地に持ち運べば即座に通話/通信機能を回復させることができる。NTTによれば、5000件の電話番号を登録することができ、同時に140コールを処理できるという。

tm_140130ntt_05.jpg 「アタッシュケース型ICT BOX」の概要 (クリックで拡大) 出典:NTT

 NTTは、2014年2月下旬に高知県の南国市と黒潮町の2つの自治体でICTカーの実証実験を行う予定だ。その後、1〜2年以内にNTTグループ各社や地方の公共団体などへの導入を目指す。なお、2013年11月に大型台風の被害を受けたフィリピン政府から、被災地域でのICTカー導入の要請を受けており、その対応も検討中という。同社は、被災地以外でも利用者が一時的に増加するイベント会場などで、ICTカーの機能を有効活用できるとみている。

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