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» 2014年02月24日 15時00分 UPDATE

モーションセンサーで組み込み機器はどう変わる?(4):「どのデバイスが最適か?」――モーションセンサー3機種を徹底比較!! (1/4)

数あるモーションセンサーデバイスの中から「Kinect for Windows」「Creative Senz3D/Intel Perceptual Computing」「LEAP Motion」の3つを取り上げ、各デバイスの機能や特徴を、ハードウェア/ソフトウェアの両面から比較する。また、開発者向けに提供が開始された「Kinect for Windows V2」についても紹介する。

[茂出木裕也(東京エレクトロン デバイス),MONOist]
モーションセンサーで組み込み機器はどう変わる?

 前回までの内容で、モーションセンサーデバイスとNUI(Natural User Interface)の基礎を説明し、さまざまな活用事例を紹介してきました。

 今回は、数あるモーションセンサーデバイスの中から「Kinect for Windows」「Creative Senz3D/Intel Perceptual Computing」「LEAP Motion」の3つを取り上げ、各デバイスの機能や特徴を比較してみたいと思います。さらに後半では、現在Developer Preview版としてリリースされている「Kinect for Windows V2(以下、Kinect V2)」についても紹介します(図1)。


各モーションセンサーの違いは何か?

 今回紹介する3つのモーションセンサーデバイスは、それぞれ機能や特性が異なります。センサー方式や検出範囲、精度といったハードウェア面の違いだけではなく、SDK(ソフトウェア開発キット)がサポートしているAPIなど、ソフトウェア面での違いもあります。こうした違いをきちんと理解していれば、実現したいソリューションに応じて、最適なデバイスを選択することができます。

今回、比較対象としたモーションセンサーデバイス 図1 今回、比較対象としたモーションセンサーデバイス。(左上)Kinect for Windows、(右上)Kinect for Windows V2、(左下)Creative Senz3D/Intel Perceptual Computing、(右下)LEAP Motion

ハードウェア面での比較

 まずはハードウェア面の比較として、デバイスの仕様、距離センサーの方式、検出範囲・精度の違いを説明します(表1)。

ハードウェア面での比較 表1 ハードウェア面での比較 ※画像クリックで拡大表示

Kinect for Windows

Kinect for Windowsのハードウェア仕様 図2 Kinect for Windowsのハードウェア仕様

 Kinect for Windows(以下、Kinect)の距離センサーは、「Light Coding」という方式を採用しています。これは、赤外線プロジェクタから無数のランダムドットパターンを照射し、ドットパターンが人に当たったときの変化量(ゆがみ)を赤外線カメラで読み取る方式です。

ナイトビジョン 図3 ナイトビジョンカメラで撮影したKinect for Windowsの赤外線ランダムドットパターンの照射

 図3をご覧ください。壁の手前にいる人物にドットパターンが当たり、後ろの壁に影ができているのが分かるでしょうか。本来、壁に照射されているはずのドットパターンが壁より手前の人物の位置で止まっています。Kinectは、このドットパターンのズレから、人のシルエットや動きの検出、距離の測定を行っています。

 Light Coding方式を採用するKinectは、他のセンサーデバイスに比べて検出範囲が最も広く、中距離で人物の全身の動きをセンシングするような使い方に向いています。逆に、近距離での細かなセンシングが苦手で、近接モード(Nearモード)に設定した場合でも、最低40cm離れた位置からでないとセンシングができません。

 距離データは、1mm単位(分解能)で取得可能ですが、距離が遠くなるほど精度が低下します。


Creative Senz3D

Creative Senz3Dのハードウェア仕様 図4 Creative Senz3Dのハードウェア仕様

 Creative Senz3D(旧名称:Creative Interactive Gesture Camera Developer Kit)は、Intel Perceptual Computing SDKを利用したアプリケーション開発用に提供されているセンサーデバイスです(以下、それぞれSenz3D、PerCと呼ぶ)。

 Senz3Dの距離センサーは、「TOF(Time Of Flight)」という方式を採用しています。認識範囲が15cmからと近距離で、手指の細かな動きをセンシングするような使い方に適しています。

 TOF方式では、照射した赤外線が測定対象物に当たって戻ってくるまでの時間を解析して距離を測定します。前述したLight Coding方式と比べて認識精度が高く、距離による精度の低下も少ないといった特徴があります。この方式は、Kinect V2でも採用されています。

 Senz3Dの内部には、Texas Instruments(以下、TI)の3D TOFセンシング・チップセットの部品が採用されています。なお、TIは、Webサイト上でTOFの原理を紹介する動画を公開しています。より詳しく理解したい人は必見です。


LEAP Motion

LEAP Motionのハードウェア仕様 図5 LEAP Motionのハードウェア仕様

 LEAP Motion(以下、LEAP)は、3つの赤外LEDと2つのカメラ(ステレオカメラ)で指先の位置や向き、ジェスチャーを認識します。詳しい仕組みは公開されていませんが、赤外LEDが測定対象物に照射した光の反射を2つのカメラで撮影し、動きを認識しているようです。KinectやSenz3Dは一般的なカメラと同じように、センサーデバイスを操作対象者に向けて設置しますが、LEAPはデバイス上面の垂直方向が認識エリアになります。具体的には図6のLEAPの認識範囲をご覧ください。デバイスの2.5cm上方、約60×60×60cmの逆ピラミッド型の3D空間の中で、手と指の動きを感知します。

LEAP Motionの認識範囲 図6 LEAP Motionの認識範囲(出典:Leap Motion SDK APIリファレンス

 Senz3Dと同様に、近距離で指先の細かな動きをセンシングするような使い方に向いています。最大で100分の1mmという高い認識精度を持ち、検出スピードも非常に高速です。また、カラーカメラやマイクを搭載しない分、他と比べてサイズが小さいのも特徴といえます。

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