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» 2014年02月14日 11時50分 UPDATE

和田憲一郎の電動化新時代!(11):電気自動車と農業の接近、スマートアグリ始まる (1/3)

電気自動車(EV)のユーザーと言えば、都市部における環境意識の高い人々というイメージが強い。しかし今後は、「スマートアグリ」と呼ばれる新しい農業が新たなEVの用途として浮上してくるかもしれない。宮城県岩沼市で開催された「農業用充電ステーション」の開所式を取材し、スマートアグリと呼ばれる新しい農業像を探った。

[和田憲一郎(エレクトリフィケーション コンサルティング),MONOist]
和田憲一郎の電動化新時代!

 電気自動車(EV)のユーザーと言えば、都市部における環境意識の高い人々というイメージが強い。しかし今後は、「スマートアグリ」と呼ばれる新しい農業が新たなEVの用途として浮上してくるかもしれない。スマートアグリは、東日本大震災における電力不足をとらえて開発されたEVの蓄電機能を有効に活用するための給電装置や、農家での活用が期待されるような軽トラのEV「ミニキャブ・ミーブ トラック」の発売などと大きく関係している。

 2014年2月3日、宮城県岩沼市で、日本初となるEVを農業に活用するための「農業用充電ステーション」の開所式が挙行された(関連記事:電気自動車を太陽光発電の電力で農業に活用、三菱自とニチコンが実証実験)。三菱自動車とニチコンが参加する農業用充電ステーションを用いた実証試験の内容と、今後期待されるスマートアグリの形を探った。

農業用充電ステーションはなぜ宮城県岩沼市に設置されるのか

 まず、今回の農業用充電ステーションを用いた実証試験の構図を読み解く必要がある。この事業は、農林水産省および復興庁が、東日本大震災で大きな被害を受けた東北地方に対し、被災地における農林水産業の復興を図り、日本全国のモデルとなるような取り組みを進めて、東北を新たな食料供給基地として再生するために行っているものである。事業名称は「食料生産地域再生のための先端技術展開事業」であり、従来型農業ではなく、先端的な農業技術を駆使して新たな農業の在り方を検討するとしている。

 2013年度(平成25年度)には同事業の下で約40の研究課題が公募後に採択されている。三菱自動車とニチコンによる実証研究も、「農村地域における未利用エネルギー利活用実証研究」分野として採択された。同事業の主な実施場所が、農業は宮城県、漁業は岩手県が主な実施場所となっていたこともあり、三菱自動車とニチコンも、宮城県内で候補地を探った上で今回の岩沼市に落ち着いたようだ。

 さて農業用充電ステーションだが、太陽光発電システムで発電した電力を、農業用充電ステーション内の蓄電部に設置されたリチウムイオン電池に蓄える機能を有している。蓄電部の電力は、CHAdeMO(チャデモ)方式の急速充電器を通してEVに充電することができる。実証試験では、農業用充電ステーションの近隣の農家にEVを貸与し、農家でのEVの使用実態や、EVに蓄えられた電力の活用状況についてデータを収集するとのこと。下図でいえば、「つくる」、「ためる」、「運ぶ」、「取り出す」、そして「活用する」、この範囲が実証試験となるようだ。

農業用充電ステーションの基本コンセプト 農業用充電ステーションの基本コンセプト
農業用充電ステーションの外観 農業用充電ステーションの外観
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