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» 2014年07月09日 09時00分 UPDATE

電子部品 回路シミュレーション技術:TDKが「業界初」のDCバイアス特性を考慮したMLCCのSPICEモデルの提供を開始

TDKは2014年7月8日、回路シミュレータ上で利用可能な電子部品モデルとして、DCバイアス特性を反映した積層セラミックチップコンデンサ(MLCC)のモデルの提供を開始したと発表した。

[EE Times Japan]

 TDKは2014年7月8日、回路シミュレータ上で利用可能な電子部品モデルとして、DCバイアス特性を反映した積層セラミックチップコンデンサ(MLCC)のモデルの提供を開始したと発表した。TDKによると、「DCバイアスモデルの提供は業界で初めて」としている。

 電子回路設計は近年、PC上で行う回路シミュレーションを活用するケースが増えている。実際の電子部品などを使った実機検証よりも短時間で回路の評価が行える半面、PC上で実際の部品と同じ特性、振る舞いを行う電子部品モデルの出来次第で、シミュレーション結果が実際の測定結果と異なる可能性もある。

 電子部品メーカーのほとんどは、製品サポートの一環として、電子部品モデルを無償で提供しており、TDKも各種回路シミュレータに応じる電子部品モデルを提供してきた。

 今回、新たに提供を開始したMLCCのDCバイアスモデルは、MLCCに直流電圧を印加した場合に実効的な静電容量が低下するというDCバイアス特性を考慮した電子部品モデル。これまでのMLCCのモデルは、周波数特性のみを考慮したモデルで、印加した電圧が変わった場合でも容量は全く変化しなかった。

 DCバイアス特性は、チップサイズが小さいほど顕著に表れる傾向があり、「1005サイズ」(1.0×0.5mm)のチップなどでは無視できるレベルだったが、0603サイズ、0402サイズといった小型MLCCでは、「DCバイアス特性を考慮したシミュレーションの必要性が高まりつつあった」(TDK)としてDCバイアスモデルの開発に至ったという。

tt140709TDK01.jpg DCバイアスモデルを使用したシミュレーション結果と、従来モデル、実測値の比較資料 (クリックで拡大) 出典:TDK

 DCバイアスモデルは、従来の周波数特性を考慮した等価回路モデルにDCバイアス特性を再現する等価回路を加えるなどして実現。一部のMLCCメーカーが提供している印加電圧別にDCバイアス特性を反映したモデルとは一線を画し、1つのDCバイアスモデルであらゆる印加電圧でのシミュレーションが行える。

 DCバイアスモデルは、TDKが展開しているDCバイアス特性が存在する「class2タイプ」と呼ばれる高誘電率系MLCC製品の大半で用意し、対応製品数は2014年7月8日現在で5830品種を数える。各DCバイアスモデルは「HSPICE」「LTspice」「PSpice」の主要な3つの回路シミュレータに応じたファイルがそろう。

 TDKでは、MLCCのDCバイアスモデルの提供に合わせて、2013年10月から一部顧客向けに提供していた周波数特性に加え直流重畳特性を考慮したインダクタのモデル(直流重畳モデル)の一般提供もスタートした。「DCバイアスモデルと直流重畳モデルにより、DC-DCコンバータ回路などのシミュレーションがより確実に行えるようになった」(TDK)としている。

tt140709TDK02.jpg DC-DCコンバータ回路のシミュレーション例 (クリックで拡大) 出典:TDK

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