過去最高の設備投資で成長フェーズへ! 東洋ゴムが新中期経営計画を発表製造マネジメントニュース

東洋ゴム工業は2015年までの中期計画を前倒しで達成したことから、2016年までの3カ年を対象とした新中期経営計画「中経'14」を発表した。北米の増産投資を積極的に行うなど、3カ年計画としては過去最高の設備投資額を計画しており、グローバルでの成長フェーズへ舵(かじ)を切る方針だ。

» 2014年06月11日 07時30分 公開
[三島一孝,MONOist]
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 東洋ゴム工業は2014年6月10日、2016年12月期(2016年度)までの3カ年を対象とした中期経営計画「中経'14」を発表した。2016年度までに売上高4700億円、営業利益520億円、営業利益率11.1%、ROA(総資産営業利益率)10%以上を目指す。

 同社では2015年12月期(2015年度)までの5カ年を対象とした中期経営計画「中経'11」を進行中だったが、「営業利益目標300億円」および「営業利益率7.5%」の2つを2013年12月期(2013年度)に達成。また、残る目標である「売上高4000億円」も2014年12月期(2014年度)にほぼ到達するめどがついたため、2014年度を初年度とする新たな中期経営計画を立てることを決めた。

中期経営計画2011中期経営計画2014 「中経11」の振り返り(左)と「中経14」の経営目標(右)(クリックで拡大)

過去最高の設備投資額

信木氏 東洋ゴム工業 代表取締役社長 信木明氏

 東洋ゴム工業 代表取締役社長 信木明氏は「2013年と2014年では社内の雰囲気はまるで異なる。今まで超えることができなかった売上高4000億円の壁を超えることがほぼ確実となったことで新たな成長の領域へと入りつつある。独自の持ち味をさらに磨きつつ、成長につなげていきたい」と現状について語る。

 これらの流れから今回の中期計画は成長フェーズと位置付け、3カ年の累計設備投資額は過去最高となる1300億円を計画する。事業別では主力となるタイヤ事業が1050億円、タイヤ以外のゴム関連工業製品などのダイバーテック事業が150億円、その他事業が100億円となる。いずれも生産設備への投資が中心だ。

 信木氏は「タイヤ事業における設備投資の3割を占めるのが北米工場の第4期生産能力増強によるものだ。その他国内設備の維持投資が2割を占める」と語る。現在同社は工場を日本、中国、北米、マレーシアに保有している。米国での生産能力を大幅に高めていくとともに、2012年末に稼働したマレーシア工場の活用を拡大するなど、海外生産比率を高めていく方針だ。

 2013年度ではタイヤ生産量(新ゴム量)21万4000トンのうち、海外生産比率は35%にとどまるが、北米を中心とした生産拡大により、2016年度にはタイヤ供給量27万トン、海外生産比率50%を目指すという。信木氏は「今回の3カ年期間では北米工場の増産をやり抜き、マレーシア工場の活用を進めるところが最も大事なテーマ。市場環境を見ていると現在の生産能力では足りなくなることが明白なので、その後の新工場建設については、状況を見ながら最適な形を検討していく」と語っている。

設備投資額タイヤ生産量 中経'14における設備投資額(左)とタイヤ供給量推移(右)(クリックで拡大)

A.T.O.M.工法の独自性を生かした成長

 また主力のタイヤ事業では、独自の「A.T.O.M.(Advanced Tire Operation Module)」工法の品質を生かし、SUV(Sport Utility Vehicle)やCUV(Crossover Utility Vehicle)、ピックアップトラック用などへの取り組みを強化。2013年度には同カテゴリーの比率が32%だったのに対し、2016年度には40%以上の比率を目指すという(関連記事:タイヤ製造工法に「革命」を起こす東洋ゴム仙台工場、会長が語る“逆の発想”)。さらに、「Nano Balance Technology」などの独自技術を生かし、トラック用やバス用タイヤの受注を増やしていく方針だ。

 同社 取締役 常務執行役員 タイヤ事業本部長の山本卓司氏は「基本方針として当社が重視するのは自動車社会として成熟し、ユーザーの嗜好性が明確になっている市場。そういう意味ではSUVやCUV、バスやトラック用などの市場は、伸ばしていくべき重要なターゲットだ」と話している。

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