トヨタ、リハビリ向けロボットの臨床研究モデルを開発医療機器ニュース

トヨタ自動車が、2011年に発表した医療支援向けのロボットに改良を加え、リハビリテーション支援を目的とした臨床研究モデルを開発した。早期実用化を目指し、2014年秋には、医療機関への提供(有償)を開始する予定だ。

» 2014年05月28日 20時20分 公開
[MONOist]

 トヨタ自動車は2014年5月28日、2011年に発表した介護・医療支援向けパートナーロボットである「歩行練習アシスト」と「バランス練習アシスト」を改良し、病気やケガなどで、歩行やバランス確保が不自由な人のリハビリテーション支援を目的とした臨床研究モデルを開発したと発表した。

 この臨床研究モデルは、2007年末から藤田保健衛生大学(愛知県豊明市)と共同で開発を進めてきたもの。2011年から医療機関の協力を得て実証実験を行い、運動学習理論に基づいたトレーニング機能の適正化や、ロボットの装着方法の簡易化といった改良を施してきた。それによって、リハビリテーション現場での使い勝手を大幅に向上させたとしている。

 トヨタは「歩行練習アシスト」と「バランス練習アシスト」の早期実用化を目指し、2014年秋からは、臨床研究モデルをぞれぞれ20拠点の医療機関に有償で提供する。

 「歩行練習アシスト」と「バランス練習アシスト」の特長と改良点は、以下の通りである。

歩行練習アシスト(サイズ:幅1200×長さ2560×高さ2350mm)

【特長】

  • 下肢のまひで歩行が不自由な人が自然な歩行を習得できるよう、リハビリテーション初期段階から支援
  • まひした足に装着することで、足を前方に振り出す動作や、膝を伸ばして体重を支える動作をアシスト

【改良点】

  • 足を吊り上げる機構を備え、練習者にかかるロボットの重量負荷を低減
  • 練習者の回復の度合いに合わせて、ロボットからのアシスト量の変更が可能に
  • 関節の角度などの歩行データをモニタリングし、歩行の状態を音や画像で練習者にリアルタイムで知らせることが可能に
  • 短時間で装着できる構造に変更
「歩行練習アシスト」の全体図(左)と、足を装着する部分(クリックで拡大)

バランス練習アシスト(サイズ:幅1870×長さ3040×高さ2350mm)

【特長】

【改良点】

  • 重心移動練習(前後、左右)と重心保持練習ができる3種類のゲーム(テニス、スキー、ロデオ)を設定し、練習者とゲームキャラクターの動作の連動性を向上
  • 練習者のバランス機能の回復の度合いに合わせて、練習難易度を自動的に設定可能に
「バランス練習アシスト」の全体図(左)と、体を乗せる部分(クリックで拡大)

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