米国で育てた医療向け無線事業を逆輸入するサイレックスビジネスニュース 企業動向(1/2 ページ)

サイレックス・テクノロジーは、米国市場で実績を積んできた医療機器向け無線事業の国内展開を強化する方針。医療市場のニーズに対応した新たな組み込み無線モジュールなどを投入し、医療機器向けビジネス規模の倍増を狙う。

» 2014年04月08日 18時50分 公開
[竹本達哉,EE Times Japan]

 組み込み用無線LAN関連製品を手掛けるサイレックス・テクノロジーは、医療機器向けビジネスを順調に拡大させている。5年ほど前に医療機器分野への参入を図ったばかりだが、2014年度(2015年3月期)には医療機器向け売上高は全社売上高の25%以上を占める見通しで「かなり太い事業の柱に成長した」(製品戦略室 室長の三浦暢彦氏)という。

米国から日本へ

 そして特筆すべきことに、医療機器向けビジネスのほとんどは現状、米国市場の売り上げであり、「国内医療機器市場の無線化はこれから」(三浦氏)とし国内市場で大きな伸びしろを残しているのだ。

サイレックス・テクノロジーの事業概要(左)と主な製品 (クリックで拡大) 出典:サイレックス・テクノロジー

 同社は、プリンタサーバやUSBデバイスサーバを中心にした無線関連機器メーカーで、プリンタなどPC周辺機器/OA機器のデジタルイメージング分野を主力に事業を展開している。昨今では、プリンタ/デバイスサーバで培った無線LAN技術をベースに、組み込み無線LANモジュール製品の開発、販売を手掛ける。「最初は、機器に無線機能を付加する外付けのボックス製品の提供からスタートし、ボックス製品の機器内への搭載、さらにはモジュールベースでの無線LAN機能の内蔵化と徐々に、機器内部に入り込んでいくスタイルで、事業規模を大きくすることに成功してきた」(三浦氏)という。2013年度の売上高は約40億円だ。

ボックス製品から組み込みへ

 サイレックスでは、このボックス製品からよりデバイスに近いモジュールへと展開するビジネスモデルをデジタルイメージング分野以外にも展開し、事業領域を広げる試みを実施。そのターゲットになったのが「医療機器分野」と「産業機器分野」の2分野。いずれも、無線化がこれから本格化する用途であり、一定の品質/信頼性を保つ必要がある分野。無線LANで安定した“切れない通信”を実現させるというサイレックスの技術的な強みが生かせる分野として、注力してきた。

サイレックス・テクノロジーの注力市場(左)と医療機器市場での事業展開イメージ (クリックで拡大) 出典:サイレックス・テクノロジー

 そしていち早く成果が生まれたのが、米国の医療機器市場だった。「参入し始めた時期と(米医療機器市場の)ワイヤレス化のタイミングがちょうど合致した中で、顧客ごとのカスタマイズにも応じられるサイレックスの技術力が評価され採用が相次いだ」と人工透析装置や血中酸素計などに外付けするデバイスサーバで採用実績を着実に伸ばしてきた。現在では、「医療機器メーカーの世界シェア上位12社のうち、5社が当社製品を採用し、スマートポンプと呼ばれる点滴監視制御端末など特定分野では、5割を超えるシェアを獲得できている」という。

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