新たなIT基盤が最先端のモノづくり現場にもたらすメリットとは?Windows XPのサポート終了

最先端のモノづくりを実現するには最新のITインフラを構築することは不可欠となっている。最先端技術を活用した工場の理想像はどういうものであるだろうか。今回は、日本マイクロソフトとインテルのキーパーソンを呼び、理想の最先端工場とそれを支えるITシステムについて語っていただいた。

» 2014年02月28日 10時00分 公開
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求められる日本のモノづくり現場のさらなる進化

 今日本のモノづくり現場は大きな変遷の時を迎えている。グローバル化の流れの中、国内中心のモノづくりから、最適地生産体制への変化が求められる一方、遠隔地にあるこれらの拠点が、情報を共有し、柔軟で無駄な在庫が発生しない体制の整備が求められている。これらを実現するには最先端のIT基盤の整備が必須となる。

 そこで今回は、日本マイクロソフト Windows Embedded Business ビジネス グループ リードのギヨーム・エステガシー氏とインテル クラウド・コンピューティング事業本部 インテリジェント・システムズ・グループ 事業開発マネージャーの安齋尊顕氏を招き、最先端のモノづくり現場とそれに必要な機器やITについて語って頂いた。

日本マイクロソフト Windows Embedded Business ビジネス グループ リードのギヨーム・エステガシー氏(左)とインテル クラウド・コンピューティング事業本部 インテリジェント・システムズ・グループ 事業開発マネージャーの安齋尊顕氏(右) 日本マイクロソフト Windows Embedded Business ビジネス グループ リードのギヨーム・エステガシー氏(左)とインテル クラウド・コンピューティング事業本部 インテリジェント・システムズ・グループ 事業開発マネージャーの安齋尊顕氏(右)

工場のあり様が変化する時代、ネットワーク化が必須に

──モノづくり現場の現状についてどう考えていますか。

ギヨーム氏 日本の製造業は精密で、長い歴史をもっており、生産能力の向上が進んでいます。これらについて、日本の製造業は世界一だと思います。これほど高い評判を得ている国は他にありませんし、高品質への期待に応え続けています。だからこそ、これまで順調に稼働してきたシステムを変えたくないという考え方があると思います。世界でも最高クラスの製品を生産してきたために、変わらなくてもよいという意識が高いように感じています。しかし、今それが変化しなければいけない段階を迎えていると思います。

 例えばグローバル化を進めるためにアジア圏に新しい工場を建築する場合、今までの手法では高品質な工場をすぐに立ち上げることは難しいでしょう。こうしたことを遠隔地でも実現するためには、モニタリングやコネクティビティ、トレーサビリティといった技術が必要になります。工場の存在そのものが、そうした形態へのシフトが起き始めているのは間違いありません。変わらない良さは残しつつ、新たな技術を取り入れていくことが必要になっているように思います。

安齋氏 あまり工場のイメージはないかもしれませんが、インテルは半導体では世界最大級・最先端の工場を保有する製造業です。工場の運営強化や進化については大きなリソースを割いて研究を重ねています。それを背景に考えると、工場の姿は今また大きな変化の局面にあるといえるでしょう。

 工場は、歴史をたどると、かつての自動化の要素がない状態(Labor Intensive)から、人間では不可能な力やスピードを提供する機械が登場(Machine Assisted)し、ライン全体を自動化する(Automated)へと進化してきています。現在の工場は、この自動化から「インテリジェント化(Intelligent)」へ向かう段階にあると考えています。

 従来のFA(Factory Automation)は効率化や省力化がメインであったものが、ネットワークを通じて各種データを収集・分析し、そこから得られる知見を活用するようになるのです。これまで産業の現場で蓄積されてきた経験や知識にデータを加えることで、新しい工場運営の方法を追求することが期待されています。

 一例としては、大量のセンサーデータを分析することで工業機器の故障を予知する予防保全や、ユニットレベルのトレーサビリティなど、従来は複雑すぎて不可能であったことが、実現できるようになってきているのです。そのため今後は、工場内のネットワーク化はもちろん、工業デバイス一つ一つのネットワーク化が進んでいくと思われます。

