3DプリンタやCADが学べる「3D道場」とは? ――面白チョコレート作り実演も瓦は割りませんが

ケイズデザインラボが、3Dスタジオ「3DDS in CUBE」のオープンを発表した。そこで展開する講義「3D道場」では、3Dプリンタや3次元CADなど3次元デジタルツールを使った実践的なモノづくりが学べる。発表会中、3次元デジタル技術を駆使した面白チョコレートづくりも紹介。

» 2014年02月13日 10時30分 公開
[加藤まどみ,MONOist]

 3次元デジタル技術の開発や3次元ツールのコンサルタントおよび販売を行うケイズデザインラボは2014年2月8日、同社の新事業に関する発表会を開催した。従来のショールーム「CUBE」をリニューアルした「3DDS in CUBE」をオープンする。「3DDS」のDS意味は「体験型スペース(Do Space)」「販売(Digital Shop)」、3次元ツール特訓講座「3D道場(Dojo Space)」の3つの柱の頭文字を取ったもの。

 同スタジオでは、一般人を対象としたデジタルツールを扱うための本格的な講義を開催していく。3Dプリンタの他にも3次元デジタルツールも展示し、ユーザーごとに最適な組み合わせを提案、販売する。さらにツールによって制作した作品の展示、販売もしていく予定だ。

 同社がITベンダーのイグアスとともにCUBEをオープンしたのが2012年10月。今回のリニューアルおよび実践講義の開催に至ったのは、「3Dプリンタの普及段階は終わり、使いたい人が具体的な利用方法などを学べるようなサポートが必要と考えたため」だという。「昨年、ショールームには3Dプリントをまだ知らない人が多く足を運んだ。3Dプリンタは家電量販店にも置かれ(認知度が高まり)、単に“見せる役割”は終わったと判断した」(ケイズデザインラボ 代表取締役の原雄司氏)。

ケイズデザインラボの原雄司氏

 そこで3次元ツールのバリエーションを増やしていくとともに、見学中心から体験、学習へと移行する。運営については以前のイグアスのショールームをケイズデザインも共有するという形から、イグアスと協力関係を保ちつつケイズデザインラボが運営していく形に変わる。今後も同じビルにあるFabCafeと連携したイベントの開催は行っていくという。

 今後展開していくのは、3次元コンテンツ制作に関する実践的な連続講義、企業などに向けた各種3次元ツールを組み合わせた提案および販売、ツールを使って製作した作品の展示および販売の3つ。

 同スタジオでは3次元ツール特訓講座である「3D道場」も展開する。名称は格闘家だった原氏の経歴から来たもので、「ここで学んだ人たちが他の場所でも活躍してくれれば」ということだ。

道着姿の原氏(写真左)。題字は右側の書家の啓華氏(写真右)によるもの

 3D道場は主に平日夜間に4〜12回程度のコースを計画中で、1回当たり2時間程度で3000円から。2014年3月までを試行期間として、同年4月に本格的に運用していくという。テーマについては、現場で課題になっていることを中心に取り上げる予定。3次元モデリングや3次元スキャン、3次元データ修正、3Dプリンタなど基本的なツールの扱い方に加えて、人体モデリングや3次元クロッキーデッサン、メイカーズのための金型講義など目的に特化したテーマも用意する。同社のスタッフを育てるために蓄積してきたノウハウを一般向けに展開するという。

 さらに第一線で活躍するデザイナーやメイカーズなども多数講師となる。アーティストの名和晃平氏、デザイナーの澄川伸一氏、デザイナーの片山次朗氏、デザイナーの根津孝太氏、メイカーズの八木啓太氏、IAMASの小林茂准教授、メイカーズの毛利宣裕氏、試作金型メーカーのミヨシ 杉山耕治氏、金型設計者のモールドテック 落合孝明氏など。また大阪大学の石黒浩教授、ライゾマティクスの真鍋大度氏なども登壇予定だ。第1弾としてデザイナーの是枝靖久氏による工業デザインで多く使用されるサーフェイス3次元CAD「Rhinoceros」に関する講義が開催される(開催日は現時点未定)。

講師陣が制作した型によるチョコレート

 販売については、3次元デジタルツールを提案販売していくとともに、これらのツールによる出力作品についても、オンラインでの注文ではなく実物の展示、販売を行うという。また平日の日中は、特定のメーカーに限らずユーザーに最適な3次元ツールの導入を提案するショールームとして使用。また各種イベントや有償セミナーを行う。

 ケイズデザインラボは「D3テクスチャー」という製品加飾の独自技術を持つ。3D Systemsをはじめとするメーカーの各種3Dプリンタや3Dスキャナ、CAD/CAMソフトを販売する。3Dツールの販売支援やデジタルモノづくりに関するサービス立ち上げの支援、アーティストの支援なども行っている。

スペシャルチョコレート?

 発表会ではシリコン型による「全身チョコ」作りも実演。道着をまとった原氏の全身を3Dスキャンした後、データをフリーフォームで加工し、「Projet3500」で原型を出力。歯科用のシリコンを使ってチョコレート型を作った(シリコン型協力:ワークキャム)。原氏の全身チョコは、発表会に訪れた人たちへのお土産に……。

原氏をスキャン!
シリコン型製作の過程

 ケイズデザインラボの設立記念日は2月14日。2014年2月11日には、それにちなんだバレンタインデーイベント「K´s流3D自分チョコワークショップ」も開催。参加者たちは全身チョコ作りを体験した。原氏によれば、この製作法にたどり着くまでは試行錯誤の連続で、開催してきた講座の中では一番苦労したそうだ。


Profile

加藤まどみ(かとう まどみ)

技術系ライター。出版社で製造業全般の取材・編集に携わったのちフリーとして活動。製造系CAD、CAE、CGツールの活用を中心に執筆する。



編集部からお知らせ

 MONOistでは、3Dプリンタ/3Dデータという“新たな文化の波”を牽引するとともに、日本のモノづくりの発展を応援すべく、3Dモデリングコンテストを開催いたします。詳しくは、イベント告知サイトをご覧ください。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.