モノづくりにおける新たなクラウドファンディングの使い方――「MONOFunding」の挑戦日本のモノづくりに特化(1/2 ページ)

2012年創業のベンチャーで、神奈川県茅ケ崎市でコワーキングスペースの運営などを手掛けるAIZACは2014年9月1日から、モノづくりに特化したクラウドファンディングサイト「MONOFunding(モノファンディング)」を立ち上げる。同社の代表取締役社長である澤邊雅一氏を取材した。

» 2014年08月18日 10時00分 公開
[陰山遼将,MONOist]

 Webサイト上で自分の考案したプロジェクトやアイデアを公開し、賛同した人から資金や協力を募るクラウドファンディング。2012年創業のベンチャーで、神奈川県茅ケ崎市でコワーキングスペースの運営などを手掛けるAIZACは、2014年9月1日からモノづくりに特化したクラウドファンディングサイト「MONOFunding(モノファンディング)」を立ち上げる。同社の社長である澤邊雅一氏にその戦略と取り組みについて取材した。


“アイデアの実現まで”をサポートするクラウドファンディング

「MONOFunding」のロゴ
「MONOFunding」のサイトイメージ。9月1日にオープンする予定だ(クリックで拡大)
AIZAC 代表取締役社長の澤邊雅一氏

 MONOFundingのコンセプトは「技術×アイデア×共感のコラボレーション」だ。世界へ通用する可能性を持つコアな要素技術が用いられた製品を、日本から世界に向けて送り出すためのプラットフォームの構築を目指すという。澤邊氏は、「自分はもともとモノづくりが好きで、どうにかクラウドファンディングで日本のモノづくりを世界に発信できないかと考えた。だが、既存の大手クラウドファンディングでは全方位的にありとあらゆるものを扱っている。そこでもっと日本のモノづくりに特化したものを立ち上げようと考えた」とMONOFunding立ち上げの動機について説明する。

 実際にクラウドファンディングを利用して資金が集まったとしても、プロジェクトが途中で頓挫してしまい、アイデアが実現に至らなかったケースも多い。そこでMONOFundingは、資金の調達だけでなく、必要な人材のリクルーティングやコンサルティングなど、そのアイデアを確実に実現させるためのサポートも行う。また、モノづくりに特化したクラウドファンディングサイト「zenmono」と連携しており、試作品の製作や製品の量産を行う場合には、町工場のサポートを受けることができる。さらに現在、日本国内でクラウドソーシングサービスを提供している企業と提携についての交渉を進めているという。

 また、個人からアイデアを募集するだけでなく、企業や研究団体も参加するクラウドファンディングとして運営していく方針だ。例えば、企業や団体が既に持っている技術や特許をユニークに活用する製品の企画を募集する。寄せられた企画の中から採用できるものがあれば、MONOFundingで開発資金や協力者を募る。その際に特許や技術を提供した企業が、開発資金の一部を「投資」というかたちで負担するといったモデルを構想しているという。「プロジェクトの立案者と企業や団体が、MONOFundingを通して連携することで、アイデアの実現力が高まるのではないかと考えている」(澤邊氏)。

プロジェクトのプロモーションもサポート!

「MONOFunding」のサイトイメージ。AIZAC側でプロモーション動画を作成し、プロジェクトのプロモーションをサポートする(クリックで拡大)出典:AIZAC

 MONOFundingは、掲載するプロジェクトのプロモーション動画の製作も行う。クラウドファンディングでは、自分のプロジェクトをアピールする手段として動画がよく使われるが、訴求力のあるクオリティの高い動画を製作するには一定のスキルが必要だ。

 そこでMONOFundingは、AIZACが運営するコワーキングスペース「Cafe AIZAC」に集まるクリエーターと連携して、プロモーション動画の製作もサポートするという。「モノづくりは一部の人からはオタクなものとして捉えられていると思う。モノづくりは本当はとてもクールなんだということを伝えるために、プロモーションの部分もサポートしていきたい。自分たちはクラウドファンディングとしては後発組なので、他のところと差別化するためにもこうした取り組みが必要だと考えている」(澤邊氏)。

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