最新技術を導入することでさらなる生産性向上を実現

──理想的なFA、理想的な工場とはどのようなものでしょうか

ギヨーム氏 管理者がノートブックPCやタブレット、スマートフォンなどのデバイスから工場の状況を把握し、さまざまな決定事項をリアルタイムに反映できることだと考えます。そのためにクラウドが必要かどうかまでは分かりりませんが、そうした仕組みを包括できるシステムが必要となるでしょう。

安齋氏 遠隔管理に加えて重要になってきていると考えるのが、エキスパートを必要としない工場です。工場のコストパフォーマンス競争が激化する環境下で、従来は熟練の技術者でなければ不可能であったことも、機器やインタフェースの進化によって、誰でも実現できることが望ましいと考えられています。

 もう1つは、データ活用を進めることで、障害予知だけでなく、オペレーション全体を予見できるような仕組みの実現です。例えば、どのラインのどの機械がどんな状況にあるといったことを常に把握できれば、メンテナンスのタイミングを計画化することができます。これにより、人材や資材を一層効率的に運用できるようになるでしょう。

ギヨーム氏 当社のユーザーにも、壊れたり遅くなったりする前に、交換や修理などのアクションを提供できる仕組みを実現している工場があります。これは、機器がオフラインでは不可能です。ネットワークで接続され、リモートモニタリングが導入できて初めて実現できる機能です。

 現在の日本の製造業は世界最高レベルですが、各国の製造業が最先端の技術で、後ろから迫って来ている状況だと見ています。“状況を変える必要がない”という時期は過ぎて、最新のFAシステムを実現すべき時期になっているのです。

最先端工場に求められる機器の4つのポイント

──工場の姿が変化する中、これらを支える機器や産業用PCに求められる技術や機能にはどういうものがあると考えていますか。

ギヨーム氏 主に4つのポイントがあると考えています。

 1つは、コネクティビティの要素を取り入れ、個々に稼働していた機器を統合していくことがあると思います。従来の機器は、単一のタスクを実行する性能しか持っていませんでしたが、最近のコンピュータは複数のタスクをこなせるキャパシティーを備えています。例えば、ソフトウェアでPLC(Programmable Logic Controller)を稼働させられる高性能なマシンに、HMI(Human Machine Interface)と他の機能を組み合わせて1つのマシンに搭載するといったことが考えられます。

 2つ目は“使いやすさ”です。10年前のOSやアプリケーションは複雑で、習熟するには相応の時間がかかってしまいます。しかし最新のOSはタッチスクリーンなどのナチュラルユーザーインタフェースに対応しており、アプリケーションを作りこむことで、不慣れなユーザーでも容易に操作できるようになります。

 マイクロソフトの先端テクノロジーである「Kinect」を活用すれば、HMIやSCADAといったシステムをジェスチャ制御で操作することができるようになります。例えば、HMIに触れることなくロボットアームをリアルタイムに制御することができるのです。これらの機能は、コンピュータの能力が向上したから実現したことで、10年前はおろか、5年前でも不可能だったでしょう。

 3つ目は、セキュリティです。攻撃手法も多様化・高度化している昨今では、非常に重要なポイントです。

 最後の1つが、BI(Business Intelligence)です。安齋氏も述べていましたが、工場内のさまざまな生産フローを分析することで、状況を的確に把握し、次のアクションを考えることができます。今日の工場では、そうしたデータドリブンな意思決定が実現できるのです。

安齋氏 インテルでも、工場内でエンド・ツー・エンドのネットワークを作ることが必要だと考えています。そうしてつながったときには、もちろんセキュリティが非常に重要になります。

「エキスパートを必要としない工場」を理想だと語る安齋氏 「エキスパートを必要としない工場」を理想だと語る安齋氏

 もう1つポイントを付け加えるとするならば、工場内の産業機器が非常にバラエティに富んでいることです。このようなヘテロジニアス(異機種混在環境)なネットワークを吸収できるプラットフォームが必要になってくるでしょう。

 そのため、センサーからデータを吸い上げるIoT(Internet of Things)ゲートウェイや複数のワークロードを統合した先進機器とデータセンターやクラウドとを接続し、コンピューティングを自由に使える環境になっていくでしょう。

