モノに触れるだけで情報が得られる「グローブ型ウェアラブルデバイス」――富士通研ウェアラブルデバイス活用(2/3 ページ)

» 2014年02月19日 11時11分 公開
[八木沢篤,MONOist]

グローブ型ウェアラブルデバイスの主要機能

 グローブ型ウェアラブルデバイスには、主要機能として、指によるタッチ行動と連動したNFCタグ検知機能と、作業姿勢によらないジェスチャー入力機能が搭載されている。

NFCタグ検知機能

 NFCタグ検知機能は、指先に搭載された接触センサーが対象物に触れたことを検出すると、手首部分に内蔵されているNFCタグリーダーを起動させて、同じく指先にあるNFCタグ読み取り部でタグ情報の読み取りを開始する。読み取ったタグ情報は、Bluetooth通信で手持ちのスマートフォンに送信され、スマートフォンは読み取ったタグ情報に関連する作業支援情報などをクラウドから取得。その情報をイヤホン(音声)やヘッドマウントディスプレイ(映像)に出力し、作業を支援する。

 「ウェアラブルデバイスは低消費電力での駆動が前提であるため、指先の接触センサーによるタッチイベントで、NFCタグリーダー機能の開始/停止を制御するようにして省電力化した。停止に際しては、タグの反射電波強度と時間をベースにNFCタグリーダーの休止制御を行っている」(村瀬氏)。こうした工夫により、タグ検知の高速応答(0.05秒)を確保しながらも、稼働時間を1日の業務に耐えられる9時間にまで延ばすことに成功したという。

指のタッチと連動したNFCタグ検知 指のタッチと連動したNFCタグ検知

作業姿勢によらないジェスチャー入力機能

 一方の作業姿勢によらないジェスチャー入力機能は、通常の作業で発生する動作と、意識して行うジェスチャーの動きを区別するため、手の甲を反らせる「背屈」動作に着目。「独自に背屈動作の特性を調査。意識して行った背屈動作と、作業中に無意識で行った背屈動作の可動域に15度以上の“差”があることを確認した。この角度差をグローブ型ウェアラブルデバイスで捉え、その動きが作業によるものなのか、ジェスチャーによるものなのかを認識できるようにした」(村瀬氏)。

 富士通研究所は、肩関節を原点とする座標を設定し、背屈動作を活用した個人差や姿勢によらないジェスチャーを6パターン(上・下・左・右・左旋回・右旋回)定義。身体のどの位置でジェスチャーをしても、98%の認識率を実現した。「ヘッドマウントディスプレイに表示したコンテンツのページめくり/スクロール操作を左・右/上・下のジェスチャーで行ったり、点検結果の合否判定入力を右旋回/左旋回で行ったりといった利用が可能となる」(村瀬氏)。

 なお、グローブ型ウェアラブルデバイスには、ジェスチャー動作を認識するためのスイッチ、ジャイロセンサー、加速度センサーが搭載されている。

作業姿勢によらないジェスチャー入力姿勢や個人差によらないジェスチャー定義 (左)作業姿勢によらないジェスチャー入力/(右)姿勢や個人差によらないジェスチャー定義 ※画像クリックで拡大表示

動画1 ジェスチャー認識の様子。わずかな手の動きでしっかりと認識(Resultの結果が変化)している様子が分かる。※マウスポインタは説明のため登壇者が動かしている

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