トヨタのバンクする超小型EV「i-ROAD」は重心が安定していて意外と安心MONOist新人編集の突撃リポート

2014年5月21〜23日に「人とくるまのテクノロジー展2014」が開催された。同展示会で試乗できたトヨタの超小型電気自動車(EV)「i-ROAD」について、MONOist編集部の新入部員による突撃リポートをお送りする。

» 2014年05月26日 19時20分 公開
[陰山遼将,MONOist]

 はじめまして。今春(2014年)よりMONOist編集部に配属されました新入社員の陰山と申します。読者の皆さま、これからよろしくお願いいたします。先日、配属後初の取材としてパシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展 2014」(2014年5月21〜23日)に行ってまいりました。

 会場の巨大さに圧倒されつつも、最初の取材は一体何になるのだろうかとドキドキしていたのですが、結果はなんとクルマの運転でした。ということで、今回のイベントで試乗したトヨタ自動車の超小型電気自動車(EV)「i-ROAD」の体験リポートをお届けいたします。

トヨタ自動車の「i-ROAD」。横にいるのはMONOist新人編集の筆者。今後ともよろしくお願いします(クリックで拡大)

 i-ROADは、「コンパクトで爽快なモビリティ」をテーマに掲げて設計された超小型EV。2013年3月に開催された「第83回ジュネーブ国際モーターショー」で発表された欧州モデルは2人乗りの設計でしたが(関連記事:トヨタが10年をかけて進化させたパーソナルモビリティ、「i-ROAD」が市街を走る)、国内向けモデルは1人乗りとなっています。特筆すべきは、前輪2本、後輪1本の三輪設計になっていることと、旋回時や段差、傾斜路面では、左右の前輪が上下して車体の傾きを最適かつ自動的に制御してくれるという「アクティブリーン機構」です。実際に走行している車体を見ると、カーブを曲がるときに二輪車のようにバンクするので、かなりびっくり。ちゃんと運転できるのだろうか、配属後早々に試乗車での事故なんてことになったらどうしようと思いつつ試乗することに。

 メーターは以下の写真のような配置になっています。左から、運転モード、速度、バッテリー残量が表示されます。ギヤは、リバース、ニュートラル、ドライブの3種類で、正面左手に設置されたボタンで操作します。踏むタイプのサイドブレーキを使うことでパーキング状態になるそうです。アクセルやブレーキのペダルは一般的な四輪車と同じ配置となっています。

「i-ROAD」のメーター(左)とギヤボタン(クリックで拡大)
「i-ROAD」の操作説明を受ける筆者(クリックで拡大)

 実際にシートに座ってみた感触はかなりよかったです。左右のウィンドウと、フロントガラスが大きく開けているので視界がよく、車内のコンパクトさにはすぐに慣れることができました。ちなみに乗車する際、ヘルメットは不要でした。

 さてさて、出発です。発進はもたつくことなく非常にスムーズで、加速も良くあっという間に場内制限の時速20kmまで到達。ステアリングがとても軽く、これなら誰でも簡単に運転できそうだなと思いました。注目のコーナリングなのですが、車体が傾いても重心が安定しているのがよく分かり、意外にも安心感がありました。自分がいつも乗っているボロい原付とは比べものにならない曲がりやすさ……。ステアリングを操作すると、後輪がその操作に反応して曲がるというのはちょっと不思議な感覚で、最初は少しびっくりしましたが、慣れてくると運転していてかなり楽しいです。機動力のあるゴーカートに乗っているような気分でした。

コーナリング時の「i-ROAD」(クリックで拡大)
「i-ROAD」によるコーナリングの様子(クリックすると再生)

 今回試乗したi-ROADは、トヨタ自動車が2012年10月1日から愛知県豊田市で始まった、超小型EVを使った都市交通システム「Ha:mo」の実証実験に、2014年3月から投入されています(関連記事:超小型EV「i-ROAD」の国内版は1人乗り、2014年初からカーシェアで利用可能に)。また、同年3月24日から東京、神奈川などの首都圏でもモニター調査が行われています(関連記事:トヨタが超小型EV「i-ROAD」のモニター調査を首都圏で実施、5色ボディカラーで)。

実証実験の結果報告にも参加

 試乗体験翌日の2014年5月22日には、展示会場内で開催された「超小型モビリティ認定制度1年目を終えて」というワークショップで、その実証実験の様子についてトヨタ自動車IT・ITS企画部スマートコミュニティー室の早田敏也氏の講演を聞いてきました。

 現在、豊田市内には25カ所の超小型EV用のステーションが設置されており、利用登録(会費無料)を行った後、スマートフォンから車両の予約をして乗車するというシステムで実験を行っています。利用しているユーザー層は30〜40代の男性が最多で、50代以上の女性ユーザーの比率が最も少ないそうです。これについて早田氏は「スマートフォンから予約するというシステムなので、スマートフォンをあまり使っていない方の利用率が低くなってしまう。この点は今後改善してきたい」と述べていました。アンケートの結果、利用目的については「業務での移動」、「通勤、通学」が多く、以前は徒歩や自転車といった移動手段を選択していた方が超小型EVを利用する傾向にあるそうです。

 実際にi-ROADを運転してみると、細い道でも軽々と走れたので確かに都市部でも快適に通勤、通学ができそうだなと思いました。乗ってみてとても欲しくなったので、ぜひ実用化されてほしいです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.