デンソーが「世界初」の技術で二輪車用FIシステムを低コスト化、ホンダに納入エコカー技術

デンソーは、小型二輪車用の電子燃料噴射(FI)システム「DIET-FI」を新たに開発した。スロットルポジションセンサーやエンジン温度センサーなどの構成部品を削減できる「世界初」(同社)の技術を採用しつつ、従来のFIシステムと同等の燃費や環境性能を確保する制御技術も適用し、低コスト化を実現。既にホンダに納入しているという。

» 2014年05月29日 12時30分 公開
[MONOist]
「DIET-FI」の主要構成部品

 デンソーは2014年5月29日、小型二輪車用の電子燃料噴射(FI)システム「DIET-FI」を新たに開発したと発表した。スロットルポジションセンサーやエンジン温度センサーなどの構成部品を削減できる「世界初」(同社)の技術を採用しつつ、従来のFIシステムと同等の燃費や環境性能を確保する制御技術も適用し、低コスト化を実現した。既にホンダに納入しているという。

 今回開発したDIET-FIは、空気吸入量を調整するスロットルバルブの開度を検出するスロットルポジションセンサーや吸入空気温度に応じた燃料噴射量の増減を行うために吸入空気温度を検出する吸気温センサー、エンジン内の温度を検出するエンジン温度センサー、ISC(アイドル・スピード・コントロール)用のステップモーター、転倒センサーという5つの部品を削減。削減したセンサーの機能は、ECU(電子制御ユニット)に内蔵したサーミスタによる温度推定制御や吸気管圧力センサーで加速・減速を判定する燃料調量制御といった新たに開発した制御技術で補完している。つまり、従来のFIシステムと同じ性能を確保しながら“DIET(ダイエット)”を実現したというわけだ。

「DIET-FI」の主要構成部品(左)とシステム構成。赤色で示しているのが、従来の二輪車用FIシステムから削減した部品である(クリックで拡大) 出典:デンソー

 なおDIET-FIは、デンソーの中国グループ会社で二輪車用部品を生産する鞏誠電装(重慶)有限公司が生産しており、ホンダの中国における二輪車生産・販売合弁会社である五羊−本田摩托(広州)有限公司に納入している。

 二輪車用FIシステムは、高精度な空燃比(空気と燃料の比率)の制御を目的に、各種センサーとアクチュエータ、ECUなどから構成される。その機能は、各種センサーから検出される空気量やエンジンの状態などを基にして最適な燃料噴射量を算出し、フューエルポンプから送られる燃料をインジェクターによって高精度にエンジンへ供給することで実現されている。これまで大型二輪車を中心に導入が進んでいたが、近年では小型二輪車でも需要が高まっている。特に、世界最大の二輪車市場である中国をはじめ、二輪車の需要をけん引する新興国市場でも導入が望まれているという。

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