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» 2014年02月07日 10時00分 UPDATE

モノづくりイベントレポート:モノづくりベンチャーが日本のモノづくりを盛り上げるには? (1/2)

ITと結び付いたモノづくりに取り組むベンチャー企業、Sassor、ガラポン、ユカイ工学の3社が、モノづくりベンチャーの現状や日本のモノづくりについて語った。

[小林由美,MONOist]

 サムライインキュベートは2014年2月15日、コワーキングスペース「MONO」で「第3回SAMURAI MONO FESTIVAL」を開催する。同イベントはモノづくりとITを中心としたスタートアップ(起業)をテーマとした講演・展示イベントだ。モノづくりベンチャーや町工場、3次元データサービス、メディア関係など、さまざまな形でモノづくりに携わる人たちが、議論を繰り広げる。

yk_samurai_01.jpg 第2回の会場の様子

 本記事では、2013年7月に開催した第2回より、サムライインキュベート 代表取締役 榊原健太郎氏がモデレーターとして仕切った、モノづくりベンチャー3社によるディスカッション「生活が変わる、デジタル時代のものづくり」の内容をお届けする。

yk_samurai_02.jpg 左から、ユカイ工学株式会社 代表取締役 青木俊介氏、ガラポン 代表取締役 保田歩氏、Sassor 代表取締役 石橋秀一氏

いまの事業を始めたきっかけは?

 Sassorは、消費電力量をリアルタイム表示するツール「ELP」(Energy Literacy Platform)を開発するモノづくりベンチャー企業だ。2013年12月には半導体商社のイノテックが同社に出資したと発表している。

 同社の代表取締役 石橋秀一氏は、大学院で「ハードウェアとネットワークをつなぐ」研究をしていた。当時、そのテーマの延長で、身近にある簡単な問題を解決できないかということで、「家庭の消費電力を見える化すること」に興味を持ったという。それがきっかけとなり、製品開発がスタート。その後、英国の国際交流機関のコンペで入賞し、起業家育成プログラムの審査が通ったことで、Sassorを起業した。なお、特許は大学院在学中に取得していたということだ。

 ガラポンは、スマートフォンやPCで、8チャンネル分のテレビ番組を全番組録画・視聴が可能な「ガラポンTV」を開発したモノづくりベンチャー企業だ。

 同社の代表取締役 保田歩氏は、かつてインターネット関係の大手企業に勤めており、そこで新規事業の企画を5年半経験した。そこで、テレビで使用する検索エンジンやインターネットの動画サービスなどの企画に携わったが、いまいち面白い物ができなかったという。そんな企業勤め時代に、ガラポンTVのアイデアを構想していたという。テレビ局側は「そんなことをしたら視聴率が落ちる」と非協力的で、課題もたくさんあったが、いろいろ調べていくうちに、「お金は掛かりそうだけど、自分で作れそう」と思い立ち、起業にいたったという。保田氏は、そのときの気持ちを「わくわくしちゃって、どうしようもなくなった」と話した。なお、モノづくりについて学んだのは、起業してからということだ。

 ユカイ工学は、ロボットやハードウェアの開発から販売までを手掛けているロボティクスベンチャー企業だ。自社製品としては、フィジカルコンピューティングツールの「konashi」が有名だ。スマーフォンとロボットが連動するような開発を得意としている。

 同社の代表取締役 青木俊介氏は大学在学中より、企業の中でWeb制作やITシステム開発に携わってきた。在学中には、チームラボ設立に参画し、後に画像投稿サイト「Pixiv」の開発にも携わった。

 チームラボやPixivなどの仕事に携わっていた当時、青木氏は「どんなに頑張っても、ブラウザや画面の外に出られない。外は楽しそうなのに……」というもどかしい気持ちを持っていたという。そこで、画面の外の世界、いわゆる、ハードウェアの世界でモノが作りたいと思い立ち、ユカイ工学を起業したという。「ロボットを作る」のは、もともと青木氏の夢だったそう。

 青木氏が、モノづくり関係の起業に興味を持ったきっかけは、米国の雑誌「Make:」だった。自分が考えていたことを楽しんでいる人、やりたいと思っている人が世界にはたくさんいるものだと思ったという。その頃、ちょうど愛知万博が開催されたころで、ロボット技術が話題となっており、「ロボットは、ビジネスになるのでは」と勘違い? もとい、直感したという。

メイカーズムーブメントの影響について

 2012年末〜2013年にかけて盛り上がってきたメイカーズムーブメントだが、モノづくりベンチャー3社には何か影響はあったのだろうか。

 石橋氏は、「このムーブメントはありがたい。メディアの取材が増えた」と話した。またムーブメントで話題となった3Dプリンタやレーザーカッターといったツールは、ブーム以前から同氏を支えてくれたという。「このイベントにも出ることができた」。

 保田氏は、「試作品製作するまでは、“やさしく”なった」という。モノづくりのプレイヤが増えたとも。「サッカーなどスポーツと同様に、“競技人口”が増えてくれれば、全体のレベルが上がる。そうすれば、“第2のバルミューダ”のように、突き抜けた企業がどんどん登場するかもしれない。楽しみ」。

 青木氏は、「クラウドファンディングの登場や、スマートフォンの普及によって、かつては大手メーカーしか作れなかったようなモノが、小さな企業でも作れるようになり、市場も出てきた」と話した。「クラウドファンディングでさまざまなアイデアを形にする人が増えた。アイデアが加速し、面白い製品が出てくるスピードが早まりそう」。

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