 工場向けのデータセンターやクラウドは、一般的なビジネス向けのものとは異なる性質を持っていると考えています。例えば、データトランザクションレートが非常に高く、メンテナンスや修正もリアルタイムにきっちりと対処していかなければなりません。そうした可用性やリアルタイム性が非常に重要です。

 ギヨーム氏が述べたように、特に海外拠点への展開の際には、マン・マシン・インタフェースも重要です。

 海外に工場を展開したとき、現地スタッフの教育は最も大きな課題の1つとなります。トラブルの際などには、その場で1つ1つ手順を追えるようにしなければ、対処できないケースが多いのです。そのため、大きな画面で直感的なインタフェースを提供することが常識となっています。

ギヨーム氏 そうした新しい工場の要件を満たすには、Windows XPでは困難です。これをアプリケーションでカバーするというアプローチも考えられますが、そもそも一から作りなおさなければならないばかりか、10年前のOSではセキュリティやユーザーインタフェースなどの課題をクリアすることはできません。

Windows XPからの移行は新たな生産性を獲得するチャンス

──Windows XPのサポートが2014年4月9日に、組み込み機器向けのWindows XP Embeddedのサポートが2016年1月12日に終了しますが、新しいOSにマイグレーションするメリットとは?

ギヨーム氏 1つはメンテナンスのコストです。Windows XP上のアプリケーションをメンテナンスできる人材は、どんどん少なくなっていきます。もしそのエンジニアが高いメンテナンス料金を請求してきても、工場を稼働させるためには飲まざるを得ない状況になるでしょう。

「最先端技術への対応やコスト、セキュリティなどOS移行のメリットは大きい」と語るギヨーム氏 「最先端技術への対応やコスト、セキュリティなどOS移行のメリットは大きい」と語るギヨーム氏

 2つ目は、アプリケーション自体も古く、陳腐化してしまっていることが挙げられます。最新のOSは、タッチパネル対応やコネクティビティなどの新しい技術が採用されているため、使い勝手のよいアプリケーションを作りやすいのです。

 また、先ほども話しましたが、FAシステム全体を考えたとき、インテリジェント化やクラウドへの接続といった新しい方法に対応するためには、古いOSでは実現できません。新たな生産性を実現するためには、新しいOSが必要になっているということがいえるでしょう。

 セキュリティの問題もあります。Windows XPのマルウェアシグネチャについては2015年7月まで提供する予定ですが、ネットワークの脅威としては一部に過ぎませんので、完全なセキュリティ対策が可能というわけではありません。一方で新しいOSは、さまざまなセキュリティ機能があらかじめビルトインされています。それらのスイッチをオンにするだけで利用できるのは、非常に重要なポイントです。

安齋氏 私たちは「エコ」という側面を見逃せないと考えています。例えば、データセンターのサーバは、4年ごとに交換しないと電気代で損をすると言われています。程度の差はあれど、FAコントローラーにおいても同じようなことが言えます。例えばインテルの最新CPUに搭載されている省電力機能は、Windows 8.1でしか使えないものもあります。

ギヨーム氏 産業用PCは24時間稼働していることが一般的ですので、省電力機能の効果は非常に高くなります。

安齋氏 また製品の安全性の問題などもあります。例えば、欧州で活発に採用されている「IEC61508」という機能安全に関する国際規格があります。この規格は安全評価によってレベル分けされており、法規制の強化と合わせ、このレベルが一定以上の製品が要求される状況になっています。

 障害予知やトレーサビリティなどデータ分析は、最新のシステムで実現できる大きなメリットの1つです。例えばインテルの半導体工場では、どの製品が、どういったコンディションで、どんな処理を行われかといったデータを突き合わせて、品質予測を実現しています。この結果は品質向上だけでなく、製品テストの手法を効率化することにもつながり、より的確な品質管理を行えるようになるのです。

ギヨーム氏 こうした新しい取り組みや技術に対処できなければ、ある日突然、自社の製品を買ってもらえなくなるというケースも考えられます。最先端技術の活用、コスト、安全性、エコなど、新OSにマイグレーションするメリットは数多いと考えています。



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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2014年5月27日

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